ナポレオンが眠るフランス・パリのアンバリッドはいまや韓国アーチェリーの聖地になった。韓国はパリ五輪アーチェリー男女個人戦と団体戦で金メダル５個をすべて手にした。男子のキム・ウジンと女子のイム・シヒョンがそれぞれ３冠となり韓国アーチェリーの勢いを見せた。



キム・ウジンは４日にパリのアンバリッドで行われたアーチェリー男子個人総合決勝でブレイディ・エリソン（米国）をセットスコア６－５（２７－２９、２８－２４、２７－２９、２９－２７、３０－３０、１０－１０）で破り金メダルを獲得した。準決勝でシュートオフの末にイ・ウソクを下して決勝に進んだキム・ウジンは団体戦と混合戦に続き個人戦まで勝利を収め３冠となった。男子アーチェリー史上初の五輪３冠だ。イ・ウソクはフロリアン・カールンド（ドイツ）に６－０で勝ち銅メダルとなった。


決勝戦で対戦したキム・ウジンとエリソンは第５セットまで５－５で競り合った。結局１発で勝負を決めるシュートオフにもつれ込んだ。キム・ウジンもエリソンも１０点に当てたが標的中央からの距離がより近いキム・ウジンがかろうじて勝利した。わずか４．９ミリメートル差で勝負が分かれた。

２０１６年のリオデジャネイロ大会、２０２０年の東京大会でも団体戦で金メダルを取っているキム・ウジンは通算５個目の金メダルを首にかけた。

◇「パリの女王」イム・シヒョンも３冠…韓国「銃・剣・弓」でメダル１０個

アーチェリーのキム・スニョンと射撃のチン・ジョンオの４個を抜いて韓国五輪最多金メダル５個の主人公になった。

韓国アーチェリーはリオ大会から８年ぶりに全種目を席巻した。当時は混合戦が新設される前で金メダル５個を取ったのは今回が初めてだ。韓国はまた、過去３大会にかかった１３個の金メダルのうち１２個を獲得する圧倒的な実力を誇示した。パリ大会では金５、銀１、銅１個を取り出した。

キム・ウジンは代表チーム選手のうち唯一めがねをかけている。視力は０．３～０．４の近視だ。ドライアイに複合乱視もある。だが驚くほどの集中力でハンディキャップを乗り越えた。キム・ウジンは「これほど緊張した試合は初めてだ。シュートオフで最後の１発を１０点に当てても安心できなかった。私個人の勝利ではない。みんながひとつになったおかげで新しい歴史を書くことができた」と話した。

尹錫悦（ユン・ソクヨル）大統領は試合直後にフェイスブックを通じ「息を止めて見た名勝負だった」としながら勝利を祝った。

前日に行われた女子の試合では「アーチェリーの女王」イム・シヒョンが今大会で３冠となった。３日に行われたアーチェリー女子個人総合決勝でイム・シヒョンはチームメートのナム・スヒョンを７－３（２９－２９、２９－２６、３０－２７、２９－３０、２８－２６）で下し金メダルを取った。イム・シヒョンは団体戦と混合戦に続き個人戦まで制覇し３冠となった。

表彰式でイム・シヒョンは親指と人差し指で円を作り残りの３本の指を広げた「ＯＫサイン」を片方の目に合わせるジェスチャーを見せた。３冠を意味するのかと尋ねる取材陣に「ある方が『杭州で３冠になったが、すぐ次の大会でまた３冠になるのが容易だと思うか』と話した。それで（その難しい）針の穴を通過したという意味を込めた」と説明した。彼女は昨年の杭州アジア大会３冠だ。

今回の女子代表チームメンバー３人全員が五輪出場は初めてだった。チームのエースである彼女の負担は大きく、実際に「国家代表選抜戦でベテランの先輩が脱落して私がエースになっていた。プレッシャーは少なくなかったが、『結果より過程に集中しよう』という考えで準備した」と話した。

彼女は強みとするなら心が広い性格を挙げる。対戦中の相手が何点を撃っても揺れることがない。

イム・シヒョンは「相手が何点を撃とうが自分の試合をしようと思った。（個人戦金メダル確定後）『うわ、やった！　過程にだけ集中したから本当になった』と考えた。団体戦と混合戦は結果に集中したとすれば個人戦は過程に集中して楽しもうと思った。（準決勝から）韓国選手同士が対戦し２人のうち１人が上がる過程を繰り返すのでむしろ気が楽だった」と話した。

４年後のロサンゼルス大会で金メダル２個を追加すれば彼女は韓国五輪出場選手で最多の金メダル保有者となる。彼女は「４年後ことはだれもわからない。ひとまずいまをもう少し楽しみたい。次の目標はキム・ウジン先輩のように粘り強い選手になること」と覚悟を固めた。

韓国はパリ五輪でアーチェリーと射撃、フェンシングの善戦で４日現在の当初目標の金５個を大きく上回る１０個の金メダルを獲得した。