警察と高位公職者犯罪捜査処（公捜処）が近く内乱首魁被疑者である尹錫悦（ユン・ソクヨル）大統領の逮捕令状の再執行に出るという方針を再確認した。警察庁国家捜査本部は昨日の記者会見で「安全を最優先にして令状を執行する」という立場を明らかにした。安全のために最も懸念される点は警察と大統領警護処の物理的衝突の可能性だ。警察は現場で令状執行を妨害する警護処職員を公務執行妨害罪の現行犯で逮捕する計画だ。警察と公捜処は一度令状執行に失敗した経験があるだけに次は緻密な対策を立てて執行に臨まねばならないだろう。何よりも不幸な流血衝突だけはあってはならない。警護処職員も適法に発付された令状執行に対して最大限協力しなければならない。

警察の逮捕令状執行を控えて「強硬派」に分類される警護処指揮部の動きは心配だ。警護処職員は公務員だ。国民全体のために奉仕する存在であり、特定の人だけのための「私兵」ではない。ところで、ソウル漢南洞（ハンナムドン）大統領官邸をバス数台や鉄条網などを動員して「要塞化」したことから心配な状況だ。一昨日は警護処職員が戦術服とヘルメットを着用して細長いリュックサックを持って行き来する姿がメディアのカメラに捉えられた。野党からは銃器携帯の可能性を提起したが、警護処は特別な立場を示さなかった。万に一つでも令状執行過程で人命被害など不祥事が発生すれば重大な責任を免れることはできないだろう。

警護処指揮部に対して内部職員が動揺する雰囲気も伺える。野党「共に民主党」の尹建永（ユン・ゴンヨン）議員によると、警護処内部の掲示板には「逮捕令状は公務上正当な行為」という意見をまとめたＡ４用紙３枚分の投稿文が掲載された。この投稿文はキム・ソンフン警護処長職務代行（警護次長）の指示で削除されたが論争が大きくなると復元されたという。公捜処は警護処の各部署長に「違法な命令に従わないことは職務放棄ではない」という趣旨の公文書を送った。あわせて令状執行を妨害すれば「民刑事上の責任、公務員年金の受領制限など不利益が伴う場合がある」と強調した。公捜処の説明通り、警護処職員が上官の不当な命令に従って職業公務員として将来を亡ぼすようなことがないことを願う。


今からでも不必要な摩擦や衝突なく状況を解決するためには尹大統領が自ら官邸から出て被疑者調査を受ける方法しかない。検察総長の経験がある尹大統領は裁判所が発行した逮捕令状の意味を誰よりもよく知っているはずだ。これまで数回に及ぶ召喚調査にも応じず、逮捕令状の正当性を付与したのは尹大統領自身だった。これ以上国論分裂をあおらずに正当な法執行に協力することだけが尹大統領に唯一残された道だ。