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豊作なのにだぶつくコメのジレンマ…「ごはんが喉を通らない」韓国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

資料写真[Pixabay]

コメの豊作を迎えたが、昨年のコメが残っており頭痛の種だ。野党は「残るコメを政府が義務買い取りすべき」として大統領が拒否権を行使した糧穀管理法を再発議する方針だ。

韓国農林畜産食品部が19日に明らかにしたところによると、今年はコメの豊作が予想される。コメは高温多湿な東南アジアの気候で良く育つ。今年は気候温暖化にともなう猛暑と夕立ちなどでコメ生育に最上の環境に変わった。だが農家にとって豊作はありがたくない。そうでなくてもコメが余っているのにコメ価格だけ暴落するか懸念するためだ。

韓国統計庁によると、5日基準で産地のコメ価格は80キログラム当たり17万8476ウォンを記録した。1月の19万6656ウォンから9.2%落ちた。コメ収穫期である昨年10月の21万7552ウォンと比べると17.5%の急落だ。政府が安定したコメ農家の所得を保障するために提示した価格の20万ウォンに大きく下回る。


耐えきれず農民たちが立ち上がった。全国農民総連盟をはじめとする農民団体は6日にソウル駅近くでコメ価格保障要求集会を開いた。9日には慶尚南道宣寧郡(キョンサンナムド・ウィリョングン)の農家で水田3800平方メートルを掘り返した。慶尚南道晋州(チンジュ)の農民は「収穫を控えてコメ価格が下がり続けており豊作は少しもうれしくない」と話した。

コメをたくさん収穫しただけ消費が後押しすれば問題になることはない。だがコメ消費は以前には及ばない。統計庁が1月に発表した「2023年糧穀消費量調査結果」によると、昨年の1人当たりコメ消費量は56.4キログラムを記録した。30年前の110.2キログラムの半分だ。1日当たり消費量は1杯半相当の154.6グラムにとどまった。

結局政府が乗り出して収拾することを繰り返す。農林畜産食品部は19日の閣議で、昨年生産したコメ5万トンと今年の40万トンを公共備蓄分として買い取ることにしたと明らかにした。公共備蓄制は糧穀不足による需給不安、自然災害などによる食糧危機に備えて政府がコメを買い入れる制度だ。

公共備蓄規模は2021年まで35万トン前後を維持していたが2022年に45万トン、2023年に40万トン、今年は45万トンと増える傾向だ。コメ価格下落傾向が激しく、政府が市場介入手段として公共備蓄を積極的に活用しているのだ。昨年の予算案発表当時、農林畜産食品部はコメ買い入れ単価を80キログラム20万ウォン水準で策定した。45万トンをこの価格で買い入れる場合、約1兆1250億ウォンの予算がかかる。市場価格より高く買ったコメだが市中で売れず、結局飼料用として安値で放出する。それでもだぶついており収穫期になると倉庫が足りなくなる。政府は冷凍のり巻き、パックごはん、米マッコリのようなコメ加工食品輸出に突破口を求めているが、この程度では市中に残るコメを処分するのに限界がある。

こうした状況なのに野党はおかまいなしだ。「共に民主党」は5日に党論として糧穀管理法改正案を再び発議することにした。21代国会当時に強行し大統領の拒否権(再議要求権)行使により水の泡となった法案を修正して9月の国会に提出する予定だ。改正案は既存の糧穀管理法より義務買い入れ基準を緩和したが、コメ価格が基準価格未満に落ちればその差額の一部を農家に支給する内容が骨子だ。農林畜産食品部関係者は「糧穀管理法を施行する場合、2030年にはコメの買い入れと保管費用として3兆ウォン以上かかる」としてが事実上反対の意志を表明した。

忠南(チュンナム)大学農業経済学科のキム・ソンフン教授は「欧州と東南アジアで(糧穀管理法と)同様の政策を施行したが財政負担が大きく膨らみ農業競争力が弱まった。ともすると重症患者(コメ産業)を立ち上がらせる代わりに政府補助金に頼って生命だけ維持する『延命治療』にとどまることになりかねない」と話した。



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