◆政治的強硬策が信頼喪失を加速
2024年現在、尹錫悦大統領とマクロン大統領も似たパターンの政治的失敗を繰り返している。尹錫悦大統領は強硬な政治的決断で危機に対処しようとしたが、戒厳令という極端な措置がむしろ政治的信頼をさらに悪化させた。戒厳令が撤回されたにもかかわらず波紋は広がり、劾議をめぐる論争が続いている。マクロン大統領は議会解散と早期総選挙に踏み切ったが、意図した政治的転換を生み出せなかった。極左勢力と極右勢力の浮上はフランス政治の中心を揺るがし、マクロン大統領は自身を孤立した指導者にする背景の中でより大きな混乱に直面している。
尹錫悦大統領とマクロン大統領はともに政治的、経済的危機の中で大衆の信頼を失い、ますます強硬な決断を出す悪循環に陥った。2人の事例は成熟した民主主義体制であってもリーダーシップの不在と意思疎通不足、そして腐敗にどれほど脆弱であるかを見せるデカルコマニーのようだ。
民主主義の危機事例はこの2国だけに限らない。ドイツではショルツ首相が予算政策葛藤で連立政権の崩壊を経験し、早期総選挙を準備中だ。極右政党のドイツのための選択肢(AfD)は支持率を2位に上げ、ドイツ政治の均衡を揺るがしている。実際、欧州全域では極左勢力と極右勢力の浮上が伝統的な民主主義秩序を揺さぶり、ハンガリーとポーランドでは権威主義政府が強化されてきた。日本では石破茂首相が連立政権の葛藤と経済政策の失敗で政権の危機を迎えている。米国ではトランプ前大統領の再執権が政治的二極化をさらに深めると懸念している。
こうした事例はグローバル民主主義が構造的な挑戦に直面していることを如実に見せている。経済的不平等、ポピュリズムの拡散、政治的二極化は従来の民主主義体制の脆弱性をより一層加速させている。その間、多くの国家にロールモデルを提供してきた西欧民主主義は同時多発的な危機に直面している。
◆国格の向上は難しいが、墜落は一瞬
2024年12月3日にソウル国際フォーラムと外交部が共同主催した韓国・欧州連合(EU)国際会議にレビツ元ラトビア大統領をはじめた欧州の著名な専門家らが集まった。経済革新で、防衛産業で、国際安保と国際規範の創出で韓国と欧州は現在、より同等な地位で協力を強化するべきだと口をそろえた。信じられない「真冬の夜の夢」を送った翌朝、会議でまた集まった出席者はみんな驚いた表情だった。韓国民主主義の復原力を信じて応援しながらも、今後の当分のリーダーシップ空白と国家的な信頼低下は避けられないとして遺憾を表した。
米国は「深刻な懸念」を表明しながら民主的手続きと法治主義を強調し、EUは戒厳の解除を歓迎しながら「民主主義の基本原則と市民の自由が維持されるべき」と指摘した。仏メディアは韓国の状況を集中的に報道し、戒厳令宣言を「民主主義の深刻な後退」と規定した。日本はそうでなくとも不安定な韓国との信頼関係がより一層難しくなることを憂慮し、民主的欠乏という致命的な弱点を持つ中国は韓国民主主義の混乱を興味深く見守っている。国格を高めるには長い時間がかかるが、失うのは一瞬だ。
緊張の冬、韓国の民主主義は新たに試されている。外から見るよりはるかに秩序整然で、迅速に民主主義の復原力を見せ、新しい道徳的リーダーシップを備えなければならない。成熟したソフトパワーなしには韓国の国際的な地位を築くことはできない。
韓国は今回の戒厳令事態を通じて、大統領の権限の分散と政治的協力文化を構築する必要性を痛感した。民主主義そのものが完ぺきな体制ではない。持続的な改革と大衆の信頼回復を通してのみ維持される体制だ。韓国とフランス、そしていくつかの西欧社会の政治的危機は、民主主義が限りない進化と革新を必要とするという点を如実に見せている。長い冬の真ん中で韓国の選択はグローバル民主主義の方向を決定する重要な試験になるだろう。
イ・ジェスン/高麗大国際学部教授
【コラム】緊張の冬、韓国とフランスの民主主義が試される(1)
2024年現在、尹錫悦大統領とマクロン大統領も似たパターンの政治的失敗を繰り返している。尹錫悦大統領は強硬な政治的決断で危機に対処しようとしたが、戒厳令という極端な措置がむしろ政治的信頼をさらに悪化させた。戒厳令が撤回されたにもかかわらず波紋は広がり、劾議をめぐる論争が続いている。マクロン大統領は議会解散と早期総選挙に踏み切ったが、意図した政治的転換を生み出せなかった。極左勢力と極右勢力の浮上はフランス政治の中心を揺るがし、マクロン大統領は自身を孤立した指導者にする背景の中でより大きな混乱に直面している。
尹錫悦大統領とマクロン大統領はともに政治的、経済的危機の中で大衆の信頼を失い、ますます強硬な決断を出す悪循環に陥った。2人の事例は成熟した民主主義体制であってもリーダーシップの不在と意思疎通不足、そして腐敗にどれほど脆弱であるかを見せるデカルコマニーのようだ。
民主主義の危機事例はこの2国だけに限らない。ドイツではショルツ首相が予算政策葛藤で連立政権の崩壊を経験し、早期総選挙を準備中だ。極右政党のドイツのための選択肢(AfD)は支持率を2位に上げ、ドイツ政治の均衡を揺るがしている。実際、欧州全域では極左勢力と極右勢力の浮上が伝統的な民主主義秩序を揺さぶり、ハンガリーとポーランドでは権威主義政府が強化されてきた。日本では石破茂首相が連立政権の葛藤と経済政策の失敗で政権の危機を迎えている。米国ではトランプ前大統領の再執権が政治的二極化をさらに深めると懸念している。
こうした事例はグローバル民主主義が構造的な挑戦に直面していることを如実に見せている。経済的不平等、ポピュリズムの拡散、政治的二極化は従来の民主主義体制の脆弱性をより一層加速させている。その間、多くの国家にロールモデルを提供してきた西欧民主主義は同時多発的な危機に直面している。
◆国格の向上は難しいが、墜落は一瞬
2024年12月3日にソウル国際フォーラムと外交部が共同主催した韓国・欧州連合(EU)国際会議にレビツ元ラトビア大統領をはじめた欧州の著名な専門家らが集まった。経済革新で、防衛産業で、国際安保と国際規範の創出で韓国と欧州は現在、より同等な地位で協力を強化するべきだと口をそろえた。信じられない「真冬の夜の夢」を送った翌朝、会議でまた集まった出席者はみんな驚いた表情だった。韓国民主主義の復原力を信じて応援しながらも、今後の当分のリーダーシップ空白と国家的な信頼低下は避けられないとして遺憾を表した。
米国は「深刻な懸念」を表明しながら民主的手続きと法治主義を強調し、EUは戒厳の解除を歓迎しながら「民主主義の基本原則と市民の自由が維持されるべき」と指摘した。仏メディアは韓国の状況を集中的に報道し、戒厳令宣言を「民主主義の深刻な後退」と規定した。日本はそうでなくとも不安定な韓国との信頼関係がより一層難しくなることを憂慮し、民主的欠乏という致命的な弱点を持つ中国は韓国民主主義の混乱を興味深く見守っている。国格を高めるには長い時間がかかるが、失うのは一瞬だ。
緊張の冬、韓国の民主主義は新たに試されている。外から見るよりはるかに秩序整然で、迅速に民主主義の復原力を見せ、新しい道徳的リーダーシップを備えなければならない。成熟したソフトパワーなしには韓国の国際的な地位を築くことはできない。
韓国は今回の戒厳令事態を通じて、大統領の権限の分散と政治的協力文化を構築する必要性を痛感した。民主主義そのものが完ぺきな体制ではない。持続的な改革と大衆の信頼回復を通してのみ維持される体制だ。韓国とフランス、そしていくつかの西欧社会の政治的危機は、民主主義が限りない進化と革新を必要とするという点を如実に見せている。長い冬の真ん中で韓国の選択はグローバル民主主義の方向を決定する重要な試験になるだろう。
イ・ジェスン/高麗大国際学部教授
【コラム】緊張の冬、韓国とフランスの民主主義が試される(1)
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