ロシアのプーチン大統領とインドのモディ首相が両国間の貿易を増やすことで合意した。ロシアのウクライナ侵攻で西側がロシア経済を圧迫する中で出てきた動きだ。モディ首相の２日間のロシア訪問が北大西洋条約機構（ＮＡＴＯ）首脳会議直前になされ、西側は両国首脳の会談を注視し、ホワイトハウスはこの日米国とインドの戦略的パートナー関係を強調した。

外信によると、プーチン大統領とモディ首相は首脳会談でウクライナ問題と経済協力強化を話し合った。モディ首相のロシア訪問は２０１９年から５年ぶり、２０２２年のウクライナ戦争勃発後初めてだ。

◇モディ首相「罪のない子どもたち死ねば胸が痛む」


プーチン大統領は「ウクライナ危機を平和的に解決する方法を探そうとする努力を含め最も深刻な問題に関心を持ってくれ感謝する」と話した。これに対しモディ首相は「戦争は解決策ではない。罪のない子どもたちが死ねば胸が痛く、その苦痛はとても耐え難い」と述べた。

両首脳の発言は前日にウクライナがロシアのミサイル攻撃によりキーウの子ども病院で多数の死亡者が発生し、ロシア製Ｋｈ１０１巡航ミサイルの破片を回収したと明らかにした後に出てきた。ロシアは子ども病院を攻撃したのはウクライナの防空ミサイルだと主張している。

会談に先立ちウクライナのゼレンスキー大統領は「こうした（攻撃がなされた）日に世界最大の民主主義国の指導者が世界で最も血なまぐさい犯罪者を抱擁する姿はとても残念なこと」と批判した。その後モディ首相のこうした発言が出るとロイターは「モディ首相が感情的な言葉を使いプーチン大統領に暗黙的な叱責を伝えた」と評した。

プーチン大統領とモディ首相が首脳会談後に採択した共同声明には「外交と対話を通じてウクライナ紛争を平和的に解決する」「国連安全保障理事会改革とインドの常任理事国進出を支持する」という内容が盛り込まれた。ロシア大統領府のペスコフ報道官は、モディ首相がウクライナ問題の解決策を提示したが仲裁者の役割を自任したりはしなかったと説明した。

◇石油低価格供給続け原発建設議論

この日プーチン大統領は、「われわれの関係は特別な特権的戦略的パートナーシップの性格を持つ」と強調した。ロシアとインドは原子力などで緊密に協力し、現在６５０億ドル（約１０兆円）規模である両国間の貿易を増やして２０３０年までに１０００億ドルを達成することにした。

ロシアは西側の制裁でエネルギー輸出の道が閉ざされるとインドに低価格で石油を供給して突破口を見いだしている。ロシアはインドに原子力発電所６基を建設することも協議している。両国は共同軍事協力活動、北極航路開発と宇宙探査協力も議論した。

今回の首脳会談でロシアは米日豪と安全歩所の枠組みのクアッドに加わり西側とも緊密な関係にあるインドと強固な関係を確認したと評価される。インドでも今回の訪問はライバルである中国が西側の制裁後にロシアと急速に近づくのに対抗するための努力だったと分析している。伝統的にロシアから武器の供給を受けてきたインドは、ロシアの中国に対する依存度が高まることも懸念している。

両国はすでに上海協力機構（ＳＣＯ）やＢＲＩＣＳなどで協力している。モディ首相はロシアをインドの「友人」と呼び、プーチン大統領は両国の友好発展に対する功労でモディ首相にロシア最高の栄誉である聖アンドレイ勲章を授与した。習近平中国国家主席も２０１７年に贈られた勲章だ。インドのクワトラ外務次官は、モディ首相が会談で、だまされてロシア軍によりウクライナに送られたインド人の早期除隊も取り上げ、プーチン大統領がこれを受け入れたと明らかにした。

◇インド、ライバルの中国とロシアの接近を意識

フィナンシャル・タイムズは「クレムリンは米国のヘゲモニーに挑戦するため『グローバル多数』というビジョンを後押しするインドのような国を結集させようと努力してきたので今回の訪問を西側がロシアを孤立させるのに失敗したというシグナルとして歓迎した」と伝えた。

カーネギー国際平和財団ロシア・ユーラシア・センターのアレクサンドル・ガブエフ所長は「インドはロシアがすべての卵を中国のかごに入れるのを防ぐためできるだけ多くの機会を与えたがっている」と分析した。ＡＰ通信は「モディ氏とプーチン氏は２つの核保有国間の関係を深めようと努力している」と評した。

◇ホワイトハウス「インドは戦略的パートナー」

一方、ホワイトハウスのジャンピエール報道官はこの日の会見で、モディ首相のロシア訪問に対し「インドは米国の戦略的パートナー。インドとロシアの長い間の関係がプーチン大統領を説得しウクライナに対する侵略戦争を終息できると信じる」と話した。