10日にフランスのパリで開催された「ギャラクシーアンパック2024」でサムスン電子MX事業部長の盧泰文社長がAI機能を搭載した「ギャラクシーZフォールド6」と「ギャラクシーZフリップ6」を公開した。[写真 サムスン電子]
◇AI主導権「ハードウエアカンパニー」へ
オープンAIのチャットGPTなど大規模言語モデル(LLM)が開いたAI革命は逆説的に再び「ハードウエアの時代」を呼び起こした。AIを訓練・推論するコンピューティングインフラ、AIを消費者に提供するスマートフォンやPCなどエッジデバイスのいずれもハードウエアだ。最高性能のLLMを保有するオープンAIやグーグルよりエヌビディアが先にAIで莫大な収益を出す背景だ。いままさに開かれたばかりのAIサービス市場でも、スマートフォンで使用性、電力、費用が最適化されたAIキラーサービスをだれが出すかがカギだ。
今回のアンパックでサムスン電子とグーグルは両社が共同開発したAI検索「サークルトゥサーチ」の開発過程を公開した。サムスン電子のチェ・ウォンジュン副社長は「われわれはユーザーのスマホ使用スタイルに対する深い理解を、グーグルは検索専門性をテーブルに出した」と話した。サムスンのハードウエアの強みこそビッグテックのグーグルを協力のテーブルに座らせる武器ということで、これは単に「技術」だけでなく「ユーザー理解」が中心とならなければならないことを示す事例だ。
◇「作れる」より「なぜ必要なのか」
ファーウェイやシャオミなど中国企業の1-3月期の折りたたみスマホ販売台数はサムスンより多く、オナーは「世界で最も薄い折りたたみスマホ」を出した。しかしテック市場は「われわれはこんなものを作る」と叫ぶ企業ではなく、「ユーザーがこれで何をするか」を見せる企業が主導してきた。エヌビディアはグラフィック処理装置(GPU)を掲げて「グラフィック処理をうまくやる」上ではなく、「AI並列演算ができる」を見せ続けた末にAI市場をリードしている。
サムスンは今回のギャラクシーの新作で「なぜスマートフォンを折りたたまなくてはならないのか」に答を加えた。画面を2倍に活用できる折りたたみというフォームファクター(機器形態)の特性をAIの疎通・生産性機能に合わせて生かした「リアルタイム通訳対話モード」「AI文書編集・要約比較」などの新しい機能だ。2019年から折りたたみスマホ6年目のサムスンによるユーザー研究が際立つ部分だ。
◇短期実績、内部競争超え「種をまくサムスン」へ
「系列会社・事業部同士の協力より競争する」「持つものは多いがシナジーが出ない」…サムスン電子役員らが話す最近のサムスンの問題だ。専門経営者が会社のために長期的決定を下すように動機付与ができなくなっていると指摘される。
そうした面で今回のサムスンの動きは鼓舞的だ。盧泰文(ノ・テムン)MX事業部長(社長)はアンパックで「ギャラクシーAI対応機器を年内に2億台に増やす」とし、発売3年半が過ぎたギャラクシーS21にまで一部AI機能をサポートすると明らかにした。グーグルとともに拡張現実(XR)専用基本ソフト(OS)とソフトウエア開発ツール(SDK)などコンテンツやサービスが生じるプラットフォームを近く出すと話した。「機器発売より生態系作りが先」という判断からだ。いずれも短期成果に向けた決定ではない。
「韓国は『ある市場』に、米国は『ない市場』に投資する」――。あるディープテックスタートアップ企業の代表が規定した両国の投資の違いだ。米国はない市場を作るゲームチェンジャーに資金が集まるが、韓国ではすでに成功したモデルの後続として「第2の××」を好むということだ。どちらが市場を主導するかは語る必要がない。韓国の長い間の宿題をサムスンがモバイルAIで解決していくことを期待する。
シム・ソヒョン記者
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