ドナルド・トランプ前大統領は来月１８日に予定されている「セックススキャンダル口止め」事件の刑事裁判の宣告を１１月の大統領選挙後に先送りすることを裁判所に要請した。

トランプ氏の弁護人のトッド・ブランチ弁護士は１５日（現地時間）に公開された判事に送った書簡で、「トランプ前大統領に対する宣告が予定通り大統領選挙の７週間前に行われる場合、選挙の妨害になりかねない」と述べたとポリティコなどが報じた。

米国の大統領選挙日は１１月５日だが、多くの州で早期投票を実施している。


特に、一部の州は裁判宣告日の９月１８日を前後に早期投票を始めるため、トランプ氏側の今回の宣告延期要請は、すでに有罪評決が出た裁判の量刑宣告が選挙に及ぼす影響を遮るためのものと解釈される。

また、ブランチ弁護士は書簡で「赤裸々に露呈した選挙妨害目的を差し置いても、裁判所が現在の宣告日を維持する妥当な理由がなく、（宣告を）急ぐ根拠がない」とし「宣告を大統領選挙後に延期することを要請する」と強調した。

ただ、米国メディアは、この要求が受け入れる可能性は低いと見ている。トランプ氏側がすでに一度、宣告を７月から９月に延期しているためだ。

トランプ氏は２０１６年の大統領選挙直前に過去の性的関係の暴露を防ぐために個人弁護士だったマイケル・コーエン氏を通じて元ポルノ女優のストーミー・ダニエルズ氏に１３万ドルを渡した疑惑を受けている。また、この過程で費用に関する会社の文書を改ざんした疑いもある。

マンハッタンの住民１２人で構成された陪審員団は５月３０日、トランプ氏が疑惑を受けている３４件の罪状について全て有罪だと満場一致で判断した。

その後、連邦最高裁は７月１日、トランプ氏が２０２０年の大統領選挙の結果を覆そうとしたとして起訴された件と関連して「在任中の公的行為は退任以後にも刑事起訴免除対象」という主張を一部受け入れる決定を下した。

これを受け、トランプ氏の弁護団は口止め金支給疑惑裁判の有罪評決を破棄するように担当判事に要請した。

弁護団は口止め料支払い疑惑自体が免責対象だとは主張しないが、疑惑事実に関わる証拠が在任期間の公的行為のため、今回の裁判が検察側の不当な証拠で「汚染された」というのがその理由だった。

ニューヨーク検察は、最高裁の免責特権に関する決定が今回の刑事裁判で自分たちが提出した証拠には適用されず、証人の個人的な証言はトランプ氏の在任中の職務とは関係がないと反論した。

また、最高裁の決定に影響を受ける証拠があるとしても、他の多くの証拠を提示したため、有罪評決が維持されなければならないと主張した。

これに対し、ニューヨーク刑事裁判所のフアン・マーチャン判事は、最高裁の前職大統領の免責決定がトランプ前大統領の有罪評決を破棄すべきか、まず来月１６日までに決定した後、２日後の９月１８日に刑量を宣告すると決定した。