香港民主陣営メディアの立場新聞（Ｓｔａｎｄ　Ｎｅｗｓ）の元編集長に対し、香港裁判所が２９日、扇動容疑で有罪判決を下した。

香港サウスチャイナモーニングポスト（ＳＣＭＰ）によると、この日、香港の裁判所は立場新聞の元編集長の鍾沛権氏（５４）と編集長代行の林紹桐氏（３６）に対して有罪を確定し、来月２６日に刑を言い渡すと明らかにした。立場新聞の運営法人「ベストペンシルＨＫ」も同じ容疑で有罪判決を受けた。

香港の裁判所は編集長らが２０２０年７月から２１年１２月まで１１件の報道を通じて、中国と香港当局に対する不信感を助長するなど扇動をしたと判断した。今回の裁判は１９９７年に香港が英国から中国に返還された後、ジャーナリストに対する初の扇動容疑裁判だった。


立場新聞は２０１４年の香港雨傘革命直後の同年１２月にオンラインメディアとしてスタートし、民主陣営の立場を代弁した。別の民主陣営の香港日刊紙・蘋果日報が２０２１年６月に香港国家保安法違反容疑で廃刊となり、立場新聞も「香港に『文字の獄』が来た」としてすべてのコラムを下ろして後援金募集を中断した。「文字の獄」とは、文書の内容が皇帝を非難しているという理由で知識人を粛清した歴史を意味する。

立場新聞の措置にもかかわらず香港国家安全処は同年１２月、約２００人の警察を動員した電撃的な家宅捜索に着手し、立場新聞の元現編集長と元理事の立場新聞関係者計６人を逮捕した。その直後に立場新聞は廃刊を発表した。

ＳＣＭＰは「言論の自由に対する制限と脅威は香港のジャーナリストと海外で以前から懸念されている」と指摘した。ＡＰ通信は「国境なき記者団が最近発表した世界言論の自由指数で香港は１８０地域のうち１３５位だった」とし「にもかかわらず香港政府は依然として言論の自由を享受していると主張する」と伝えた。