「イスラエルは『幽霊』をどのように殺したのか」

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル（ＷＳＪ）は１８日、このようなタイトルの記事で先月３０日、レバノンの武装組織ヒズボラの最高位指揮官フアド・シュクル氏がイスラエルの空襲で死亡するまでの一連の出来事を報じた。シュクル氏は名前や顔を知っている人がほとんどおらず、近所の人々も「幽霊のようだった」というほどだった。




シュクル氏は死亡当日、レバノン・ベイルートの住居用建物２階にある事務室に留まっていた。死亡する数時間前までヒズボラ最高指導者ハッサン・ナスララ師と連絡をやりとりしていた。シュクル氏はその日夕方、何者かから同じ建物７階にある宿舎に行くようにという電話を受けた。続いて午後７時、イスラエルの爆弾が宿舎を襲い、シュクル氏と彼の妻、別の２人の女性、２人の子供が死亡した。レバノン保健省によると、この日の空襲で７０人以上が負傷した。

ＷＳＪはヒズボラ関係者の言葉を引用し、「周辺の建物の間からより攻撃しやすい７階に上がってくるように伝える電話は、ヒズボラ内部の通信網を突破した何者かが行った可能性が高い」と伝えた。

ヒズボラはイスラエルの盗聴を防ぐために内部通信網でも暗号化された言語を使ってきた。２月には所属戦士と家族にスマートフォンを使わないように命じたりもした。

シュクル氏は先月末、イスラエルが占領したゴラン高原にあるマジダルシャムス村のサッカー場にヒズボラが発射したロケットが落ちて１０人余りが死亡した後、イスラエルの攻撃ライン上に上がった。シュクル氏が死亡した当日午前、ヒズボラは高位指揮官に解散命令を下したが、イスラエルの空襲を防げなかった。

シュクル氏はヒズボラと後援者であるイランの間の主要な連結役だった。１９８３年ベイルート米海兵隊テント爆弾テロで米軍２４１人が亡くなった後、攻撃立案者・実行者に指定されたシュクル氏は４０年間米国を避けてきた。ヒズボラが１９８５年公式創党された後は最初の軍司令官になった。

シュクル氏は過去１０カ月間、イスラエルとの戦闘を指揮した。外部露出を極力避け、参戦勇士の小サークルだけに姿を現し、今年初めイスラエルと戦って死んだ甥の葬式にも数分間だけ出席したという。彼の死を報じるレバノンメディアが他の人の写真を掲載するほどシュクル氏はベールに包まれた人物だった。

ＷＳＪは「シュクル氏は死亡すると闇から抜け出した。追悼式で彼の顔は広告看板に印刷され、戦場における彼の人生を扱った動画が大型スクリーンに投射され、ナレーションは彼の美徳を鼓膜が破れるくらいの音量で称賛した。彼はベイルートの共同墓地に埋葬された」と伝えた。