また半導体の冬が訪れたのか。あちこちで捕捉されているメモリー半導体の需要不振・供給過剰診断と人工知能(AI)バブル論、米国・中国の景気沈滞懸念が重なり、外国人投資家がこの1カ月間にサムスン電子・SKハイニックスの株式を10兆ウォン(約1兆800億円)ほど売り越した。サムスン電子・SKハイニックスは株式市場全体の営業利益の29%を占めるだけに、両社の市場の流れは韓国株式市場の成績に直結する。しかし一部ではこうした危機論が時期尚早という診断も出ている。マイクロンなど半導体企業が好調を維持しているうえ、米国景気が軟着陸する可能性も高いからだ。半導体苦戦論が出ている中、サムスン電子の7-9月期の業績が半導体市場の流れはもちろん韓国株式市場の方向を決めるとみられる。
この1カ月間、外国人は韓国のサムスン電子株を8兆ウォン以上、SKハイニックス株を1兆ウォン以上売った。この影響で先月26日に7万6100ウォンだったサムスン電子の株価は27日には6万4200ウォンまで下落した。25日(現地時間)に米マイクロンの予想外の好業績で半導体株が急騰したにもかかわらずだ。
外国人が韓国でサムスン電子・SKハイニックスから手を引いていることで、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利引き下げで過去最高値を更新した米国株式市場とは違い、韓国株式市場は横ばいを抜け出せずにいる。25日には中国人民銀行の利下げでグローバル株式市場がほとんど上昇したが、KOSPI(韓国総合株価指数)だけが1%以上も下落した。通常、中国の利下げは中国内需市場の活性化による輸出拡大期待感から多くの国に好材料として作用する。
中国に対する輸出比率が高い韓国はその恩恵を受ける代表的な国だ。にもかかわらずこの日、KOSPIは前日比35.36ポイント(1.34%)下落の2596.32で取引を終えた。KOSDAQも8.05ポイント(1.05%)下落の759.30で引けた。このような韓国株式市場の不振の裏には「半導体ピーク論」がある。メモリー半導体の業況が10-12月期にピークアウト(ピーク後の下落)するという見方だ。スマートフォンやパソコン用のメモリー半導体需要が予想より振るわないからだ。
実際、最近の半導体業況は一段と弱まっている。先月の産業研究院の半導体業況専門家サーベイ指数(PSI)は156だった。依然として基準値の100を上回っているが、6月に185まで上がった半導体業況PSIはそれ以降、下落傾向にある。こうした中、モルガン・スタンレーがDRAMと高帯域幅メモリー(HBM)の業況が2026年までに過剰供給状況を迎える可能性があると予想し、外国人の売りが加速した。
一つ幸いな点は、最近の外国人売りはパニックセル(恐怖による投げ売り)とはみられない点だ。最近、米国の「投機等級社債」加算金利は史上最低水準に落ちた。普通、投機等級社債ファンドから資金が流出する際、韓国など新興国でパニックセルが見られるが、投機等級社債の加算金利が低いということは明確な資金の流出はないということだ。最近広まった人工知能(AI)バブル・ピーク論についても「時期尚早」という意見が多い。野村証券も最近の報告書で、HBM供給過剰などメモリー市場に対する懸念は一部誇張されていると評価した。
さらに25日のマイクロンの好業績で売りがひとまず落ちつく兆候が表れている。とはいえ、状況を楽観するのは難しい。国際金融センターは報告書「韓国輸出増加率鈍化懸念」で、中国企業の半導体生産・供給が増え、韓国半導体の輸出増加傾向が弱まる可能性があると診断する。カギは米国と中国の景気がどこへ向かうかだ。米国では景気の萎縮と労働市場の冷え込みの兆候が表れている。FRBがビッグカット(政策金利0.5%引き下げ)を断行した理由も、景気鈍化に先制的に対応しようという性格が強い。
米国民間経済調査機関カンファレンスボードが19日(現地時間)に発表した8月の米国景気先行指数(LEI)は前月比で0.2%低い100.2と、6カ月連続の下落となった。米国供給者管理協会(ISM)が米国20業種400社を対象に算出する製造業購買担当者景気指数(PMI)は47.2と、5カ月連続の萎縮状況だ。米国の8月の雇用増加幅は14万2000人と前月比で増えたが、直前の12カ月平均(20万2000人)には達しない。FRBのビッグカットにもかかわらず米国の景気が期待ほど回復しない場合、実物経済への衝撃につながりかねない。
中国は内需と不動産市場の沈滞が続いている。中国国家統計局によると、8月の小売販売(前年同期比2.1%)と産業生産(4.5%)は予想値を下回り、失業率も5.3%と、前月比で0.1%ポイント上昇した。特に8月の住宅価格は5.3%も急落し、9年ぶりの最大下落幅となった。こうした中、政府は最近「5%成長目標」のために景気浮揚策を連日出していて、内需の活性化に注力している。しかし効果があるかはもう少し見守る必要がある。
銅の価格も参考になる。自動車の電動化などで最近は銅の価格と韓国半導体輸出金額指数が緊密な関係になっている。2021年の自動車用半導体不足事態がよく表しているように、いまや自動車は動く家電製品に変身している。電気自動車だけでなく、化石燃料を使用する自動車さえも、ノートブックより大きなディスプレー画面を設置するのが一般的だ。したがって家電製品はもちろん自動車の需要が増えるという期待が高まり、銅・銀のような核心伝導体の価格が上昇するたびに、半導体の価格上昇の流れが観測される。
世界最大の銅生産国のチリ銅委員会(COCHILCO)は10日(現地時間)、今年の銅平均価格予測値を1ポンドあたり430セント(5月推定値)から418セントに下方修正した。米国と中国の製造業況が萎縮し、景気鈍化の懸念が強まった影響と解釈される。しかし2025年の平均価格予測値は1ポンドあたり425セントに維持した。これを勘案すると、外国人の半導体売り攻勢はもう少し続く可能性があるが、近いうちに終わるのではないかと期待する。来月のサムスン電子の業績公開が重要な変曲点となる見通しだ。
ホン・チュンウク/プリズム投資諮問代表
この1カ月間、外国人は韓国のサムスン電子株を8兆ウォン以上、SKハイニックス株を1兆ウォン以上売った。この影響で先月26日に7万6100ウォンだったサムスン電子の株価は27日には6万4200ウォンまで下落した。25日(現地時間)に米マイクロンの予想外の好業績で半導体株が急騰したにもかかわらずだ。
外国人が韓国でサムスン電子・SKハイニックスから手を引いていることで、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利引き下げで過去最高値を更新した米国株式市場とは違い、韓国株式市場は横ばいを抜け出せずにいる。25日には中国人民銀行の利下げでグローバル株式市場がほとんど上昇したが、KOSPI(韓国総合株価指数)だけが1%以上も下落した。通常、中国の利下げは中国内需市場の活性化による輸出拡大期待感から多くの国に好材料として作用する。
中国に対する輸出比率が高い韓国はその恩恵を受ける代表的な国だ。にもかかわらずこの日、KOSPIは前日比35.36ポイント(1.34%)下落の2596.32で取引を終えた。KOSDAQも8.05ポイント(1.05%)下落の759.30で引けた。このような韓国株式市場の不振の裏には「半導体ピーク論」がある。メモリー半導体の業況が10-12月期にピークアウト(ピーク後の下落)するという見方だ。スマートフォンやパソコン用のメモリー半導体需要が予想より振るわないからだ。
実際、最近の半導体業況は一段と弱まっている。先月の産業研究院の半導体業況専門家サーベイ指数(PSI)は156だった。依然として基準値の100を上回っているが、6月に185まで上がった半導体業況PSIはそれ以降、下落傾向にある。こうした中、モルガン・スタンレーがDRAMと高帯域幅メモリー(HBM)の業況が2026年までに過剰供給状況を迎える可能性があると予想し、外国人の売りが加速した。
一つ幸いな点は、最近の外国人売りはパニックセル(恐怖による投げ売り)とはみられない点だ。最近、米国の「投機等級社債」加算金利は史上最低水準に落ちた。普通、投機等級社債ファンドから資金が流出する際、韓国など新興国でパニックセルが見られるが、投機等級社債の加算金利が低いということは明確な資金の流出はないということだ。最近広まった人工知能(AI)バブル・ピーク論についても「時期尚早」という意見が多い。野村証券も最近の報告書で、HBM供給過剰などメモリー市場に対する懸念は一部誇張されていると評価した。
さらに25日のマイクロンの好業績で売りがひとまず落ちつく兆候が表れている。とはいえ、状況を楽観するのは難しい。国際金融センターは報告書「韓国輸出増加率鈍化懸念」で、中国企業の半導体生産・供給が増え、韓国半導体の輸出増加傾向が弱まる可能性があると診断する。カギは米国と中国の景気がどこへ向かうかだ。米国では景気の萎縮と労働市場の冷え込みの兆候が表れている。FRBがビッグカット(政策金利0.5%引き下げ)を断行した理由も、景気鈍化に先制的に対応しようという性格が強い。
米国民間経済調査機関カンファレンスボードが19日(現地時間)に発表した8月の米国景気先行指数(LEI)は前月比で0.2%低い100.2と、6カ月連続の下落となった。米国供給者管理協会(ISM)が米国20業種400社を対象に算出する製造業購買担当者景気指数(PMI)は47.2と、5カ月連続の萎縮状況だ。米国の8月の雇用増加幅は14万2000人と前月比で増えたが、直前の12カ月平均(20万2000人)には達しない。FRBのビッグカットにもかかわらず米国の景気が期待ほど回復しない場合、実物経済への衝撃につながりかねない。
中国は内需と不動産市場の沈滞が続いている。中国国家統計局によると、8月の小売販売(前年同期比2.1%)と産業生産(4.5%)は予想値を下回り、失業率も5.3%と、前月比で0.1%ポイント上昇した。特に8月の住宅価格は5.3%も急落し、9年ぶりの最大下落幅となった。こうした中、政府は最近「5%成長目標」のために景気浮揚策を連日出していて、内需の活性化に注力している。しかし効果があるかはもう少し見守る必要がある。
銅の価格も参考になる。自動車の電動化などで最近は銅の価格と韓国半導体輸出金額指数が緊密な関係になっている。2021年の自動車用半導体不足事態がよく表しているように、いまや自動車は動く家電製品に変身している。電気自動車だけでなく、化石燃料を使用する自動車さえも、ノートブックより大きなディスプレー画面を設置するのが一般的だ。したがって家電製品はもちろん自動車の需要が増えるという期待が高まり、銅・銀のような核心伝導体の価格が上昇するたびに、半導体の価格上昇の流れが観測される。
世界最大の銅生産国のチリ銅委員会(COCHILCO)は10日(現地時間)、今年の銅平均価格予測値を1ポンドあたり430セント(5月推定値)から418セントに下方修正した。米国と中国の製造業況が萎縮し、景気鈍化の懸念が強まった影響と解釈される。しかし2025年の平均価格予測値は1ポンドあたり425セントに維持した。これを勘案すると、外国人の半導体売り攻勢はもう少し続く可能性があるが、近いうちに終わるのではないかと期待する。来月のサムスン電子の業績公開が重要な変曲点となる見通しだ。
ホン・チュンウク/プリズム投資諮問代表
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