中国の私教育抑制方針である「双減」政策が施行3年目を迎えて、私教育の陰性化で教育格差は広がった一方で入試負担感は軽減されていないという研究結果が公表された。[写真 Shutterstock]
この日第一セッションの発表者として登壇した漢陽(ハニャン)大学中国問題研究所のチェ・ウォンソン研究委員は「習近平政府の双減政策施行後の保護者の実質的認識および政策受容度」という研究で、北京・上海・吉林省・遼寧省・浙江省などの地域の30~40代中産層保護者を対象に実施した深層インタビューの内容とその分析結果を発表した。
チェ教授の紹介によると、本調査は1日から12日まで実施され、教育に熱心な都市を中心に保護者7人を選定して約60分ほど電話を通じてインタビューを行った。チェ教授は「義務教育段階で中国学生たちの学業負担と親の私教育負担を軽減するために導入された『双減』政策は効果が薄く、かえって中国の私教育市場をさらに陰性的に大きくする結果をもたらした」とし「根本的な入試制度の改革なしで、この政策は今後も維持するのは難しい」という結論を出した。
分析によると、「双減」措置施行後、入試負担の少ない小学校では試験や宿題などにある程度変化はあったものの、入試を控えた中学校では相変らず先行学習が盛んに行われるなど政策効果がほとんどなかった。また、私教育陰性化により教育情報の獲得はさらに難しくなり、経済的水準にともなう教育不平等はますます深刻化しているという評価だ。
チェ教授は従来の研究ではあまり表に出てこなかった「双減」政策のさまざまな副作用について指摘した。具体的な事例を挙げると、ある保護者は強制的試験禁止措置のために低学年の子女の学業能力を十分に把握できず、高学年になった子女の学業習熟度が低くなるとその責任を教師に転嫁して葛藤を深めた。また、低価の授業料にも放課後の授業準備や保護者の苦情を一手に引き受けなければならない教師の業務負担が増し、それにともなうストレスも大幅に増えたことが分かった。
チェ教授は中国の親の学歴が高いほど政策に対する満足度は低く、入試に対する不安や放課後の授業品質に対する不満にも変化がないと分析した。調査によると、農村に居住あるいは経済的に厳しい家庭は私教育を最初からあきらめたが、大都市に居住あるいは経済的余裕のある家庭は裏で追加金(チップ)を与えて私教育を行っていて教育格差は一段と拡大していた。
特にほとんどの中国保護者が「双減」政策に否定的な立場を取る理由は入試に対する不安のためだ。中国は高校入学競争が非常に激しいが、私教育が禁止されていて情報がより一層陰性化され、富裕層だけが高級情報を独占するため子女教育において親の経済力の重要性がさらに増した。政策施行後3年を越えたが、中国一般保護者は政策の効能よりも不安を強く感じざるをえない構造だ。
それだけでなく「双減」政策によると、原則的に学校に英才班・優秀班を設置してはいけないが一部学校は優等生を別に選抜して放課後授業の名目で「優劣班」を運営している。「双減」措置施行後、一時は住み込み家政婦の賃金が高騰したが、一部の高所得層保護者がマンツーマンの家庭教師を家事手伝いに偽装して雇用したためだ。このため学生の間でも隣人を互いに告発し合うことも頻繁に起きた。
チェ教授はこれまで中国国内の「双減」政策関連研究が中国政府の宣伝目標に合致する学生および保護者の満足度調査だけに重点を置き、メディアの関心は中国の私教育業界の没落だけに集中していたと指摘した。実際、中国では宿題や試験の負担が減った学生たちの満足度が90%を超え、小都市・農村などの保護者の教育費支出が減少したという報告が多い。
今回の調査で進めた深層インタビュー方式は、従来の短答型アンケート調査や量的研究では見過ごされやすい政策効果に対する保護者のリアルな意見と政策執行過程での困難などの要素を補完したという点で意味がある。中国「双減」政策が直面している試行錯誤は、公教育の質向上や随時選考(随時募集)型の拡大などの入試制度の改革なく、単なるごり押し政策だけでは保護者の教育熱を冷ますことができないことを韓国にも示唆している。
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