2020年10月に上海外灘金融フォーラムに参加したアリババ創業者の馬雲氏が中国金融当局の規制に対し批判している。[ウェイボー キャプチャー]
その後アリババは2021年4月に反独占法違反容疑で182億2800万元に達する過去最大の罰金とともに3年間にわたり是正作業を行うよう命じられた。
SAMRは今回こうした規制措置を解除することにした。先月30日の声明では「検証の結果、アリババグループは二者択一による独占行為を完全に中断し、プラットフォームの主体として責任を誠実に施行している」とその理由を明らかにした。その上で「党中央と国務院(政府)はプラットフォーム経済発展の促進を重視する。プラットフォーム経済の標準化され健全で持続可能で革新的な発展を促進するだろう」と付け加えた。
今回の措置をめぐり専門家らは「プラットフォーム経済の酷寒期が終わったというシグナル」と解説した。北京市社会科学院の王鵬副研究員は「規制当局がプラットフォーム経済の発展を支援し奨励するという積極的シグナル」と明らかにした。工業情報化部情報通信経済専門家委員会の盤和林委員は「アリババの外部規制環境を徐々に緩和し新たに拡張させるということ。今後プラットフォーム経済を雇用創出促進と経済発展に活用するという意味」とシンガポール紙の聯合早報に話した。
市場は中国当局の発表を歓迎した。この日アリババの株価は米国証券市場で取引開始前に4.48%上昇し、最終的に2.86%上昇した83.34ドルで取引を終えた。もちろん現在の株価は取り締まり直前の最高値で2020年10月27日に記録した317.94ドルと比較すると73.8%下落した状態だ。
当初中国当局がアリババ規制に出た背景には創業者である馬雲氏の当局批判に対する「不敬罪」が作用したという分析もある。馬雲氏は2020年10月の上海金融フォーラムで「曹操の赤壁の戦いでの戦法が現代空母の起源だった。ビッグデータに基盤を置いた信用体系で質屋式の思考を代替しなければならない」と中国の金融規制を批判した。この発言直後の同年11月に中国当局はアリババ傘下の金融部門であるアントグループ関係者を調査した。その後アントグループの香港市場と上海市場での上場を取りやめさせた。馬雲氏もやはり公式の席上から姿を消し、昨年3月に帰国するまで2年間海外をさまよっていた。市場には「馬雲が経営権を失った」という噂が広まっていた。
◇「アリババ解体は新型挙国体制の一環」
その後アリババグループは中国国内の電子商取引、海外電子商取引、物流、クラウドコンピューティング、インターネット地図と食品デリバリー、メディアとエンターテインメントの6法人に事実上強制分割されたりもした。
これと関連し、アリババの空中分解が中国の技術自立に向けた国家総動員体制を称する「新型挙国体制」の一例という分析も出ている。独メルカトル中国研究所の首席アナリスト、ヤコブ・グンター氏は昨年10月に関連報告書を通じ「アリババは国の戦略的目標によって自身を解体した。この過程で直接的な統制、規制と政治的圧力が何度も加えられた」と指摘した。その上で「アリババ解体過程にはアントファイナンシャルの企業公開(IPO)遮断、プラットフォーム部門に対する反独占規制取り締まり、特別議決権がある黄金株1%買収、共同富裕基金造成などの手法が動員された」とした。
今度は反対に中国当局がアリババの世界的な底力を十分に活用する態勢だ。シンガポール経営大学リー・コンチェン・ビジネススクールの傅方剣教授は「(アリババの是正作業終了は)中国のインターネット企業が科学技術研究を促進し国際競争で中国を代表するよう圧迫するもの。世界の放送局の50%以上がアリババクラウドを通じてパリ五輪生放送の信号を使ったのは成功事例」と話した。
傅教授はまた「米中競争環境でどちらが勝利するのか決めるカギは経済。このため中国当局はアリババが国内市場ではなく海外市場でグーグルやアマゾンと競争することを希望している」と付け加えた。
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