済州(チェジュ)特別自治道が大韓民国初の「国家遺産訪問の年」地域になった。
2024年5月、国家遺産基本法の施行で文化財は国家遺産に、文化財庁は国家遺産庁にそれぞれ名称が変わり、有無形遺産に対する分類も大々的な調整が行われた。文化財が国家遺産体制に全面的に改定されて遺産管理パラダイムも従来の保存・規制中心の政策から抜け出して国家遺産の未来価値を創出してこれを増進する趣旨へと転換が図られた。このような変化の始まりに先立ち、済州特別自治道が全国で初めて施行する「国家遺産訪問の年」地域に選ばれ、10月19日済州牧官衙では「2025済州国家遺産訪問の年」対国民宣言記念式を開催した。
島全体が多様な国家遺産の宝庫である済州が、全国に先駆けてモデル事業に選ばれたのは偶然ではない。
「火山博物館」と呼ばれるほど多様で独特の火山地形を誇る済州の地には、大小360カ所余りからなるオルム(済州の言葉で「丘」という意味)があり、地下には160カ所余りの溶岩洞窟がある。済州は2002年12月、生物の多様性を保全する重要性を認められて生物圏保全地域に指定され、2007年7月済州島が持つ秘境の卓越した景観的価値によって世界自然遺産に登録された。2010年10月火山島の地質学的価値を認められて世界地質公園に指定された済州は、国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)が認証した自然遺産とあわせて済州に点在するさまざまな文化遺産、そして韓半島(朝鮮半島)で唯一残る固有の創世神話と1万8000の神々が道民とともに暮らしている「神々の島」という済州にしかないアイデンティティが作り出した独特の無形遺産がある。
「国家遺産訪問の年」モデル事業地域に指定されたことから、2025年に済州を訪ねる世界の観光客が、済州の持つ多様でユニークな国家遺産の過去から降りてくる価値とともに、現在を生きる国民の参加で、新たな未来価値を経験して理解できるように多様な企画をしている。済州特別自治道は国家遺産と済州の伝説、神話をつなぐストーリー型コンテンツを発掘し、ここから4つの国家遺産ストーリーツアーを作った。そのひとつ「女神に聞け」コースが前述の宣言式で初めてデビューを飾り、10月19日から26日の約1週間、成功裏にモデル実施された。
▲神々が消えた-ストーリーツアー1.女神に聞け
済州にいるといわれる1万8000の神々、その神々が済州から消えたという想像から「女神に聞け」ストーリーツアーは始まる。
済州には「新旧間(シングガン)」という歳時風俗がある。新旧間(大寒5日後から立春3日前)には地上の任期を終えた神々が天に昇り、新たな任務を受けた神々が降りてくる交代期間で、地上に神がいない期間だ。それでこの期間に引っ越しや家の修理など、いつも神々がいるためにできなかったりダブー視されたりしたことをやっても災いがないと信じられてきて、今も済州道民にとって新旧間は意味のある風俗だ。
「神々が消えた」の物語には、新旧間に昇天しなかった「厠間(チュッカン)神」、天に昇ったが地上で「天の扉」の鍵を失くした「ソルムンデ」、そして「ペクジュット」「ヨンドゥン」など多くの神々が登場する。この物語の背景に登場する済州のさまざまな女神に会える「女神に聞け」コースは、済州チルモリ堂燃燈グッ伝授館から始まり、「ペクジュット」女神を探して松堂本郷堂(ソンダン・ポンヒャンダン)へ、「ソルムンデ」ハルマン(済州の言葉で「お婆さん」を意味する)を探してタランシュィオルムへ、そして「厠間神」のことが思い浮かぶ城邑(ソンウプ)民俗村へ向かう3つのコースに分かれている。
国家無形遺産に登録されて2009年ユネスコ人類無形文化遺産にも登録された済州チルモリ堂燃燈グッ(Jeju Chilmeoridang Yeongdeunggut)は毎年陰暦2月、東側に住む済州神話のうち風と海の女神である「ヨンドゥン」ハルマンが年に一度済州島を訪問する時に行う巫女の儀式(グッ)のことを指す。「女神に聞け」コースのスタート地点である済州チルモリ堂燃燈グッ伝授館は済州チルモリ堂燃燈グッの伝授教育が行われると同時に、済州巫俗文化全般に対する理解を促進するためにメディアアートを含む常時展示と各種常設公演が行われている場所だ。
Aコースに沿って進むと、農耕の女神として知られている「ペクジュット」の神像のある松堂本郷堂にたどり着く。ペクジュットは、済州の女性たちが自ら能動的に主体的に生きていくために影響を与えた女神であり、数多くの神々を誕生させた堂神の母だ。堂々と運命を切り開いた女神に会った後、タンオルムのトゥルレギルを散策してAコースは終わる。
Bコースは済州に点在する多くの痕跡とさまざまな伝説を残した女神「ソルムンデ」ハルマンの痕跡をたどる。破天荒で巨大な図体を持つ「ソルムンデ」ハルマンの泥遊びで誕生した漢拏山(ハルラサン)と済州の数多くのオルム、そのうち「ソルムンデハルマンの噴火口」として有名なタランシュィオルムの噴火口に探検家を誘う。伝説によれば、ソルムンデハルマンが漢拏山を作る時、一握り一握りつかんでできた数多くのオルムのうち、タランシュィオルムがあまりにも目立ちすぎて、女神が拳で一打ちしたが、それによってここが割れて噴火口になったという。
済州の伝統的な家屋は荒々しい済州の風と防災に備えた形で、家の至るところに神々がいると信じられてきた。トンシ(済州の伝統的トイレ)の「厠間神」、台所の「竈王(チョワン)神」、玄関の「門前(ムンジョン)神」などがよく知られているが、Cコースに沿って城邑民俗村に立ち寄り、済州の伝統藁葺民家や高昌煥(コ・チャンファン)古宅、韓奉一(ハン・ボンイル)古宅などを訪問すれば、「神々が消えた」の主人公・厠間神が思い浮かぶことだろう。
国内初「国家遺産訪問の年」地域に選ばれた済州…神々の島、遺産の宝庫(2)
2024年5月、国家遺産基本法の施行で文化財は国家遺産に、文化財庁は国家遺産庁にそれぞれ名称が変わり、有無形遺産に対する分類も大々的な調整が行われた。文化財が国家遺産体制に全面的に改定されて遺産管理パラダイムも従来の保存・規制中心の政策から抜け出して国家遺産の未来価値を創出してこれを増進する趣旨へと転換が図られた。このような変化の始まりに先立ち、済州特別自治道が全国で初めて施行する「国家遺産訪問の年」地域に選ばれ、10月19日済州牧官衙では「2025済州国家遺産訪問の年」対国民宣言記念式を開催した。
島全体が多様な国家遺産の宝庫である済州が、全国に先駆けてモデル事業に選ばれたのは偶然ではない。
「火山博物館」と呼ばれるほど多様で独特の火山地形を誇る済州の地には、大小360カ所余りからなるオルム(済州の言葉で「丘」という意味)があり、地下には160カ所余りの溶岩洞窟がある。済州は2002年12月、生物の多様性を保全する重要性を認められて生物圏保全地域に指定され、2007年7月済州島が持つ秘境の卓越した景観的価値によって世界自然遺産に登録された。2010年10月火山島の地質学的価値を認められて世界地質公園に指定された済州は、国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)が認証した自然遺産とあわせて済州に点在するさまざまな文化遺産、そして韓半島(朝鮮半島)で唯一残る固有の創世神話と1万8000の神々が道民とともに暮らしている「神々の島」という済州にしかないアイデンティティが作り出した独特の無形遺産がある。
「国家遺産訪問の年」モデル事業地域に指定されたことから、2025年に済州を訪ねる世界の観光客が、済州の持つ多様でユニークな国家遺産の過去から降りてくる価値とともに、現在を生きる国民の参加で、新たな未来価値を経験して理解できるように多様な企画をしている。済州特別自治道は国家遺産と済州の伝説、神話をつなぐストーリー型コンテンツを発掘し、ここから4つの国家遺産ストーリーツアーを作った。そのひとつ「女神に聞け」コースが前述の宣言式で初めてデビューを飾り、10月19日から26日の約1週間、成功裏にモデル実施された。
▲神々が消えた-ストーリーツアー1.女神に聞け
済州にいるといわれる1万8000の神々、その神々が済州から消えたという想像から「女神に聞け」ストーリーツアーは始まる。
済州には「新旧間(シングガン)」という歳時風俗がある。新旧間(大寒5日後から立春3日前)には地上の任期を終えた神々が天に昇り、新たな任務を受けた神々が降りてくる交代期間で、地上に神がいない期間だ。それでこの期間に引っ越しや家の修理など、いつも神々がいるためにできなかったりダブー視されたりしたことをやっても災いがないと信じられてきて、今も済州道民にとって新旧間は意味のある風俗だ。
「神々が消えた」の物語には、新旧間に昇天しなかった「厠間(チュッカン)神」、天に昇ったが地上で「天の扉」の鍵を失くした「ソルムンデ」、そして「ペクジュット」「ヨンドゥン」など多くの神々が登場する。この物語の背景に登場する済州のさまざまな女神に会える「女神に聞け」コースは、済州チルモリ堂燃燈グッ伝授館から始まり、「ペクジュット」女神を探して松堂本郷堂(ソンダン・ポンヒャンダン)へ、「ソルムンデ」ハルマン(済州の言葉で「お婆さん」を意味する)を探してタランシュィオルムへ、そして「厠間神」のことが思い浮かぶ城邑(ソンウプ)民俗村へ向かう3つのコースに分かれている。
国家無形遺産に登録されて2009年ユネスコ人類無形文化遺産にも登録された済州チルモリ堂燃燈グッ(Jeju Chilmeoridang Yeongdeunggut)は毎年陰暦2月、東側に住む済州神話のうち風と海の女神である「ヨンドゥン」ハルマンが年に一度済州島を訪問する時に行う巫女の儀式(グッ)のことを指す。「女神に聞け」コースのスタート地点である済州チルモリ堂燃燈グッ伝授館は済州チルモリ堂燃燈グッの伝授教育が行われると同時に、済州巫俗文化全般に対する理解を促進するためにメディアアートを含む常時展示と各種常設公演が行われている場所だ。
Aコースに沿って進むと、農耕の女神として知られている「ペクジュット」の神像のある松堂本郷堂にたどり着く。ペクジュットは、済州の女性たちが自ら能動的に主体的に生きていくために影響を与えた女神であり、数多くの神々を誕生させた堂神の母だ。堂々と運命を切り開いた女神に会った後、タンオルムのトゥルレギルを散策してAコースは終わる。
Bコースは済州に点在する多くの痕跡とさまざまな伝説を残した女神「ソルムンデ」ハルマンの痕跡をたどる。破天荒で巨大な図体を持つ「ソルムンデ」ハルマンの泥遊びで誕生した漢拏山(ハルラサン)と済州の数多くのオルム、そのうち「ソルムンデハルマンの噴火口」として有名なタランシュィオルムの噴火口に探検家を誘う。伝説によれば、ソルムンデハルマンが漢拏山を作る時、一握り一握りつかんでできた数多くのオルムのうち、タランシュィオルムがあまりにも目立ちすぎて、女神が拳で一打ちしたが、それによってここが割れて噴火口になったという。
済州の伝統的な家屋は荒々しい済州の風と防災に備えた形で、家の至るところに神々がいると信じられてきた。トンシ(済州の伝統的トイレ)の「厠間神」、台所の「竈王(チョワン)神」、玄関の「門前(ムンジョン)神」などがよく知られているが、Cコースに沿って城邑民俗村に立ち寄り、済州の伝統藁葺民家や高昌煥(コ・チャンファン)古宅、韓奉一(ハン・ボンイル)古宅などを訪問すれば、「神々が消えた」の主人公・厠間神が思い浮かぶことだろう。
国内初「国家遺産訪問の年」地域に選ばれた済州…神々の島、遺産の宝庫(2)
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