パレスチナ系米国人モデルのベラ・ハディッド（２７）が１９７２年ミュンヘンオリンピック（五輪）をテーマにしたアディダスの広告に出演して「イスラエル選手団がパレスチナのテロ団体によって犠牲になった事件」を連想させるという批判を受けると、歴史的な事実を知らなかったとして謝罪した。

３０日（現地時間）、米ＣＮＢＣ放送などによると、ハディッドは２９日、自身のインスタグラムのストーリーズにあげた声明で「私はこの（広告）キャンペーンが公開される前は、１９７２年の恐ろしい事件と歴史的につながっていることを知らなかった」とし「もしそれを知っていたなら、心の底から参加しなかっただろう」と明らかにした。あわせて「私はこのキャンペーンの感受性不足に衝撃を受け、腹が立った」と付け加えた。


ハディッドは「私たちのチームが知っているべきで、アディダスも知っているべきだった」とし「私もより多くの調査をして知り、理解して声を出すべきだった」と自ら叱責した。


続いて「私はある種の恐ろしい悲劇に関連した芸術や作品に故意的に関与しない」と強調した。

これに先立ち、アディダスは今月中旬、ハディッドが出演したスニーカー「ＳＬ７２」広告イメージを公開した。このスニーカーはアディダスが１９７２年ミュンヘン五輪のときに初めて発売した製品の復刻版だ。

ミュンヘン五輪ではイスラエル選手団１１人がパレスチナの武装集団「黒い９月の月」のテロで犠牲になった。

イスラエル政府はＸ（旧ツイッター）のアカウントに「ハディッドと父親は反ユダヤ主義的な誹謗と陰謀を事あるごとにまき散らしている。アディダスは言いたいことはあるか」と批判した。

米国ユダヤ人委員会も「アディダスがこの暗い五輪を想起させるために反イスラエルの声をあげるモデルを前面に出した決定は途方もない失敗、そうでなければ意図的扇動」と反発した。

パレスチナ出身の父親とオランダ出身の母親の間に生まれたハディッドは、これまでパレスチナ解放運動を支持する声をあげてガザ地区救護のための寄付にも積極的に参加してきた。

アディダスは１９日、「完全に意図していなくても、歴史の悲劇的事件につながる点を認識しており、傷や苦痛を与えたことに対してお詫びする」とし「キャンペーンを修正する」と明らかにした。

アディダス側は具体的に言及しなかったが、これはモデルのハディッドを交代させるという意味に解釈された。

ハディッドを支持する人々は、単にハディッドがパレスチナ系という事実のために５２年前に発生したテロ攻撃とハディッドを関連づけるのは人種主義的だとし、アディダスのモデル交代決定を批判した。

親パレスチナ活動家はアディダスのボイコットを求めた。