「フロリダからここまできたがどうも来る日を間違えたようだ」。

１４日、米ワシントンＤＣの議事堂前。ワシントン都心部の観光に向け自転車に乗って議事堂周辺を回っていたビル・マーリンさんは「大統領就任式の準備で道路のあちこちが封鎖され２時間にわたり議事堂の周りぐるぐる回っている」と愚痴りながらこのように話した。

トランプ次期大統領の就任式を６日後に控えたこの日、ワシントンは軍事作戦を展開するかのようにものものしい警備態勢が維持された。回転灯をつけたパトカーが町のあちこちを守り、高さ２メートルの鉄製フェンスが議事堂など主要施設を取り囲むなどセキュリティを最高水準に強化した。


◇１８日からワシントン市内のほとんどの道路を閉鎖

バージニア州とメリーランド州など郊外から都心に入ってくる一部の道路は就任式１週間前の１３日から封鎖が始まり、通勤ラッシュの時間でもないのに渋滞が深刻だった。就任式２日前の１８日午前６時からはワシントン市内のほぼすべての車道が閉鎖され、ホワイトハウスと議事堂周辺の地下鉄駅も閉鎖され通過する。まるで城壁を築くように警戒が強化され、都市全体に嵐の前の夜の緊張感が流れた。ワシントン中心部のナショナルモールにあるスミソニアン博物館など普段は観光客が集まりにぎわっていたスポットは人影も少なく閑散とした様子だった。

大統領就任宣誓など就任式の本行事が行われる議事堂前庭では舞台設置作業の真っ最中だ。議事堂に隣接した大通りでは警察が周辺の交通を規制しながら開閉型バリケードの作動をテストした。普段は路面に広げてあるが警戒強化が必要な時には高さ１メートルを超えるバリケードが立ち上がる。テスト後に道路の規制を解除した現地警察は「議事堂警護に必要な隠れた防御壁だ」と話した。

◇大統領パレードルートも安全点検に奔走

この日、国防長官に指名されたピート・ヘグセス氏の承認公聴会が開かれた連邦上院前では米国とウクライナの国旗を持った一行５人が集まり、「ウクライナは米国の保護膜」と書かれたプラカードを持ちウクライナ支援を要求するデモを行った。あるデモ参加者は「トランプ氏はウクライナに対する軍事・財政支援に否定的だが第２次トランプ政権でも民主主義と国際秩序守護に向け両国間の協力関係を維持しなければならない」と話した。

議事堂からホワイトハウスにつながる約２キロメートルの８車線道路のペンシルベニアアベニューは道路整備作業の真っ最中だった。トランプ氏が２０日に議事堂前で就任宣誓をした後、ホワイトハウスまでパレードをする時に利用する通りだ。市当局は除雪車と作業員を動員して最近降った路上の雪を片づけて安全を点検した。通りの両側の路上駐車場は１２日から閉鎖された状態だ。

◇世界の富豪上位１～３位が就任式に出席

大統領就任式のチケットを持つ約２５万人をはじめと、合わせて１００万人前後がワシントンを訪れると予想される中、世界的ビッグテック企業の最高経営責任者（ＣＥＯ）も就任式に出席する。世界最高の富豪大１～３位に選ばれるテスラのイーロン・マスクＣＥＯ、アマゾンのジェフ・ベゾスＣＥＯ、メタのマーク・ザッカーバーグＣＥＯが行事会場の演壇上の目立つ席に座るだろうとＮＢＣが伝えた。マスク氏は大統領選挙期間に２億５０００万ドルを超える資金を寄付し、トランプ氏の当選後には最大の影響力を持つ側近に浮上した。ベゾス氏のアマゾンとザッカーバーグ氏のメタも就任委員会にそれぞれ１００万ドルの寄付金を出した。

ジョージ・Ｗ・ブッシュ元大統領夫妻、クリントン元大統領夫婦も慣例により就任式に出席する。オバマ元大統領も就任式に出る予定だがミシェル夫人は参加しないと１４日に明らかにした。ミシェル夫人は９日にワシントン国立大聖堂で行われたカーター元大統領の葬儀にも参加しなかった。

ワシントン市内のホテルは予約が困難で、宿泊料はすでに天井知らずに上がった。通常１泊２５０～４００ドル水準だったホワイトハウス周辺ホテルの料金は就任式直前の週末には最低でも６００ドル、最大で１９００ドルまで高騰した。