2024年7月3日に開かれた「下半期経済政策方向と躍動経済ロードマップ発表」会議前に韓悳洙首相が崔相穆経済副首相兼企画財政部長官とあいさつしている。[写真 大統領室写真記者団]
コリア・パッシング議論は朴槿恵(パク・クネ)大統領が弾劾された2017年にもあった。くしくもトランプ氏が米国大統領に就任した年だった。同年1月20日にトランプ氏は大統領に就任し、朴槿恵大統領は3月10日に弾劾された。コリア・パッシングはその後執権した文在寅(ムン・ジェイン)政権で本格的にふくらんだ。北朝鮮は同年に弾道ミサイル試験発射と6度目の核実験を敢行するなど挑発を持続し、新たに発足したトランプ政権と強く対立した。だが文在寅政権は開城(ケソン)工業団地と金剛山(クムガンサン)観光再開など北朝鮮との経済協力強化を推進し、これにより韓米間に不協和音が出てきた。ついに北朝鮮問題が発生する時に米日首脳間では円滑な疎通がなされたのに比べ韓米間では疎通不在という指摘が出てコリア・パッシングは国内政治問題にまで広がった。
しかし文在寅政権初期のコリア・パッシングは今回とは性格が大きく異なる。その原因が北朝鮮政策をめぐる対立だったためだ。歴史的に見るとコリア・パッシングは大きく2種類に分けられる。まず、われわれの無能による疎外だ。旧韓末の韓国の状況がそうだった。冷戦時代の北朝鮮政策が米国に大きく依存したのも韓国の対外影響力が不足していたためだ。2番目は強大国との対立により望んでいなのに疎外されることだ。文在寅政権初期の状況がこれに当たる。現在のコリア・パッシングはおそらく前者に当たるだろう。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が状況をひっくり返したためだ。先月16日にトランプ氏の大統領当選後初めての記者会見でこうした懸念は現実として現れた。韓半島(朝鮮半島)周辺強大国との首脳外交を予告しながらロシア、中国、日本、北朝鮮などと違い韓国には言及すらしなかった。
こうしたコリア・パッシングを防ぐためにトランプ政権に刻印させなければならないことは大きく2種類だ。最初に、北朝鮮問題と関連して韓国政府が排除されてはならないという点だ。2番目に、トランプ政権の最大の懸案のひとつである中国牽制に向けては韓米同盟、韓米日協力が必須ということだ。同盟の戦略的価値を強調しなければならないということだ。
トランプ大統領就任後に朝米両国はトランプ氏特有のトップダウン交渉方式と北朝鮮の「敵対的両国家論」がかみ合わさり2国間対話をする可能性が提起されている。これに対応するために韓国政府は最近「北朝鮮の核対応ロードマップ」を用意することにしたが、その効果を期待するのは難しいのが現実だ。「孤立主義」を掲げるトランプ氏の外交政策で同盟の価値を高めにくい。これを考慮したように、日本は2月に石破茂首相の訪米を推進するなど素早い対処に乗り出している。船長がいない韓国号が漂流するほかない理由だ。
現状は第1次トランプ政権当時とは違う。当時はトランプ大統領が議会と共和党を完全に掌握できておらず、初の任期をむかえる慎重さから政策を強く押し進めなかった。しかし今回はビクター・チャ氏の言葉通り、就任から100時間以内に重要な政策があふれる可能性が大きい。これにもかかわらず、韓国政府は借りてきた猫のような身分になる公算が大きい。その代価を次期政権が支払わなくてはならないのは問うまでもない。
チェ・イクジェ/国際選任記者
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