芸能人の特別扱いが俎上に上がった仁川（インチョン）空港の「有名人別途出入り口使用計画」が施行一日を控えて電撃撤回された。今回のことで仁川国際空港が第２旅客ターミナル拡張開港を控えて推進しようとした「ファストトラック」（Ｆａｓｔ　ｔｒａｃｋ・迅速出国サービス）の有料化導入も再び原点に戻った。




仁川国際空港公社は２８日から施行予定だった芸能人など有名人の別途の出入り口使用手続きを施行しないと２７日、明らかにした。仁川国際空港公社は「国政監査およびメディア報道などで提起された様々な意見を考慮し、２８日施行予定だった『多重密集状況で有名人の別途出入り口使用手続き』は施行しない予定」と明らかにした。


これに先立って、仁川空港公社は２８日から芸能人の出国時に一般利用客の安全のために仁川空港で運営中の乗務員・操縦士、外交官などが通過する専用出入り口を利用できるように手続きを用意したと明らかにしたことがある。

このような内容が知られると、事故予防のレベルだといっても公務ではなく営利活動のために出国する芸能人に過度な特恵を与えるという指摘が提起された。

この問題で取り上げられた別途の出入り口は一種のファストトラック、すなわち迅速出国サービスだ。別途に設けられた専用出国通路を通じてセキュリティ検索と出入国審査を受け、早い出国が可能だ。韓国内では障害者や妊婦など交通弱者や操縦士・乗務員などが別途の出入り口を利用して出国している。仁川空港の第１旅客ターミナル（Ｔ１）と第２ターミナル（Ｔ２）の６カ所にファストトラックが運営されている。優秀納税者や家族親和認証企業など一部の企業家も利用可能だ。

仁川国際空港公社は、空港競争力の強化などを理由に、ファストトラックの利用対象を拡大する方針を推進している。仁川空港と競争する海外空港では、すでに一般的なサービスとして位置づけられているからだ。

航空会社はビジネスクラス以上の搭乗客に差別化したサービス提供のため、公社は乗客処理の効率性と国際競争力の強化などのためにファストトラック対象者の拡大が必要だというのが空港公社の立場だ。

航空業界によると、国際線旅客輸送実績が最も多かった２０１９年基準で世界上位２０位の空港の中で空港１９カ所でファストトラックサービスを運営中だ。ほとんどが航空会社のビジネス座席以上を購入する乗客や、早い出国を希望する乗客に有料で販売している。

仁川国際空港公社は２０１８年仁川空港第２旅客ターミナル開港とコロナ禍以降に続いた空港公社赤字解決案を模索した２０２２年にファストトラックの有料化を推進したが、政府は空港利用客間の違和感をあおる可能性があるという理由で承認しなかった。

仁川国際空港公社は今年末、第２ターミナルの拡張開港を控え、ファストトラックの有料化導入を再度推進する計画だった。しかし、今回の芸能人特別扱い論争で、当分の間、再推進は難しいものとみられる。仁川国際空港公社関係者は「空港競争力の強化を理由にファストトラックの導入を再推進しようとしたが、この論争が巻き起こり公社内部でも慎重を期する必要があるという意見が優勢だ」と話した。

政府が仁川空港パストラックの導入に反対する理由は、国民感情だ。空港という公共財を利用するにあたって、利用客間の差別があってはならないという理由からだ。特に、今回の有名人の別途の出入り口使用計画でもわかるように、論争があり得るという理由で今後もファストトラックの導入検討計画がないことを明確にした。国土交通部のシン・ユグン航空政策課長は「空港という施設自体が公共財の意味をもつだけに、客に差別をつけることはあり得ないという従来の政府の立場には変わりがない」と述べた。