北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長がロシアに送った長射程砲は、ソウルなど首都圏を打撃するため前方に配備した物量の30%にのぼるという分析があった。このように核心戦力の空白まで甘受してロシア総力支援に出たのには、金正恩委員長が朝ロ間の「ならず者同盟」を長期的に維持する一方、通常兵器の現代化に拍車を加える狙いがあるという分析だ。
◆対南首都圏打撃用をロシアへ
軍事専門サイトのグローバルセキュリティと複数の軍情報筋によると、北朝鮮は最前方の西部戦線にソウルなど首都圏を狙って700門の170ミリ自走砲と240ミリ放射砲(多連装砲)体系を配備していることが明らかになった。170ミリ自走砲と240ミリ放射砲は北朝鮮が「ソウル火の海」脅迫をする際に主力としている長射程砲だ。射程距離は50-60キロと軍は推定している。
金竜顕(キム・ヨンヒョン)国防部長官は先月28日の国会国防委員会で、北朝鮮が現在まで170ミリ自走砲・240ミリ放射砲およそ200門をロシアに支援したと判断した。算術的に北朝鮮が首都圏打撃戦力の30%にのぼる長射程砲物量をロシアに渡したということだ。韓国国防研究院(KIDA)などは北朝鮮が長射程砲300門を総動員して1時間ほど損失なく撃つ場合、首都圏に1万6000発を浴びせることができると分析する。
金正恩委員長が対南打撃能力の損失を覚悟してロシアに長射程砲物量を供与したのは長い視点での投資とみることができる。
統一研究院のヒョン・スンス副院長は「長射程砲の首都圏配備規模を勘案すると、北がロシアに支援した長射程砲の規模がどれほど多いかが分かる」とし「これは金正恩委員長がウクライナ戦争でのプーチン大統領の勝利が自分たちの生死とつながっていると判断して『賭け』をしたという意味」と評価した。
軍と情報当局、ウクライナ政府の評価を総合すると、北朝鮮はこのほかにも「北朝鮮版イスカンデル」KN-23、「北朝鮮版エイタクムス」KN-24など短距離ミサイル(SRBM)と対戦車ミサイル体系プルセ(=火の鳥)4など新型武器も供与している。
◆「放射砲車をどんどん作るべき」 訳ある指示
軍当局は同時に北朝鮮のこうした「惜しまない供与」が最前方の通常兵器を画期的にアップグレードするための措置である可能性も念頭に置いている。旧型・新型武器を混ぜてロシアに大量に送れば、自然に北朝鮮内部でも武器体系の世代交代が進み、新型武器に対する実戦性の検証もできるという点でだ。これを通じて最終的に誘導機能や射程距離を大幅に改善した新型放射砲・弾道ミサイルで最前方火力体系を改善しようという狙いがあると、軍はみている。
実際、金正恩委員長は今年5月11日、「更新型240ミリ放射砲台車」生産工場で新型車両を直接運転しながら「我々式の放射砲車をどんどん作るべき」と述べた。8月には新型戦術弾道ミサイル(CRBM)火星11ラ型を搭載する移動式発射台(TEL)250両を最前方に実戦配備すると明らかにした。火星11ラ型は射程距離が110キロで、韓国軍の指揮部がある鶏竜台(ケリョンデ)まで打撃できる水準だ。
軍当局は2022年の国防白書で「北は前方に配備された170ミリ自走砲と240ミリ放射砲のほか、最近は射程距離を伸ばして精密誘導が可能な300ミリ放射砲、600ミリ超大型放射砲などを開発し、韓半島(朝鮮半島)全域を打撃できるよう火力を補強している」と評価した。
◆「北朝鮮版韜光養晦」準備か
ただ、軍の内外では、北朝鮮がある程度検証された旧型長射程砲を新型に完全に置き換えるには時間がかかるという見方が多い。新型武器の安定化段階が必要であるうえ、北朝鮮が「今年新しく組織された人民軍砲兵部隊」(5月13日、労働新聞)と明らかにしたように改編に合わせて兵力の訓練もしなければならないからだ。北朝鮮としては「領土完整」など乱暴な言葉を前に出しながらも韓国側との実戦が起こらないよう管理が必要な状況ということだ。
韓国側には「二つの国家関係」を宣言して門戸を閉じたまま「北朝鮮式の韜光養晦(密かに実力を高めること)」を図るという評価が出るのはこうした背景のためだ。軍内部では、北側が軍事境界線(DML)に沿って対戦車の溝を掘って地雷を埋設する目的で軍事的に防御線を構築する意味もあるとみている。
元軍関係者は「金正恩委員長はこの機会を最大限に活用し、ロシアから核・ミサイルだけでなく通常兵器の現代化に関連した技術の移転を受けることに注力するはず」と言及した。
◆北「『来年度闘争方向決定』年末全員会議招集」
一方、北朝鮮が今月下旬に労働党中央委員会全員会議を開催すると、朝鮮中央通信が3日報じた。メディアは「党中央委政治局が第8期第11回全員会議を招集することにした」とし「2024年度の党・国家政策の執行定形を総和し、2025年度の闘争方向など重要な一連の問題を討議、決定する」と伝えた。これを受け、金正恩委員長が年末の全員会議の演説を通じて、北朝鮮軍の派兵をはじめとするロシアとの軍事協力、トランプ新政権と関連した対米政策基調などを明らかにするかが注目される。
◆対南首都圏打撃用をロシアへ
軍事専門サイトのグローバルセキュリティと複数の軍情報筋によると、北朝鮮は最前方の西部戦線にソウルなど首都圏を狙って700門の170ミリ自走砲と240ミリ放射砲(多連装砲)体系を配備していることが明らかになった。170ミリ自走砲と240ミリ放射砲は北朝鮮が「ソウル火の海」脅迫をする際に主力としている長射程砲だ。射程距離は50-60キロと軍は推定している。
金竜顕(キム・ヨンヒョン)国防部長官は先月28日の国会国防委員会で、北朝鮮が現在まで170ミリ自走砲・240ミリ放射砲およそ200門をロシアに支援したと判断した。算術的に北朝鮮が首都圏打撃戦力の30%にのぼる長射程砲物量をロシアに渡したということだ。韓国国防研究院(KIDA)などは北朝鮮が長射程砲300門を総動員して1時間ほど損失なく撃つ場合、首都圏に1万6000発を浴びせることができると分析する。
金正恩委員長が対南打撃能力の損失を覚悟してロシアに長射程砲物量を供与したのは長い視点での投資とみることができる。
統一研究院のヒョン・スンス副院長は「長射程砲の首都圏配備規模を勘案すると、北がロシアに支援した長射程砲の規模がどれほど多いかが分かる」とし「これは金正恩委員長がウクライナ戦争でのプーチン大統領の勝利が自分たちの生死とつながっていると判断して『賭け』をしたという意味」と評価した。
軍と情報当局、ウクライナ政府の評価を総合すると、北朝鮮はこのほかにも「北朝鮮版イスカンデル」KN-23、「北朝鮮版エイタクムス」KN-24など短距離ミサイル(SRBM)と対戦車ミサイル体系プルセ(=火の鳥)4など新型武器も供与している。
◆「放射砲車をどんどん作るべき」 訳ある指示
軍当局は同時に北朝鮮のこうした「惜しまない供与」が最前方の通常兵器を画期的にアップグレードするための措置である可能性も念頭に置いている。旧型・新型武器を混ぜてロシアに大量に送れば、自然に北朝鮮内部でも武器体系の世代交代が進み、新型武器に対する実戦性の検証もできるという点でだ。これを通じて最終的に誘導機能や射程距離を大幅に改善した新型放射砲・弾道ミサイルで最前方火力体系を改善しようという狙いがあると、軍はみている。
実際、金正恩委員長は今年5月11日、「更新型240ミリ放射砲台車」生産工場で新型車両を直接運転しながら「我々式の放射砲車をどんどん作るべき」と述べた。8月には新型戦術弾道ミサイル(CRBM)火星11ラ型を搭載する移動式発射台(TEL)250両を最前方に実戦配備すると明らかにした。火星11ラ型は射程距離が110キロで、韓国軍の指揮部がある鶏竜台(ケリョンデ)まで打撃できる水準だ。
軍当局は2022年の国防白書で「北は前方に配備された170ミリ自走砲と240ミリ放射砲のほか、最近は射程距離を伸ばして精密誘導が可能な300ミリ放射砲、600ミリ超大型放射砲などを開発し、韓半島(朝鮮半島)全域を打撃できるよう火力を補強している」と評価した。
◆「北朝鮮版韜光養晦」準備か
ただ、軍の内外では、北朝鮮がある程度検証された旧型長射程砲を新型に完全に置き換えるには時間がかかるという見方が多い。新型武器の安定化段階が必要であるうえ、北朝鮮が「今年新しく組織された人民軍砲兵部隊」(5月13日、労働新聞)と明らかにしたように改編に合わせて兵力の訓練もしなければならないからだ。北朝鮮としては「領土完整」など乱暴な言葉を前に出しながらも韓国側との実戦が起こらないよう管理が必要な状況ということだ。
韓国側には「二つの国家関係」を宣言して門戸を閉じたまま「北朝鮮式の韜光養晦(密かに実力を高めること)」を図るという評価が出るのはこうした背景のためだ。軍内部では、北側が軍事境界線(DML)に沿って対戦車の溝を掘って地雷を埋設する目的で軍事的に防御線を構築する意味もあるとみている。
元軍関係者は「金正恩委員長はこの機会を最大限に活用し、ロシアから核・ミサイルだけでなく通常兵器の現代化に関連した技術の移転を受けることに注力するはず」と言及した。
◆北「『来年度闘争方向決定』年末全員会議招集」
一方、北朝鮮が今月下旬に労働党中央委員会全員会議を開催すると、朝鮮中央通信が3日報じた。メディアは「党中央委政治局が第8期第11回全員会議を招集することにした」とし「2024年度の党・国家政策の執行定形を総和し、2025年度の闘争方向など重要な一連の問題を討議、決定する」と伝えた。これを受け、金正恩委員長が年末の全員会議の演説を通じて、北朝鮮軍の派兵をはじめとするロシアとの軍事協力、トランプ新政権と関連した対米政策基調などを明らかにするかが注目される。
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