検察が文在寅（ムン・ジェイン）前大統領の娘ダヘ氏を秋夕（チュソク、中秋）連休直後に召喚することを検討している。元夫ソ氏のタイ・イースター航空特恵採用疑惑に関連してだ。連休直前にイ・ウォンソク検察総長の任期が終わり（９月１５日）新任総長が就任するだけに、その後のダヘ氏の召喚をはじめ、文前大統領と金正淑（キム・ジョンスク）夫人に対する対面調査日程も検討するということだ。検察はダヘ氏夫婦がイースター航空から受けたタイ現地での給与および滞在費２億２３００万ウォン（約２４００万円）に対して文前大統領を賄賂容疑の容疑者とみているため対面調査が避けられないという立場だ。

全州地検刑事３部はダヘ氏のソウル所在の住居地と済州（チェジュ）の別荘などから先月３０日に確保した押収物の分析などを終えしだい、ダヘ氏を参考人として呼んで調べる計画だ。全州地検の関係者はこの日、「（ダヘ氏に対する調査は）フォレンジック選別手続きや押収物分析などをした後に行われるため、まだ調査の時期や方式などについては検討中であり、決まったことはない」としながらも「ひとまず秋夕前の調査は物理的に不可能であるようだ」と話した。

９日にソウル南部地裁で行われる文在寅政権の青瓦台（チョンワデ、当時の大統領府）行政官だったシン某氏に対する公判前の証人尋問の結果も召喚日程の変数となる可能性がある。シン氏は文大統領の家族と親戚を管理する民政秘書官室の行政官だった。検察はシン氏が２０１８年にイースター航空に就職したソ氏の家族がタイに移住する過程を支援し、便宜を図ったとみている。このため５月にシン氏の自宅などを家宅捜索し、参考人調査も要求した。しかしシン氏が応じないため、検察は裁判所に公判前の証人尋問を申請した。公判前の証人尋問は、捜査の過程で陳述が必要な場合にも召喚調査を拒否する参考人に対して裁判所が尋問を進める制度。


検察は金正淑夫人に対しても２０２０年にダヘ氏に友人を通じて現金５０００万ウォンを送金するなど娘との金銭取引状況が明らかになっただけに、送金目的や資金の出どころに関する調査が必要とみている。

全州地検はマネーロンダリング（資金洗浄）など異常取引を管理する金融情報分析院（ＦＩＵ）の資料と口座追跡などに基づき、金夫人が大統領夫人当時に数百万ウォンから数千万ウォン単位の現金取引をした状況を確保した。このうち２０２０年に金夫人の友人Ａ氏がダヘ氏の口座に５０００万ウォンを入金した事実もＦＩＵの異常取引資料で捕捉したという。Ａ氏は振り込みながら送金者の名前と共に「金正淑」という名前を残したという。

検察は年初にＡ氏の自宅に対する家宅捜索などの捜査で、当時、金夫人から「娘にお金を送ってほしい」と依頼され、青瓦台職員を通じて風呂敷に包んだ現金５０００万ウォンを受けて送金したという事実を確認したという。検察は文氏の大統領退任直後には自叙伝『文在寅の運命』の出版社からダヘ氏に２億５０００万ウォンが送金された事実も確認した。

ただ、検察は今回の事件が前大統領家族捜査という点で、検察庁の召喚以外の調査方式まで念頭に置いて調整するという見方も出ている。ブランドバック授受事件、ドイツモータース株価操作疑惑を捜査したソウル中央地検が７月に尹錫悦（ユン・ソクヨル）大統領夫人の金建希（キム・ゴンヒ）氏を検察庁舎でなく大統領警護処付属の建物で訪問調査したという点も考慮する要素だ。大統領夫人に対する訪問調査が先例として残っているだけに、公平性レベルでも文前大統領夫妻も検察庁召喚に固執する必要はないという検察の気流が強まる可能性があるからだ。

尹錫悦大統領も先月２９日の国政ブリーフィングで「すべての調査は原則的に任意調査が原則」とし「いくつかの点を考慮して方式や場所が決まることもある」と述べた。


韓国検察、秋夕直後に文前大統領の娘を召喚…文夫妻も対面調査が不可避（２）