韓中日の東アジア3カ国が人口減少、生産性低下、低成長という大きな壁にぶつかっている。勢いがあった中国の高成長は2020年代に入って弱まり、2010年代の平均成長率7.7%から過去4年間は4.7%に下がった。その結果、中国の世界経済成長への寄与率も2010-19年の32%から2020-23年には24%に低下した。中国の経済活動人口はすでに2015年から減り始め、投資率は依然として高い水準だが、それ以上は増えていない。これを補完すべき生産性は2010年代以降、下方傾向が続いている。中国政府は最近また財政、信用拡大を通した浮揚策を出しているが、これは一時的な効果にとどまるだろう。
30年ほど前、日本がすでにこのような道に入った。貿易制裁、プラザ合意などで米国の牽制が強まり、高齢化が始まって成長が弱まると、財政と通貨の拡大を通じて景気浮揚を図ってきたが、バブルと危機ばかりを助長し、長期沈滞から抜け出せなかった。構造改革が遅れ、生産性が低下し、2010年まで守ってきた世界2位の経済大国の地位はいまやインドにも追い越され、世界5位の経済に落ちることになった。安易な財政金融拡大に依存し、国家負債比率は世界最高になった。
韓国もいま似た道に入っているとみられる。労働供給と投資増加率が下降線をたどる状況で成長率の低下を防ぐためには生産性向上が必須だが、これも過去数年間は低下している。韓国銀行(韓銀)の報告書によると、1970年代以降の過去50余年間、平均的に韓国経済の成長要因の約24%が生産性の向上だったが、2010年代以降は下がり、過去3年間は7.5%に落ちた(チョ・テヒョン、『韓国経済80年および未来成長戦略』、2023)。現在の傾向が続けば、10年後には成長率が0%台に落ち、20年後にはマイナスに転換する。遠い将来の話ではない。
近代産業化文明の発源地は西欧だ。第4次産業革命時代と呼ばれる今もそれが続いている。アジアはその波が押し寄せた時期に植民地に転落したりもし、西欧の技術と制度を習いながら追ってきただけだ。科学技術と政治・経済制度の発展は、単に創意的で優れた科学者、思想家、指導者がその地に降り落ちて起きるのではない。知識と情報を探求し、討論と創造力発揮を刺激する社会的な雰囲気、新技術の開発が補償を受ける市場環境と制度基盤、包容的な社会文化がなければいけない。こうした面でまだ東アジア3カ国は西欧に追いついていない。韓中日3カ国ともに、海外の技術、制度を模倣して製造業が拡大した段階では高かった生産性の向上が、自ら革新と開発をしなければならない段階に達すると勢いを失った。
中国が最近、科学論文発表数で米国を上回り始めたが、先端技術と全般的な科学水準は米国より遅れている。東洋が西欧に及ばないのは科学技術だけではない。社会科学はそれ以上だ。英米で発展した現代経済学は彼らの市場環境と発展過程に基づくものだ。景気対応策はあるものの、後発産業国の特徴である成長率の急上昇・急降下による構造改革対策はない。中国や韓国が日本の失われた30年の道をたどらないためには、自分たちに必要な経済学を発展させる必要がある。財産所有方式に対する選好度、産業・金融・雇用構造、成長過程と市場慣行が異なり構造的に成長率が急落するこの国で景気対応策ばかりを踏襲したところ、結局は信用バブル、若者に厳しい住宅価格、資産二極化、人口の崖の前に立つことになった。
にもかかわらず、21世紀はアジアの世紀になるのは明らかだ。21世紀半ばになれば、中国やインドを含むアジア経済は世界経済の半分を超えるだろう。今まで欧米が築いた世界経済秩序、国際機構支配構造(global governance)の改編が避けられなくなる。韓中日がアジアのリーダーとして、さらに世界秩序改編に十分な役割を果たすためには、何よりもこの国で速い知識の発展と蓄積が起きなければいけない。韓国は小さな国だが、知識水準まで遅れてはいけない。
結局は基本が重要となる。その基本は知識と技術と革新能力だ。それがなければ経済成長も国家繁栄も持続しにくい。世界秩序変化の主導的な役割はなおさら難しい。いま韓国は大学を発展させ、知識と研究に対する社会的補償を高めていく必要がある。韓米日の協力も重要だが、長く見れば韓中日の知識交流と協力、相互刺激と学習も非常に重要だ。韓米日の協力が政治外交の課題なら、韓中日の知識交流拡大は未来を見る知識社会が推進していくべき課題だ。3カ国が葛藤や反目を越えて知識・経験共有と協力の道を広げていかなければ、世界の未来は今よりさらに不安になるしかない。
趙潤済(チョ・ユンジェ)/西江大名誉教授
30年ほど前、日本がすでにこのような道に入った。貿易制裁、プラザ合意などで米国の牽制が強まり、高齢化が始まって成長が弱まると、財政と通貨の拡大を通じて景気浮揚を図ってきたが、バブルと危機ばかりを助長し、長期沈滞から抜け出せなかった。構造改革が遅れ、生産性が低下し、2010年まで守ってきた世界2位の経済大国の地位はいまやインドにも追い越され、世界5位の経済に落ちることになった。安易な財政金融拡大に依存し、国家負債比率は世界最高になった。
韓国もいま似た道に入っているとみられる。労働供給と投資増加率が下降線をたどる状況で成長率の低下を防ぐためには生産性向上が必須だが、これも過去数年間は低下している。韓国銀行(韓銀)の報告書によると、1970年代以降の過去50余年間、平均的に韓国経済の成長要因の約24%が生産性の向上だったが、2010年代以降は下がり、過去3年間は7.5%に落ちた(チョ・テヒョン、『韓国経済80年および未来成長戦略』、2023)。現在の傾向が続けば、10年後には成長率が0%台に落ち、20年後にはマイナスに転換する。遠い将来の話ではない。
近代産業化文明の発源地は西欧だ。第4次産業革命時代と呼ばれる今もそれが続いている。アジアはその波が押し寄せた時期に植民地に転落したりもし、西欧の技術と制度を習いながら追ってきただけだ。科学技術と政治・経済制度の発展は、単に創意的で優れた科学者、思想家、指導者がその地に降り落ちて起きるのではない。知識と情報を探求し、討論と創造力発揮を刺激する社会的な雰囲気、新技術の開発が補償を受ける市場環境と制度基盤、包容的な社会文化がなければいけない。こうした面でまだ東アジア3カ国は西欧に追いついていない。韓中日3カ国ともに、海外の技術、制度を模倣して製造業が拡大した段階では高かった生産性の向上が、自ら革新と開発をしなければならない段階に達すると勢いを失った。
中国が最近、科学論文発表数で米国を上回り始めたが、先端技術と全般的な科学水準は米国より遅れている。東洋が西欧に及ばないのは科学技術だけではない。社会科学はそれ以上だ。英米で発展した現代経済学は彼らの市場環境と発展過程に基づくものだ。景気対応策はあるものの、後発産業国の特徴である成長率の急上昇・急降下による構造改革対策はない。中国や韓国が日本の失われた30年の道をたどらないためには、自分たちに必要な経済学を発展させる必要がある。財産所有方式に対する選好度、産業・金融・雇用構造、成長過程と市場慣行が異なり構造的に成長率が急落するこの国で景気対応策ばかりを踏襲したところ、結局は信用バブル、若者に厳しい住宅価格、資産二極化、人口の崖の前に立つことになった。
にもかかわらず、21世紀はアジアの世紀になるのは明らかだ。21世紀半ばになれば、中国やインドを含むアジア経済は世界経済の半分を超えるだろう。今まで欧米が築いた世界経済秩序、国際機構支配構造(global governance)の改編が避けられなくなる。韓中日がアジアのリーダーとして、さらに世界秩序改編に十分な役割を果たすためには、何よりもこの国で速い知識の発展と蓄積が起きなければいけない。韓国は小さな国だが、知識水準まで遅れてはいけない。
結局は基本が重要となる。その基本は知識と技術と革新能力だ。それがなければ経済成長も国家繁栄も持続しにくい。世界秩序変化の主導的な役割はなおさら難しい。いま韓国は大学を発展させ、知識と研究に対する社会的補償を高めていく必要がある。韓米日の協力も重要だが、長く見れば韓中日の知識交流と協力、相互刺激と学習も非常に重要だ。韓米日の協力が政治外交の課題なら、韓中日の知識交流拡大は未来を見る知識社会が推進していくべき課題だ。3カ国が葛藤や反目を越えて知識・経験共有と協力の道を広げていかなければ、世界の未来は今よりさらに不安になるしかない。
趙潤済(チョ・ユンジェ)/西江大名誉教授
この記事を読んで…