パリ五輪で性別をめぐる議論を起こしたアルジェリア出身のボクサー、イマネ・ケリフが金メダルを獲得した。

ケリフは１０日にパリで行われたボクシング女子６６キロ級決勝で中国の楊柳を５－０の判定で勝利を収めた。

ケリフは台湾の林郁婷とともに昨年国際ボクシング協会（ＩＢＡ）から世界選手権大会失格処分を受けた。当時ＩＢＡは両選手が「ＸＹ染色体」を持つという理由で失格にした。


これに対しＩＯＣは、パスポートの性別を基準として五輪出場の可否を決めるとし、ケリフと林を「明確に女性」と認めると明らかにした。

ケリフは今大会で圧倒的な技量を誇った。１６強戦でイタリアのアンジェラ・カリニが１ラウンド４６秒で棄権し勝利した。準々決勝と準決勝、決勝ではいずれも５－０で審判全員一致の判定勝ちを相次いでおさめた。

ケリフは決勝で勝利が確定すると大きく歓呼し、楊に歩み寄り手を取り合って持ち上げた。表彰式でケリフは涙の代わりに微笑だけ見せた。

ケリフは「私は五輪に参加する資格が十分だ。他の女性と同じように女性として生まれて生きてきた。私が女性なのかそうでないのか何度も話した。非難が私の原動力になった。彼らの攻撃のおかげで金メダルがもっとうれしい」と金メダルを取った所感を明らかにした。

また「私が世界に言いたいのはすべての人が五輪精神を順守し、他人を誹謗してはならない点。今後五輪で私のように非難される人がいなくなることを望む」と話した。

イタリアのメローニ首相は今大会でケリフと１６強戦で対戦したアンジェラ・カリニの試合を控え、「男性選手が出場するのは不当だ」として国際オリンピック委員会（ＩＯＣ）のバッハ会長に問い質した。「ハリー・ポッター」の作家Ｊ・Ｋ・ローリング、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者（ＣＥＯ）ら世界的著名人もケリフの出場を非難した。

１１日にはまた別の「性別議論」選手である林郁婷が女子５７キロ級決勝でポーランドのユリア・シェレメタと激突する。