リオデジャネイロの資料写真[Pixabay]
ブラジルのオズワルド・クルーズ財団の研究陣はリオデジャネイロの海域で捕獲した13匹の「ブラジルヒラガシラ(Brazilian Sharpnose Shark)」を検査した結果、全個体の肝と筋肉から高濃度のコカインが検出されたと明らかにした。検出されたコカイン濃度は既に報告された他の水生生物から検出されたもの比べて100倍も高い数値だという。筋肉から検出された数値は肝よりも3倍が高かった。特にオスよりメスの筋肉で高濃度のコカインが検出された。
昨年、英国南部の海水サンプルからコカイン使用後に肝で生成されるベンゾイルエクゴニンを含む化学物質が検出されたことがあるが、今回のようにサメからコカインが検出されたのは初めてだ。
研究陣がブラジルヒラガシラをサンプルに選んだ理由は汚染物質にさらされる沿岸で一生を終えるためだ。ブラジルは南米の中でも二番目にコカイン消費が盛んな市場で、コカインにさらされている可能性が高いところだ。
今回の研究結果を通じて研究陣は増加するコカイン消費と劣悪な下水処理インフラによる海の汚染のためだとみている。研究に参加した生態毒物学者であるエンリコ・メンデス・サッジオロ(Enrico Mendes Saggioro)氏はCNNに「コカインを使用する人々の排泄水と不法麻薬製造実験室によって海が汚染されている」とコカインの流出と蓄積の可能性を予想し、懸念した。ポルトガル・レイリアにあるポリテクニック大学海洋環境科学センターの海洋生態毒性学者であるサラ・ノバイス(Sara Novais)氏も今回の調査結果に対して「潜在的に懸念される」と評価した。
まだサメに対するコカインの影響を究明するには追加的な研究が必要だ。ただし、薬物がヒトと同じように動物にも類似の影響を及ぼす可能性があるという過去の研究結果もあり、追加研究が必要だという説明が出ている。最上位捕食者であるヒトにもコカインにさらされた海産物を摂取した場合、影響が及ぶのかどうかについての研究も必要だという主張もある。
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