代表的な事例が第22代総選挙の直前だった「医学部増員関連の国民向け談話」(今年4月1日)だ。当時、与党は「医療大乱」の解決に向けて尹大統領が医学部2000人増員方針を柔軟に調整するだろうと期待した。しかし実際にふたを開けてみると、尹大統領は「2000人は政府が詳細に計算して算出した最小限の増員規模」とし「政府は確実な根拠を持って十分な議論を経て増員を決定した」と釘を刺した。医療界に向けて「さらに合理的な案を持ってくればいくらでも議論することが可能」としたが、会見を見た大多数の国民は大統領は少しも譲歩する考えがないという印象を受けた。最近発行された国民の力の総選挙白書は「談話の直後、候補者の間では絶望が広がり、民心が底まで落ち、いかなる選挙運動も効果がないという嘆きが出るしかなかった」と記述した。
就任2周年の会見(今年5月9日)はチェ上等兵事件特検や金建希(キム・ゴンヒ)夫人問題特検に少しも進展した立場を見せず、野党の強い反発を呼んだ。8月29日の国政ブリーフィングでも「経済が確実に回復している」「非常診療体系が円滑に稼働している」と自画自賛に重点を置いただけで、反省と省察はほとんどなかった。当時「金夫人特恵調査」について、尹大統領は「私も元大統領夫人に対して遠く自宅まで訪ねて調べたことがある」などの言葉で一貫した。