ニューヨーク・タイムズ（ＮＹＴ）が２５日（現地時間）、フランスの性的暴行被害者ジゼル・ペリコさん（７１）の裁判近況を伝えて「裁判を公開して匿名を諦めたジゼルさんがアイコンになっている」と報じた。

ジゼルさんは５０年間一緒に暮らした夫ドミニク・ペリコ被告（７２）を通じ、約１０年にわたって５０人に達する男性から性的暴行を受けた。ドミニク被告は妻の食事に薬を盛った後、見知らぬ男を呼び入れて性暴行させた罪を認めた。

この事件の裁判は３週間前に始まった。ＮＹＴの報道によると、フランス南部アヴィニョンの裁判所には、女性を中心とした支持者数十人が集まり、ジゼルさんが裁判所に到着すると拍手して連帯の意志を表わした。裁判の１時間３０分前からジゼルさんを応援するためにやってきたという６０歳女性は「上品で堂々としたジゼルさんを応援している」と話した。


赤みがかったボブヘアにサングラスをかけたジゼルさんの顔はテレビのニュースはもちろん、街頭にも壁画として登場した。フェミニスト活動家や作家は公開書簡を通じてジゼルさんに力を与えている。特に裁判は非公開としても行われたが、ジゼルさんが性的暴行問題を公論化するために裁判を公開したことに賛辞を送っている。

作家ヘレン・ドゥヴァンク（Ｈｅｌｅｎｅ　Ｄｅｖｙｎｃｋ）氏は仏紙ル・モンドを通じて「あなたの勇気が私たちに力を与えてくれる。大きな贈り物に感謝する」と話した。

ドミニク被告をはじめ強姦容疑で起訴された男性のうち十人余りは有罪を認めた。しかしその他の大多数は性関係は認めるが性的暴行ではないと主張している。

ＮＹＴは「法廷でジゼルさんは頭を高く上げて２６歳から７４歳に達する被告（加害者）の前を通り過ぎる」とし「痩せた体、太った体、ひげが生えたり、つやのある顔をしている。多くの人々が結婚をして子どもがいる。トラック運転手、建設労働者、商人、営業社員、ジャーナリスト、刑務官、技術専門家たち」と法廷の様子を伝えた。法廷には４０人以上の被告の弁護人が出席した。彼らは性関係に対する記憶と意識がなかったというジゼルさんの主張に反論した。弁護人の要請によって法廷では２万件の写真と動画のうち、２７件が画面に表示された。身体の特定部位やセックストイなどが登場する写真などだ。ジゼルさんが目を開いている姿の写真もある。ジゼルさんは「私を罠に陥れるための試みならば我慢しない」として反発した。

一部の弁護人はジゼルさんに露出傾向があるのではないかと質問した。「すべての女性がこのような類型の写真を受け入れるわけではない」と責めたりもした。ジゼルさんは「私と性関係を結びたければ私に同意を求めなければならなかった」とし「侮辱的だ。強姦被害者が告訴しない理由が分かるようだ」と声を高めたりもした。

弁護人はその後、被告の尊厳性を理由に動画の公開に反対した。ＮＹＴは「被告は６～７人に分けて毎週法廷に出てくる」とし「ジゼルさんは毎回彼らの間に座っていなければならない」と伝えた。

裁判が終わった後も法廷の外で待っていた支持者は「ジゼルは勇敢だ。彼女は裁判所を離れる時、いつも背筋をまっすぐのばしている」と言って敬意を表した。