中国安徽省合肥にあるCXMTの半導体工場。[写真 CXMT]
◇あいまいな制裁? 米国の計算
ブルームバーグは先月27日、複数の消息筋の話としてバイデン政権が早ければ今週にも対中追加半導体輸出規制を発表するだろうと報道した。当初伝えられたより米国の規制範囲は縮小される雰囲気だ。最近技術自立に出た中国最大ファウンドリー(半導体委託生産)のSMICをはじめ、ファーウェイの主要供給網が新たに制裁リストに登録される見通しだが、相当数の中国半導体企業は依然としてブラックリスト網から抜け出る可能性が大きい。
これは中国の半導体企業を顧客に持つラムリサーチやアプライドマテリアルズなど米国の半導体装備企業がバイデン政権にロビー活動を展開した影響と分析される。これら企業の中国売り上げの割合は40%を超える。制裁によって中国に装備を売れなくなれば業績急落が避けられない状況で米政府を相手に必死のロビーを展開したという。ブルームバーグなど外信は「半導体製造装備が勝利を収めた」と評価するとも伝えた。
一見あいまいに見える米国の制裁の裏に戦略的布石が敷かれているという評価もある。半導体業界関係者は「AIなど高性能半導体と最終チップ生産だけ確実に締め上げれば良いというのが米国の戦略。旧型チップと半導体装備を緩めればむしろ中国の半導体産業がエヌビディアをはじめとする米国のAI半導体企業と装備企業に従属するだろうという計算まで反映されたもの」と話す。こうした話が伝えられ、東京エレクトロンやオランダASMLなど米国以外の主要半導体装備企業の株価が上昇傾向を見せたりもした。
◇メモリーは制限しない
「中国の先端半導体技術発展を防ぐ」という基調にバイデン政権と次期トランプ政権の考えは一致した状況だが、サムスン電子とSKハイニックスはなかなか笑えずにいる。米国の照準に中国のメモリー半導体が見られないためだ。中国最大のDRAMメーカー、CXMTはブラックリストに含まれない可能性が高いと伝えられた。CXMTは今年旧型DRAMであるDDR4などを低価格で販売しメモリー市場に衝撃を与えている。
AIを除いた市場全般の需要が依然として振るわない中でCXMTとYMTCが生産量を増やし、汎用DRAMやNAND型フラッシュの価格は急落している。DRAMエクスチェンジによると、PC用DRAM汎用製品(DDR4 8Gb)の11月の平均固定取引価格は前月より20.59%下がった1.35ドルで今年最低水準だ。NAND汎用製品(128Gb MLC)もやはり前月より29.8%落ちた。
すでに「決まった未来」になった中国DRAM企業の物量攻勢を防ぐのがますます難しくなる様相だ。7-9月期に市場の期待値を下回る成績を出したサムスン電子の業績ショックもやはり中国メモリーの攻勢のためだった。サムスン電子は業績発表当日、異例にも「中国メモリー企業の旧型製品供給増加で業績が下落した」として別途の立場を出した。中国のメモリー追撃はサムスン電子だけでなく、広帯域メモリー(HBM)中心の高付加価値市場に比較的早く乗り換えたSKハイニックスにも障害として作用するほかない。
しかも中国AI産業の発展を防ぐために米国の細かなHBM輸出制限が今後どのような方法ででも含まれる可能性が高く、サムスン電子とSKハイニックスの憂いはさらに深まっている。半導体専門調査機関テックインサイツのチェ・ジョンドン首席副社長は「現在中国が主に買い入れている第2世代HBM2と第3世代HBM2Eはほとんどがサムスン電子、一部SKハイニックスで生産されたチップ。もし輸出制限がかかれば一定部分で打撃は避けられない」と話した。
半導体業界関係者は「中国メモリー半導体の攻勢は韓国の立場でも悩みの種であるが、率直に米国には思ったほど大きな問題ではないだろう。韓国の半導体業界ももう中国リスクから抜け出す独自の戦略を用意しなければならない」と話した。
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