日本の金融界、財界が「刺客」の登場におののいている。金融庁の不良債権処理チームに起用された木村剛（４０）ＫＦｉ代表が、その恐怖の対象だ。

無名コンサルティング企業代表だった同氏が突然注目を浴びたのは、２００１年６月、自民党経済産業部会に「経営不良企業３０社リスト」を提出してから。同氏は「日本の不良債権問題は、外見は正常でも中身が腐った３０の大手企業から始まった」とし、これらに対する早期処理を強調した。

当時は行き過ぎた強行論と見なされ、批判されたが、現在、日本金融改革の先鋒を自任する竹中平蔵金融相には、強烈なインパクトを与えた。「いつかは使ってみたい人物」と考えていた竹中金融相は先週末、プロジェクトチームに同氏を入れた。


木村氏は、問題とされる３０社に融資を行ってきた銀行が、これらが不良債権を抱えているという前提のもとで、貸倒引当金をさらに引き上げなければならないと主張する。

この過程で、銀行の赤字が増えたり自己資本率が下がったりすれば、公的資金を無制限に投入し、銀行を国有化しようとの考えだ。国有化を避けるため、銀行自らが融資回収に乗り出せば、経営不振の企業を早期になくせる、というのが同氏の説明だ。

同氏の企業構造改革論は、これから日本政府の公式的な「政策」として実行される可能性が高まっている。昨年提示された「経営不振企業３０社リスト」の約１０社が、既に倒産、もしくは法定管理状態にある。

侍にたとえて言葉を作るのを好む日本人は、木村を「金融乱世の忍者」と比喩する。