最低賃金1万ウォン(約1140円)時代が開かれた。12日、最低賃金委員会が来年度の最低賃金を今年(時給9860ウォン)比170ウォン(1.7%)増の1万30ウォンに確定した。月給(週40時間・月209時間勤務)に換算すると209万6270ウォンとなり、今年(206万740ウォン)より月3万5530ウォン多い。最低賃金が1万ウォンを超えた1988年の制度導入から37年目だ。
11日午後3時から続いた約12時間のマラソン会議の末に来年度の最低賃金が決定したが、最低賃金をめぐる労使間の衝突はさらに激しくなる見込みだ。韓国労働組合総連盟(韓国労総)は声明で「最低賃金1万ウォン突破が大変なことのように意味付けしているが、実質賃金は事実上の削減」とし「歴史的などという言葉で大げさに騒ぐことでない」と指摘した。今回決定した1.7%の引き上げ率は2021年の1.5%に続いて過去2番目に低い。
経営界も遺憾を表明した。これに先立ち業種別・差別適用が否決された中、最低賃金引き上げで自営業者の負担がさらに加重したからだ。京畿道城南市(ソンナムシ)で焼肉店を経営する60代のキム・ソンウンさんは「職員は最低賃金が上がっただけに手当まで計算して月給を増やさなければならず、アルバイトは今でも1万2000ウォンほど出してこそ集まるが、さらに上がればどのように経営すればよいのか分からない」と吐露した。
専門家らは、今年の最低賃金委でも激しい衝突が起きただけに制度的問題を改善する必要がある、と指摘している。今月2日、最低賃金委では業種別・差別適用をめぐる表決を控え、労働界側の委員が議事棒を奪ったり投票用紙を破ったりした。中央大のイ・ビョンフン社会学科名誉教授は「国会を通じて具体的な基準や公式が法制化すれば、葛藤が繰り返される問題から抜け出すことができるだろう」と話した。
消耗的な葛藤を繰り返して公益委員により最低賃金が決定される構造も解決すべき問題だ。今年も表決可能な修正案を出すのが難しいと判断した労使の要請に対し、公益委員側は12日未明、審議促進区間(1万-1万290ウォン)を提示し、最低賃金が決定した。高麗大法学専門大学院のパク・ジスン教授は「臨機応変的な算式でなく、持続可能で中長期的な予測が可能な構造を作らなければいけない」と強調した。
◆自営業者「値上げするしかない」「バイト減らす」
最低賃金委が12日に議決した来年度最低賃金案を雇用労働部長官に提出し、雇用部は異議提起手続きなどを経て8月5日まで最低賃金を告示すれば、来年1月1日から効力が発生する。告示の前に労使が最低賃金案に対して異議を提起できるが、再審の要請が受け入れられたことは一度もない。
この日に決定した最低賃金に対し、これまで「凍結または引き下げ」を主張してきた自営業者と中小企業は当惑を隠せずにいる。今年の9860ウォンから1.7%(170ウォン)の上昇だが、最低賃金が5けたになっただけに肌で感じる負担はかなり大きい。自営業者・中小企業は雇用規模を減らしたり商品の価格を引き上げるなどの対応策に頭を悩ませている。
ソウル冠岳区で時給1万1000ウォンでアルバイト1人を雇用しながらキムチチゲ店を経営するユさんは「現在1人前が9000ウォンのキムチチゲの料金を最低賃金が上がる時期に合わせて引き上げるかもしれない」と話した。ユさんは昨年2人だったアルバイトを1人に減らしたが、食材費や賃貸料に加えて人件費まで上がれば現在の価格では店を経営できないと憂慮した。ユさんは「不景気で客の懐事情も厳しいはずだが、最低賃金が上がってやむを得ないことを了解してもらうしかない」とし「売上に打撃がないか心配」と語った。
自身の勤務時間を増やして人件費を減らすという店主もいる。ソウル中区で夫婦で個人カフェを経営するオ・ジヒョンさん(48)は「今はアルバイト3、4人を曜日・時間帯別に雇用しているが、来年からはそのまま雇用するのは難しいだろう」と話した。
業種・地域別差別適用に関する議論が十分に行われなかったことにも不満の声も出ている。ソウル中区でコンビニエンスストアを経営するイム・ジェソンさん(41)は「忙しいコンビニもあるが、他の業種に比べてコンビニやネットカフェなどの業務は強度がそれほど高くない。地域・業種の区分なく同じ最低賃金が保証されることについてさらに議論が必要だと思う」と話した。イムさんは「勤労者に対する最低賃金という保護が厚く保障されるだけに、雇い主の困難に対する保護も補完される必要がある」と主張した。
小商工人連合会はこの日、論評を出し、強い遺憾を表明した。小商工人連合会は「国内事業体の95%を超える小商工人はすでに売上減少などで支払い能力が限界に達した状況」とし「最低賃金引き上げは賃金を支払う主体の小商工人の現実に背を向けた無責任な処置であり、結局は『一人経営』を強要するものだ」と批判した。中小企業中央会も「現在の高い最低賃金は遵守が不可能な状況であり、脆弱事業主は法律違反者になるリスクを抱えて事業をしなければいけない」とし「業種別に支払い能力を考慮した最低賃金の区分適用は必要だ」と主張した。
しかし労働界は業種・地域別の差別適用を絶対に受け入れないという立場であり、論争は続くと予想される。低賃金労働者の最低賃金水準保障と生活の安定という趣旨が完全に崩れると考えているからだ。また労働界が取り上げた請負制労働者に対する最低賃金適用問題をめぐっても攻防が予想される。特殊雇用労働者・プラットホーム・フリーランサー従事者のうち労働者性が認められた人たちの請負制最低賃金を定めようという主張だ。
労働界はこの問題を最低賃金委で決めようと主張したが、経営界は最低賃金委が決める権限はないとして反対した。
11日午後3時から続いた約12時間のマラソン会議の末に来年度の最低賃金が決定したが、最低賃金をめぐる労使間の衝突はさらに激しくなる見込みだ。韓国労働組合総連盟(韓国労総)は声明で「最低賃金1万ウォン突破が大変なことのように意味付けしているが、実質賃金は事実上の削減」とし「歴史的などという言葉で大げさに騒ぐことでない」と指摘した。今回決定した1.7%の引き上げ率は2021年の1.5%に続いて過去2番目に低い。
経営界も遺憾を表明した。これに先立ち業種別・差別適用が否決された中、最低賃金引き上げで自営業者の負担がさらに加重したからだ。京畿道城南市(ソンナムシ)で焼肉店を経営する60代のキム・ソンウンさんは「職員は最低賃金が上がっただけに手当まで計算して月給を増やさなければならず、アルバイトは今でも1万2000ウォンほど出してこそ集まるが、さらに上がればどのように経営すればよいのか分からない」と吐露した。
専門家らは、今年の最低賃金委でも激しい衝突が起きただけに制度的問題を改善する必要がある、と指摘している。今月2日、最低賃金委では業種別・差別適用をめぐる表決を控え、労働界側の委員が議事棒を奪ったり投票用紙を破ったりした。中央大のイ・ビョンフン社会学科名誉教授は「国会を通じて具体的な基準や公式が法制化すれば、葛藤が繰り返される問題から抜け出すことができるだろう」と話した。
消耗的な葛藤を繰り返して公益委員により最低賃金が決定される構造も解決すべき問題だ。今年も表決可能な修正案を出すのが難しいと判断した労使の要請に対し、公益委員側は12日未明、審議促進区間(1万-1万290ウォン)を提示し、最低賃金が決定した。高麗大法学専門大学院のパク・ジスン教授は「臨機応変的な算式でなく、持続可能で中長期的な予測が可能な構造を作らなければいけない」と強調した。
◆自営業者「値上げするしかない」「バイト減らす」
最低賃金委が12日に議決した来年度最低賃金案を雇用労働部長官に提出し、雇用部は異議提起手続きなどを経て8月5日まで最低賃金を告示すれば、来年1月1日から効力が発生する。告示の前に労使が最低賃金案に対して異議を提起できるが、再審の要請が受け入れられたことは一度もない。
この日に決定した最低賃金に対し、これまで「凍結または引き下げ」を主張してきた自営業者と中小企業は当惑を隠せずにいる。今年の9860ウォンから1.7%(170ウォン)の上昇だが、最低賃金が5けたになっただけに肌で感じる負担はかなり大きい。自営業者・中小企業は雇用規模を減らしたり商品の価格を引き上げるなどの対応策に頭を悩ませている。
ソウル冠岳区で時給1万1000ウォンでアルバイト1人を雇用しながらキムチチゲ店を経営するユさんは「現在1人前が9000ウォンのキムチチゲの料金を最低賃金が上がる時期に合わせて引き上げるかもしれない」と話した。ユさんは昨年2人だったアルバイトを1人に減らしたが、食材費や賃貸料に加えて人件費まで上がれば現在の価格では店を経営できないと憂慮した。ユさんは「不景気で客の懐事情も厳しいはずだが、最低賃金が上がってやむを得ないことを了解してもらうしかない」とし「売上に打撃がないか心配」と語った。
自身の勤務時間を増やして人件費を減らすという店主もいる。ソウル中区で夫婦で個人カフェを経営するオ・ジヒョンさん(48)は「今はアルバイト3、4人を曜日・時間帯別に雇用しているが、来年からはそのまま雇用するのは難しいだろう」と話した。
業種・地域別差別適用に関する議論が十分に行われなかったことにも不満の声も出ている。ソウル中区でコンビニエンスストアを経営するイム・ジェソンさん(41)は「忙しいコンビニもあるが、他の業種に比べてコンビニやネットカフェなどの業務は強度がそれほど高くない。地域・業種の区分なく同じ最低賃金が保証されることについてさらに議論が必要だと思う」と話した。イムさんは「勤労者に対する最低賃金という保護が厚く保障されるだけに、雇い主の困難に対する保護も補完される必要がある」と主張した。
小商工人連合会はこの日、論評を出し、強い遺憾を表明した。小商工人連合会は「国内事業体の95%を超える小商工人はすでに売上減少などで支払い能力が限界に達した状況」とし「最低賃金引き上げは賃金を支払う主体の小商工人の現実に背を向けた無責任な処置であり、結局は『一人経営』を強要するものだ」と批判した。中小企業中央会も「現在の高い最低賃金は遵守が不可能な状況であり、脆弱事業主は法律違反者になるリスクを抱えて事業をしなければいけない」とし「業種別に支払い能力を考慮した最低賃金の区分適用は必要だ」と主張した。
しかし労働界は業種・地域別の差別適用を絶対に受け入れないという立場であり、論争は続くと予想される。低賃金労働者の最低賃金水準保障と生活の安定という趣旨が完全に崩れると考えているからだ。また労働界が取り上げた請負制労働者に対する最低賃金適用問題をめぐっても攻防が予想される。特殊雇用労働者・プラットホーム・フリーランサー従事者のうち労働者性が認められた人たちの請負制最低賃金を定めようという主張だ。
労働界はこの問題を最低賃金委で決めようと主張したが、経営界は最低賃金委が決める権限はないとして反対した。
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