「私は（就任）初日に電気自動車義務命令を終わらせる」。

米共和党大統領候補のドナルド・トランプ前大統領は大統領候補指名受諾演説で、当選すればジョー・バイデン大統領の自動車排ガス基準強化など電気自動車拡大政策を直ちに中断すると述べた。米国に電気自動車を輸出中または現地生産を準備中の企業には緊張するしかない言葉だ。

「私は電気自動車に大賛成する。その用途がある」。


同じ演説でトランプ氏は電気自動車擁護発言もした。電気自動車自体に反対するのではなく、走行距離は短く価格が高い電気自動車の購買を事実上強要するバイデン氏の政策が問題ということだ。

自身を公開支持して巨額の政治後援支援金寄付も予想されるイーロン・マスク・テスラ創業者との親密な関係も発言に影響を与えた。トランプ氏は「我々は自動車製造業をまた米国に取り戻す」とも話した。この数年間繰り返し聞いてきた言葉だ。バイデン大統領の発言と同じだ。バイデン氏は就任後の最初の週に「メード・イン・アメリカ」行政命令に署名し、任期中は米国製造業の強化に力点を置いた。補助金など破格的な政策を盛り込んだインフレ抑制法・半導体法を作り、サムスン電子・ＴＳＭＣ・ハイニックス・現代自動車などの生産基地を米国に誘致した。

２人の大統領、さらに民主党と共和党は表現方式は異なるが、追求する本質は大きく異ならない。米国を最優先にすること、有権者の票に報いること、そのための核心政策は雇用の拡大ということだ。トランプ氏が当選すれば大変だと心配する前に、米国の現実政治の行間を読み取る長期的な努力と知恵が求められる。トランプ氏の言葉と最終結果が異なる場合が多いという点も記憶する必要がある。冷たく接近してこそ波を越えることができる。

パク・ヒョニョン経済エディター