パンダの資料写真[Pixabay]
中国が1990年代から進めてきたパンダ外交の一環で、3歳のメスパンダ「チンバオ(青宝)」とオス「バオリー(宝力)」は今後10年間、ワシントンのスミソニアン国立動物園で暮らすことになる。
ワシントンに新しいパンダのカップル一組が到着して米国内のパンダファンの期待が高まっている。
パンダは来年1月24日から大衆に公開される予定だ。
この日、米国ニューヨーク・タイムズ(NYT)はパンダの到着とあわせて30年以上続いてきた中国パンダ外交の影の面に光を当てた。NYTによると、中国は絶滅危惧種を救うという目標の下、1990年代から外国の動物園にパンダをレンタルしている。レンタルされた動物園は一組あたり年間110万ドル(約1億6400万円)のレンタル料を中国に支払い、中国はこれを自国内のパンダ棲息地の保存に使っている。
◇「人工繁殖に苦しめられる…」パンダ外交の暗い真実
最終的な目標は絶滅危惧種であるパンダをいつか再び野生に帰すことだが、野生復帰に成功したパンダは極めて珍しい。スミソニアン協会の記録などによると、野生に戻ったパンダよりも再び捕えられて飼育場に戻ったパンダのほうが多い。
その後、動物園で飼育されたパンダは人工繁殖の過程で命を落とすこともあったとNYTは指摘した。動物園で飼育されるパンダのメスの場合、1年に3日間だけ繁殖することができる。これによって科学者は主に人工繁殖に集中している。
NYTが確保した記録によると、中国では繁殖のために一部のメスパンダに5日間で6回も人工受精を試みた。この過程であるパンダは子宮を負傷し、嘔吐症状を示したこともある。オスパンダからは麻酔した後電気刺激を与えて精子を採取した。あまりにも高い電気刺激を受けたオスパンダは数カ月間、血が混ざった便をしたり食欲を失ったりしたという。
◇少なくとも21回人工受精…繁殖ための「虐待」
スミソニアン動物園も繁殖のためにパンダを「虐待」したという批判から自由ではない。2000年スミソニアン動物園にレンタルされたパンダ「メイシャン(美香)」は2005年初めて人工受精を通じて子を産んだ。その後もメイシャンは少なくとも21回の人工受精を強いられた。この過程で嘔吐をしたほか回復がなかなか進まなかったという記録が残っている。
NYTは2000年前後半の間に126頭のパンダが動物園で飼育されたが、今は700頭以上が動物園に暮らしているとしながら野生に帰す展望のない動物を人工的に集中繁殖させることが倫理的なのか考えてみるべき問題だと指摘した。ただし、中国成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地は過度な電圧を使用したり動物に害を与えたりしたことはないと否定した。
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