30日、ソウル西大門区延禧洞で発生した地盤沈下の原因を調査するため、ソウル市、西大門区など関係機関の調査チームがコンクリートを取り除いている。チョン・ウネ記者
前日、この道路では面積24平方メートル、深さ2.5メートルの大きなシンクホールが発生し、移動中だった車が飲み込まれた。この事故で、車の運転者の80代男性と同乗者の70代女性が重傷を負って病院に搬送された。続いて30日にも事故発生地の近くでシンクホールが発生したことを受け、ソウル市と西大門区、建設安全研究院など関連機関が総出動し、地盤の状態の調査に取り掛かった。
◆「崩壊」11件中4件は原因不明
4日、ソウル市によると、今年ソウル市内では深さ1メートルまたは面積1平方メートル以上の規模のシンクホールが11件発生した。2014年以降、今年まで10年8カ月間発生したシンクホール現象は合計227件に上る。全国的には2015年以降、毎年100件以上のシンクホールが発生しており、200件を越える年も数回あった。
今年のソウル市のシンクホールの数は、例年と比べて多い訳ではないが発生原因が究明されていないケースが多い。通常、上下水道管など地下施設物が原因の場合、すぐに調査結果が出るが、今年11件中4件はまだ原因がはっきりしておらず「その他」に分類されている。
専門家らは、気候変動を都心の中のシンクホールを誘発する原因の一つに挙げている。一般的に都心のシンクホールは風化土(硬い岩石が風化してできた土)が地下水によって移動し、その場所が空洞化した場合に発生する。強い暴雨と猛暑による日照りのような極端な気象現象がこのような空洞化を加速させ、シンクホールを誘発する恐れがあるというのが専門家の分析だ。
延世(ヨンセ)大学建設環境工学科のチョ・ウォンチョル名誉教授は「気候変化はすぐにシンクホールに影響を与える」として「降雨量が多くても地中の土が流される余地が多く問題、降雨量が少なくても地中の空洞化現象を引き起こす恐れがあるため」と説明した。
◆強い雨+猛暑+工事は土地の安定性を阻害
専門家らは、最近、延喜洞で発生したシンクホール事故も今年の夏の激しい雨や猛暑などが影響を及ぼした可能性があるという。実際に7月、西大門区には時間当り64ミリの強い雨が降った。西大門区に時間当り60ミリ以上の強い雨が降ったのは10年ぶりのことだ。ソウル市は3カ月前に今回の事故現場を探査したが、当時は問題が見つからなかったという。
又石(ウソク)大学消防防災学科のコン・ハソン教授は「強くて多い雨はシンクホールに直接的・間接的な原因になる」とし、「地底の状況によっては土層があっという間に流されることもあり、長い歳月をかけてゆっくり流されて空洞ができる場合もある」と述べた。
雨が止んだ後、長期間続いた猛暑によって地下水が乾いている可能性も提起された。チョ・ウォンチョル教授は「降雨量が少なくても地下水が減って地中に空洞ができるが、今はそのような状況かもしれない」と述べた。
ソウル市は大雨による浸水被害を防ぐため、城山路付近で行われた雨水ポンプ工事が地下水の道に影響を与えた可能性なども調査中だ。韓国地質資源研究院の深層処分環境研究センターのパク・イソプ・センター長は「一般的に風化土層が深いほど、周辺で地下施設工事が多いほど、雨が激しく降るほど、シンクホール発生の可能性が高くなる」と説明した。
◆「風化土層の深い地域に備えなければならない」
専門家らは精密な「地中地図」を活用して都心の中のシンクホールに備えなければならないと口をそろえる。比較的安定した地盤構造を持つソウルも極限気象が頻繁になるほど「地中の安全」を担保できないためだ。これまでソウルは硬い花崗岩が基盤岩(堆積岩層の一番下に置かれた硬い岩石層)になっており、相対的に地殻が安定したものと考えられていた。
しかし、ソウル市内でも比較的頻繁にシンクホールが発生する地域は別にある。この5年間(2019年9月~2024年8月)、ソウル市25自治区の中でシンクホールが最も多く発生したところは江南(カンナム)区と松坡(ソンパ)区で、各々12回の深さ1メートル、広さ1平方メートルより大きな規模のシンクホールが生じた。
パク・ウィソプ・センター長は「ソウル市内でも風化土層が深いところがあり、これはすでに調査された内容」とし「風化土層が深いところは気候変化が進むほど脆弱になる可能性があり、地盤状態による備えが必要だ」と述べた。
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