２１日（現地時間）、米国のバイデン大統領の大統領選候補辞退宣言以降、民主党内の大物政治家の「ハリス副大統領支持」が続く中、唯一オバマ元大統領の沈黙だけが長くなっている。

バイデン大統領の再選挑戦断念直後、「潜竜」に分類されたカリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事をはじめ、ペンシルバニア州のジョシュ・シャピロ知事、ピート・ブティジェッジ運輸省長官、ビル・クリントン元大統領夫妻がいっせいに「ハリス支持」意思を表明した。翌２２日「バイデンの代替候補は自由予備選で選出しなければならない」と主張していたナンシー・ペロシ元下院議長もハリス支持に回った。

続いて２３日にはチャック・シューマー上院院内総務やハキーム・ジェフリーズ下院院内総務が共同記者会見を開いて「ハリス氏を支持する準備が整った」とし「ハリス候補大勢論」に力を添えた。


だが、民主党内で最も大きな影響力を持つオバマ元大統領はまだはっきりした立場場表明をしていない。オバマ氏はバイデン氏が候補から辞退した直後の２１日、声明を出して「米国国民の利益を自身の利益より優先視した真の公職者」「最高の愛国者」などバイデン礼賛論を展開していたが、ハリス副大統領に対する言及はなかった。

オバマ氏のこのような「距離の確保」に対し、ハリス氏を支持しないか、またはバイデン候補撤退時の代案の一人として名前があがったミシェル夫人を念頭に置いているなどのさまざまな解釈が出てきた。

だが、これは「意図的沈黙」という解釈が米国政界で力を増している。これに関連して、政治コンサルタントのデービッド・ローガン氏は英メディア「インディペンデント」とのインタビューで「オバマがハリスに対する支持の意思をすぐに明らかにしないのは、民主党の正しい政治プロセスを支持しているという信号にすぎない」としながら「党が処理するように放任しておき、党指導部が党を運営するように任せている」と話した。

特に民主党大統領候補を公式選出する全党大会の場所がオバマ氏の政治的支持基盤であるシカゴである点もオバマ氏の「距離の確保」に影響を及ぼしているという分析だ。ローガン氏は「新候補選出のための予備選過程で競合が起きる場合、元老政治家であるオバマがピースメーカー役を果たして統合を引き出すだろう」としながら「その時オバマがハリス候補選出のために尽力するという件に疑いの余地がない」と話した。インディペンデントはまた別の政界関係者を引用し、「オバマは水面下で一連のことを調整したという批判を受けるよりも状況が自然に解決されるまで待つことを望んでいるようだ」と伝えた。

ニューヨーク・タイムズ（ＮＹＴ）も「オバマは生まれ持った慎重さのある政治家」という点を指摘した。ウォール・ストリート・ジャーナル（ＷＳＪ）は「オバマはまだハリス支持側に立っていないが、民主党が優れた候補を選ぶことができるという大きな確信を持っているようだ」と指摘した。

ハリス氏とオバマ氏は黒人という点以外にもさまざまな共通点を持っていて、非常に親交が深いという話もある。２人とも両親が離婚後、母親の手で育てられて成長期を送り、法学を学んだ後、政治家の道に飛び込んだ。性別・人種などガラスの天井を突き抜けて「最初の女性・黒人・アジア系カリフォルニア法務長官－副大統領」（ハリス）、「最初の黒人大統領」（オバマ）など「最初」の道を歩いてきた経歴も似ている。インディペンデントは「ハリスは最初の女性・黒人・アジア系大統領になり、長年の友であり良き友であるオバマを誇らしいものにしたいと思っている」と指摘した。