「今月も来月も何とかしのがなければいけないのでカードが必要なのでしょう」。キム・ドンヒさん(63)はクレジットカードを配送している。キムさんにとって時間はお金だ。配送するだけ稼げる。そのように5年間働いてきた。忙しく動くキムさんを追いかけながら「最近はどうか」と尋ねた。キムさんは少し沈黙した後、「クレジットカードの発行は不景気・好景気にそれほど関係ない。最近は自営業者によく配達している」と答えた。「自営業者の中でも飲食店する人たち、その中でもチキン店をする人たちの申請がかなり増えた。発給されたカードで材料費や賃貸料を支払い、翌月またカードで穴をふさぐ。そのように持ちこたえながら暮らしている」。
キムさん自身も「自営業をしながら何度か失敗した」と語った。「デパートで衣類ディーラーをしたが、経験を積んだのがそれだったので希望退職後に衣類の自営業をした。ところが投資家が突然お金を回収したため信用不良者になった」。
カード配送手当は1件あたり1000ウォン(約110円)ほど。キムさんは「1カ月の平均収入は150万ウォンほどだが、私の場合は180万-200万ウォンほど稼ぐ。焼酎1本を付け加え、スンデックに飯を混ぜて食べながら暮らす」と言って苦笑した。そして「同僚の中にもチキン店を開いて失敗した人が結構いる」と伝えた。
Q=チキン店か。
A=カードの配送をする理由も人それぞれだが、私のように他の自営業をしていて、生活をつなごうとして配送の仕事に入って来るケースが多い。すぐに再起するのは容易でない。特に最近はチキン店を経営していた人たちがかなり増えた」
チキン店は周囲を見るとあちこちにある。自営業者の国であり「チキン共和国」の大韓民国に何が起きているのか。統計庁によると、先月の全国の自営業者は572万1000人。3月から5カ月連続で減少している。全体就業者数に対する自営業者の比率も先月は19.8%と、1年前(20.2%)に比べ0.4ポイント減少した。21世紀初めの35.8%(2000年)の半分だ。
中でもチキン店は長い間、自営業者の「創業1位」だった。しかし2021年以降、「韓食店」に抜かれて2位となり、3位だった「コーヒー店」が増えて2位からも近く落ちる見込みだ。問題はチキン店の開店は減る一方、閉店は増えている点だ。公正取引委員会の発表によると、2022年のチキン店の閉店率は14.2%に達した。開店率14.4%とほぼ同じだ。チキン店一つができれば他の店が一つが消えるということだ。
これは主要外食業分野のうちチキン店の独特な現象だ。韓食店の閉店率は18.2%とさらに高いが、開店率は29.9%であり、チキン店とは差がある。2010年代半ば以降、チキン店が飽和状態となり、激しい生存競争で生き残れなかった自営業者が相次いで店を閉め、「チキン共和国」の地位も揺らいでいる状況だ。「チキン店不敗神話」はすでに昔の話だ。コロナ時代にデリバリーの日常化でしばらく復活するようだったチキン店が、いつのまにかまた救急室の前に立っている。
大韓民国は昨年1人あたりの鶏肉の消費量が15.7キロに達した。26羽分だ。20年前(2003年、7.8キロ)の倍になった。しかし「チキン共和国」の地位はすでに10年ほど前から崩れていた。国土研究院は2020年、「自営業の危機を覗ける体感景気指標、チキン店」と題した報告書を出した。研究に参加した当時のイ・ヨンジュ国土シミュレーションセンター長は「チキン店は各地域に2、3カ所はあり、利用者も多いが、自営業者の状況を明確に見せるバロメーター」とし「2000年代初期に肉類消費量が増えて開業に火がついたが、2010年代に入って開業と廃業がほぼ並び、2010年代半ば以降は廃業が開業を上回る衰退段階に入った」と分析した。
そのようなチキン店がコロナ流行を経てまた復活した。ソーシャルディスタンスで飲食品のデリバリーが日常化したからだ。独立ブランドの地域のチキン店や加盟店などチキン専門店が2019年の3万7508店から翌年には4万2743店へと14%も急増した。しかし2021年に4万2624店、22年に4万1436店とまた減少している。カード配送をするキム・ドンヒさんに尋ねた。
Q=チキン加盟店は本社には現金で決済しているが、カードで資金繰りができるのか。
A=カードローンがある。そのようにして何とかお金を集めて本社には現金で支払い、運営費や生活費はカードでする。カードを使って穴を埋めていく地獄のような悪循環が繰り返される。手数料がつくと負債は雪だるま式に増えていく。
崖っぷちに追い込まれた韓国の自営業者(2)
キムさん自身も「自営業をしながら何度か失敗した」と語った。「デパートで衣類ディーラーをしたが、経験を積んだのがそれだったので希望退職後に衣類の自営業をした。ところが投資家が突然お金を回収したため信用不良者になった」。
カード配送手当は1件あたり1000ウォン(約110円)ほど。キムさんは「1カ月の平均収入は150万ウォンほどだが、私の場合は180万-200万ウォンほど稼ぐ。焼酎1本を付け加え、スンデックに飯を混ぜて食べながら暮らす」と言って苦笑した。そして「同僚の中にもチキン店を開いて失敗した人が結構いる」と伝えた。
Q=チキン店か。
A=カードの配送をする理由も人それぞれだが、私のように他の自営業をしていて、生活をつなごうとして配送の仕事に入って来るケースが多い。すぐに再起するのは容易でない。特に最近はチキン店を経営していた人たちがかなり増えた」
チキン店は周囲を見るとあちこちにある。自営業者の国であり「チキン共和国」の大韓民国に何が起きているのか。統計庁によると、先月の全国の自営業者は572万1000人。3月から5カ月連続で減少している。全体就業者数に対する自営業者の比率も先月は19.8%と、1年前(20.2%)に比べ0.4ポイント減少した。21世紀初めの35.8%(2000年)の半分だ。
中でもチキン店は長い間、自営業者の「創業1位」だった。しかし2021年以降、「韓食店」に抜かれて2位となり、3位だった「コーヒー店」が増えて2位からも近く落ちる見込みだ。問題はチキン店の開店は減る一方、閉店は増えている点だ。公正取引委員会の発表によると、2022年のチキン店の閉店率は14.2%に達した。開店率14.4%とほぼ同じだ。チキン店一つができれば他の店が一つが消えるということだ。
これは主要外食業分野のうちチキン店の独特な現象だ。韓食店の閉店率は18.2%とさらに高いが、開店率は29.9%であり、チキン店とは差がある。2010年代半ば以降、チキン店が飽和状態となり、激しい生存競争で生き残れなかった自営業者が相次いで店を閉め、「チキン共和国」の地位も揺らいでいる状況だ。「チキン店不敗神話」はすでに昔の話だ。コロナ時代にデリバリーの日常化でしばらく復活するようだったチキン店が、いつのまにかまた救急室の前に立っている。
大韓民国は昨年1人あたりの鶏肉の消費量が15.7キロに達した。26羽分だ。20年前(2003年、7.8キロ)の倍になった。しかし「チキン共和国」の地位はすでに10年ほど前から崩れていた。国土研究院は2020年、「自営業の危機を覗ける体感景気指標、チキン店」と題した報告書を出した。研究に参加した当時のイ・ヨンジュ国土シミュレーションセンター長は「チキン店は各地域に2、3カ所はあり、利用者も多いが、自営業者の状況を明確に見せるバロメーター」とし「2000年代初期に肉類消費量が増えて開業に火がついたが、2010年代に入って開業と廃業がほぼ並び、2010年代半ば以降は廃業が開業を上回る衰退段階に入った」と分析した。
そのようなチキン店がコロナ流行を経てまた復活した。ソーシャルディスタンスで飲食品のデリバリーが日常化したからだ。独立ブランドの地域のチキン店や加盟店などチキン専門店が2019年の3万7508店から翌年には4万2743店へと14%も急増した。しかし2021年に4万2624店、22年に4万1436店とまた減少している。カード配送をするキム・ドンヒさんに尋ねた。
Q=チキン加盟店は本社には現金で決済しているが、カードで資金繰りができるのか。
A=カードローンがある。そのようにして何とかお金を集めて本社には現金で支払い、運営費や生活費はカードでする。カードを使って穴を埋めていく地獄のような悪循環が繰り返される。手数料がつくと負債は雪だるま式に増えていく。
崖っぷちに追い込まれた韓国の自営業者(2)
この記事を読んで…