ガザ戦争が勃発して7日で1年になるが、中東情勢は霧の中だ。韓国でイスラエルとパレスチナの両方で公館長を務めた唯一の外交官である馬寧三(マ・ヨンサム)元駐イスラエル大使(初代駐パレスチナ代表部代表も歴任)に先月26日と今月4日の2度にわたる電話インタビューで今後の中東の見通しを尋ねた。
――ガザ戦争1年、どのように見るか。
「イスラエルがハマスに奇襲攻撃されてから1年間ガザ地区でハマス除去作戦が展開されハマスの戦力を大きく萎縮させた。だがハマス指導者であるシンワルを捕まえられず、ハマスは容易に人員補充でき安心できない。イスラエルは(ハマスと連帯するとして)北部を攻撃したヒズボラも粉砕しようとするが、ヒズボラはハマスよりはるかに強い。イスラエルとハマスが休戦するならばイランが率いるヒズボラなど『抵抗の軸』との衝突も止める口実になるが、この休戦が容易ではない」
――休戦交渉ができない理由は。
「イスラエルのネタニヤフ首相は極右勢力と連立政権で縛られているが、極右は休戦に反対して最後まで進もうという。米バイデン政権では大規模に犠牲者が発生すれば民主党の大統領候補であるハリス副大統領に不利なため協議案を生かそうと多くの努力を傾けている。しかしイスラエルとハマスの双方にうまく効かない。イスラエルは米国と同盟国でありながらも独自の声を出し米国の干渉も耐え抜く。バイデン大統領の圧迫にもネタニヤフ首相はびくともしない」
――イスラエルが正照準するイランはどのようにみるか。
「イランが1日にイスラエルに対して大規模ミサイル攻撃をしたが、米国との核協定を復元して経済制裁を解き国家経済の息の根を開かなくてはならないという考えから戦略的忍耐に行っている。イランは米大統領選挙でトランプ前大統領が当選すれば核協定復元交渉が水泡に帰すためトランプ氏の当選を望まず、ハリス氏の当選に役立つには戦争拡大を防がなければならないと考え忍耐しているのだ」
――休戦交渉の突破口になるカードはないか。
「ひとまずイスラエルの国民世論と経済的困難がネタニヤフ氏を圧迫できる。戦争を早く終わらせ人質を帰還させろという世論、戦争経費と予備軍招集などで経済が厳しいという世論などがネタニヤフ氏に負担になるだろう。そして米大統領選挙後に新大統領が決まれば新大統領の休戦イニシアチブをネタニヤフ氏が無視することは難しいだろう。トランプ氏は当選すれば戦争を早く終わらせると約束し、イランの核問題もけりをつけようとするだろう。ハリス氏が当選するならば平和交渉を早くまとめようとしイラン核協定も復元させようとするだろう。しかし核協定復元はそれほど容易ではなさそうだ」
――今後の中東平和の見通しは。
「イスラエルとパレスチナの間の低強度紛争は続く可能性が大きい。注意深く見るべきは、終戦後再開されるかもしれないイスラエルとサウジアラビアの国交樹立に向けた交渉だ。サウジとの協力関係をどのように図っていくかがイスラエルとしては大きな戦略になるかもしれない。終局的解決策はイスラエルとパレスチナが平和的に共存する『2つの国解決策』だ。成功は容易ではないだろうが、できさえすれば事実上イスラエルとハマス・ヒズボラとの紛争は基本的に解決されるはずだ。ただ当面はイスラエルがイランにどのように対応するかが重要な変数だ。イスラエルの強硬派はいまがイランの核施設を攻撃する絶好の機会だと主張し、米国は大統領選挙前にそれを止めようとする。したがってイスラエルとイランの衝突が全面戦争に飛び火する可能性も排除することはできない。イスラエルは米大統領選挙前に状況を自分の側に有利に変化させなければならないという欲求が強い」
――中東状況が韓国に与える示唆点は。
「イスラエルは複数の戦線があるのに強大な国防力で耐えている。5重のミサイル防空網、先端科学兵器も備えた。ポケベル、無線機が爆発するのをだれが予想したか。イスラエル情報部はネズミにも鳥にもわからない作戦を繰り広げる。しかしモサドは完全に政治的中立である事実を韓国政府もよくみなければならない。また、イスラエル国民はどのようにしてでも自分たちの安全保障は自分たちが守らなければならないと考える。そうした点が韓国に示唆するところが大きい」。
――ガザ戦争1年、どのように見るか。
「イスラエルがハマスに奇襲攻撃されてから1年間ガザ地区でハマス除去作戦が展開されハマスの戦力を大きく萎縮させた。だがハマス指導者であるシンワルを捕まえられず、ハマスは容易に人員補充でき安心できない。イスラエルは(ハマスと連帯するとして)北部を攻撃したヒズボラも粉砕しようとするが、ヒズボラはハマスよりはるかに強い。イスラエルとハマスが休戦するならばイランが率いるヒズボラなど『抵抗の軸』との衝突も止める口実になるが、この休戦が容易ではない」
――休戦交渉ができない理由は。
「イスラエルのネタニヤフ首相は極右勢力と連立政権で縛られているが、極右は休戦に反対して最後まで進もうという。米バイデン政権では大規模に犠牲者が発生すれば民主党の大統領候補であるハリス副大統領に不利なため協議案を生かそうと多くの努力を傾けている。しかしイスラエルとハマスの双方にうまく効かない。イスラエルは米国と同盟国でありながらも独自の声を出し米国の干渉も耐え抜く。バイデン大統領の圧迫にもネタニヤフ首相はびくともしない」
――イスラエルが正照準するイランはどのようにみるか。
「イランが1日にイスラエルに対して大規模ミサイル攻撃をしたが、米国との核協定を復元して経済制裁を解き国家経済の息の根を開かなくてはならないという考えから戦略的忍耐に行っている。イランは米大統領選挙でトランプ前大統領が当選すれば核協定復元交渉が水泡に帰すためトランプ氏の当選を望まず、ハリス氏の当選に役立つには戦争拡大を防がなければならないと考え忍耐しているのだ」
――休戦交渉の突破口になるカードはないか。
「ひとまずイスラエルの国民世論と経済的困難がネタニヤフ氏を圧迫できる。戦争を早く終わらせ人質を帰還させろという世論、戦争経費と予備軍招集などで経済が厳しいという世論などがネタニヤフ氏に負担になるだろう。そして米大統領選挙後に新大統領が決まれば新大統領の休戦イニシアチブをネタニヤフ氏が無視することは難しいだろう。トランプ氏は当選すれば戦争を早く終わらせると約束し、イランの核問題もけりをつけようとするだろう。ハリス氏が当選するならば平和交渉を早くまとめようとしイラン核協定も復元させようとするだろう。しかし核協定復元はそれほど容易ではなさそうだ」
――今後の中東平和の見通しは。
「イスラエルとパレスチナの間の低強度紛争は続く可能性が大きい。注意深く見るべきは、終戦後再開されるかもしれないイスラエルとサウジアラビアの国交樹立に向けた交渉だ。サウジとの協力関係をどのように図っていくかがイスラエルとしては大きな戦略になるかもしれない。終局的解決策はイスラエルとパレスチナが平和的に共存する『2つの国解決策』だ。成功は容易ではないだろうが、できさえすれば事実上イスラエルとハマス・ヒズボラとの紛争は基本的に解決されるはずだ。ただ当面はイスラエルがイランにどのように対応するかが重要な変数だ。イスラエルの強硬派はいまがイランの核施設を攻撃する絶好の機会だと主張し、米国は大統領選挙前にそれを止めようとする。したがってイスラエルとイランの衝突が全面戦争に飛び火する可能性も排除することはできない。イスラエルは米大統領選挙前に状況を自分の側に有利に変化させなければならないという欲求が強い」
――中東状況が韓国に与える示唆点は。
「イスラエルは複数の戦線があるのに強大な国防力で耐えている。5重のミサイル防空網、先端科学兵器も備えた。ポケベル、無線機が爆発するのをだれが予想したか。イスラエル情報部はネズミにも鳥にもわからない作戦を繰り広げる。しかしモサドは完全に政治的中立である事実を韓国政府もよくみなければならない。また、イスラエル国民はどのようにしてでも自分たちの安全保障は自分たちが守らなければならないと考える。そうした点が韓国に示唆するところが大きい」。
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