ガザ地区での戦争勃発後に死亡したパレスチナ住民が４万人を超えたことがわかったが、実際の死亡者数はこれよりさらに多いだろうという評価が出ている。

パレスチナのイスラム組織ハマスが統制するガザ地区保健省は１５日、昨年１０月７日に戦争が勃発してからイスラエルの攻撃により死亡した住民は４万５人と集計されたと発表した。

この数字はハマス側の集計に従ったものであり完全に信頼するのは難しいという認識もあるが、専門家らは概ねガザ地区保健省の集計値が比較的正確なものと評価している。


米日刊ワシントン・ポストによると、紛争死傷者を研究する英ロンドン大学のマイケル・スパガット教授はガザ地区保健省が病院霊安室の遺体数を基準として１日の死亡者を集計してきたとし、戦争初期にこうした方式は「非常に信頼できるものだった」と話した。

その後戦闘が激化して医療システムが崩壊し統計の質は悪化したが依然としてスーダンやシリアなど他の紛争地域よりははるかに正確な情報を提供しているとスパガット教授は評価した。

米保健学研究団体のアドボゲイトオーロラ研究所の研究陣は先月医学学術誌のランセットに掲載した論文で「報告された死亡者数は過小評価された可能性が高い」と明らかにした。

研究陣の説明によると、戦争では空爆などにともなう直接死亡者だけでなく、医療インフラ破壊と食糧・飲料水不足などによる間接死亡者も発生する。

したがって最近世界の紛争で発生した間接死亡者は直接死亡者の約３～１５倍に達すると推定される。

これを基に見れば、ガザ地区の死亡者も最大１８万６０００人と推定できるというのが研究陣の主張だ。これはガザ地区の人口２２０万人の１０分の１に迫る数値だ。

国連とガザ地区の活動家は死亡者の大部分が女性と子どもだとみている。

英国救護団体「パレスチナのための医療支援」のガザ地区責任者は「４万人の女性と子ども、青少年、成人、高齢者がこれ以上存在しない。これは４万人の家族が悲嘆に暮れ心が崩れ落ちたという意味」と指摘した。

ターク国連人権高等弁務官は１５日に声明を通じ「こうした想像できない状況はイスラエル軍が戦争規則を順守しなかったために発生した。この１０カ月間ガザ地区で毎日平均１３０人ほどが命を失った」と指摘した。

その上で「イスラエル軍が家と病院、学校、礼拝場所を破壊した規模は非常に衝撃的」と批判した。

国際社会の非難にもかかわらず、イスラエル軍はハマスが学校や病院など民間施設を盾にしているみて戦争で攻撃が禁止されたこれらの場所にも空爆と過激な地上戦を展開している。