医療空白の長期化で病院に入る関門(救急室)から穴が生じ始めている。急病患者には最後の砦となる圏域応急医療センターまで専門医1人だけが勤務するところが増え、重症患者への対応が難しい状況だ。いわゆる患者の「たらい回し」や転院拒否で、生かすことができる患者が死亡する事例も増えている。
70代の脳梗塞患者Aさんは先月末、入院中の地方リハビリ病院で突然意識を失い、酸素飽和度が落ちた。この病院は付近の大型病院の救急室にAさんの転院を依頼したが、すべて「病床がない」という理由で断られた。Aさんはやむを得ずリハビリ病院に残ることになり、約2時間後に死亡した。最近、ソウルのコンビニで倒れた患者、工事現場で事故にあった作業員も病院10カ所ほどを回りながら息を引き取ったという。
こうした事態の裏には医療空白による人員不足がある。健康保険審査評価院によると、今年4-6月期の応急医学科専門医数は昨年の同期に比べ118人増えた。しかし2月に医政葛藤が本格化した後、専攻医およそ500人が辞職し、実際の救急室勤務者は大幅に減少した。7月基準で救急室に残っている専攻医は55人にすぎない。
何とか持ちこたえていた専門医らはしだいに救急室を離れている。医療空白が半年を超え、辞職・病気休暇が続出している。京畿(キョンギ)南部の主要圏域応急センターの亜洲(アジュ)大病院は最近、専門医が相次いで辞表を出し、21人だった勤務者が12人に減った。建国大忠州(チュンジュ)病院では先週、応急医学科専門医7人全員が辞意を表明した。
忠北大病院は14日、専門医2人の病気休暇のため救急室の運営を一時中断した。忠北大病院の関係者は「専攻医の離脱後、専門医6人が数カ月間にわたり昼夜勤務を順にしていたが、救急室の運営が限界に直面した」と説明した。最近辞表を提出した江南聖心病院応急医学科教授は「数カ月前に持病が悪化したが、勤務から抜ければ他の教授の負担がかかるため、どうにか持ちこたえながら勤務してきた。しかしこれ以上は心理的・体力的にきつい」と話した。
上級総合病院中心の圏域応急センターも専門医1人勤務が「ニューノーマル」となった。総合病院などから移ってくる患者が多いが、重症患者1人の治療も手に負えない。軽症患者10人より重症患者1人により多くの人的資源が必要だという。
キム・スジン高麗大安岩病院圏域応急医療センター長(応急医学科教授)は「専門医が8人なので、昼の時間帯を除けば事実上1人が勤務する」とし「6カ月前には専攻医を含む5、6人がしていたことを今は1人がしている。重症患者が突然3、4人入ってくる場合、他の患者に対応できない」と話した。ナムグン・イン梨大木洞病院応急医学科教授も「ソウルの真ん中にある圏域センターだが、当直のたびに医師は私一人」と明らかにした。亜洲大医療院の関係者は「辞職の意思を明らかにした専門医が出て行けば週に1、2日は制限的に運営するしかない」と語った。
他の応急医療機関状況も似ている。江南聖心病院の関係者は「心肺蘇生(CPR)患者が生じれば全員が付かなければいけない。特に夜間にCPR状況が多いが、専攻医もいないので他の患者は事実上受けられない」とし「人員が不足して他の病院から来る転院患者も以前のようには受け入れにくい」と話した。
しかし救急室の勤務者を補充しようとしても志願者は少ない。以前よりも勤務の強度が強まったうえ、医療事故による負担も作用しているからだ。ソウルのある大学病院の関係者は「応急医学科の教授を呼ぶために学会などの複数のチャンネルを通して公告を出したが、数カ月間ずっと採用できずにいる。高い年俸を提示しても特に反応はない」とし「必須医療忌避問題が膨らむはず」と話した。
人員不足は応急医学科だけでない。内科・外科なども人員が不足し、救急室に来る患者を受け入れられない。いわゆる「ビッグ5」病院も救急室総合状況サイトに特定科の診療不可メッセージを出している。ソウル聖母病院は27日、血液内科・泌尿医学科などの患者の受け入れ不可を公示し、ソウル峨山病院も人員不足で整形外科手術・入院は難しいと明らかにした。これに先立ち今月初め、九老(クロ)駅事故の負傷者も整形外科専門医がいないため16時間ほど病院4カ所を回った。
今後こうした危機はさらに深刻化する可能性が高い。救急室勤務者の疲労度が累積している中、来月の秋夕(チュソク、中秋)連休には患者が集中し、救急室の診療に支障が生じるという懸念もある。キム・スジン教授は「秋夕にはバーンアウト(燃え尽き)する医師が出てきそうで心配している」とし「このままでは今のような救急室の運営も維持できない病院が増えるだろう」と話した。
70代の脳梗塞患者Aさんは先月末、入院中の地方リハビリ病院で突然意識を失い、酸素飽和度が落ちた。この病院は付近の大型病院の救急室にAさんの転院を依頼したが、すべて「病床がない」という理由で断られた。Aさんはやむを得ずリハビリ病院に残ることになり、約2時間後に死亡した。最近、ソウルのコンビニで倒れた患者、工事現場で事故にあった作業員も病院10カ所ほどを回りながら息を引き取ったという。
こうした事態の裏には医療空白による人員不足がある。健康保険審査評価院によると、今年4-6月期の応急医学科専門医数は昨年の同期に比べ118人増えた。しかし2月に医政葛藤が本格化した後、専攻医およそ500人が辞職し、実際の救急室勤務者は大幅に減少した。7月基準で救急室に残っている専攻医は55人にすぎない。
何とか持ちこたえていた専門医らはしだいに救急室を離れている。医療空白が半年を超え、辞職・病気休暇が続出している。京畿(キョンギ)南部の主要圏域応急センターの亜洲(アジュ)大病院は最近、専門医が相次いで辞表を出し、21人だった勤務者が12人に減った。建国大忠州(チュンジュ)病院では先週、応急医学科専門医7人全員が辞意を表明した。
忠北大病院は14日、専門医2人の病気休暇のため救急室の運営を一時中断した。忠北大病院の関係者は「専攻医の離脱後、専門医6人が数カ月間にわたり昼夜勤務を順にしていたが、救急室の運営が限界に直面した」と説明した。最近辞表を提出した江南聖心病院応急医学科教授は「数カ月前に持病が悪化したが、勤務から抜ければ他の教授の負担がかかるため、どうにか持ちこたえながら勤務してきた。しかしこれ以上は心理的・体力的にきつい」と話した。
上級総合病院中心の圏域応急センターも専門医1人勤務が「ニューノーマル」となった。総合病院などから移ってくる患者が多いが、重症患者1人の治療も手に負えない。軽症患者10人より重症患者1人により多くの人的資源が必要だという。
キム・スジン高麗大安岩病院圏域応急医療センター長(応急医学科教授)は「専門医が8人なので、昼の時間帯を除けば事実上1人が勤務する」とし「6カ月前には専攻医を含む5、6人がしていたことを今は1人がしている。重症患者が突然3、4人入ってくる場合、他の患者に対応できない」と話した。ナムグン・イン梨大木洞病院応急医学科教授も「ソウルの真ん中にある圏域センターだが、当直のたびに医師は私一人」と明らかにした。亜洲大医療院の関係者は「辞職の意思を明らかにした専門医が出て行けば週に1、2日は制限的に運営するしかない」と語った。
他の応急医療機関状況も似ている。江南聖心病院の関係者は「心肺蘇生(CPR)患者が生じれば全員が付かなければいけない。特に夜間にCPR状況が多いが、専攻医もいないので他の患者は事実上受けられない」とし「人員が不足して他の病院から来る転院患者も以前のようには受け入れにくい」と話した。
しかし救急室の勤務者を補充しようとしても志願者は少ない。以前よりも勤務の強度が強まったうえ、医療事故による負担も作用しているからだ。ソウルのある大学病院の関係者は「応急医学科の教授を呼ぶために学会などの複数のチャンネルを通して公告を出したが、数カ月間ずっと採用できずにいる。高い年俸を提示しても特に反応はない」とし「必須医療忌避問題が膨らむはず」と話した。
人員不足は応急医学科だけでない。内科・外科なども人員が不足し、救急室に来る患者を受け入れられない。いわゆる「ビッグ5」病院も救急室総合状況サイトに特定科の診療不可メッセージを出している。ソウル聖母病院は27日、血液内科・泌尿医学科などの患者の受け入れ不可を公示し、ソウル峨山病院も人員不足で整形外科手術・入院は難しいと明らかにした。これに先立ち今月初め、九老(クロ)駅事故の負傷者も整形外科専門医がいないため16時間ほど病院4カ所を回った。
今後こうした危機はさらに深刻化する可能性が高い。救急室勤務者の疲労度が累積している中、来月の秋夕(チュソク、中秋)連休には患者が集中し、救急室の診療に支障が生じるという懸念もある。キム・スジン教授は「秋夕にはバーンアウト(燃え尽き)する医師が出てきそうで心配している」とし「このままでは今のような救急室の運営も維持できない病院が増えるだろう」と話した。
この記事を読んで…