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【コラム】北朝鮮はロシアのシンデレラなのか

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
歴史上ロシアと最も激しく戦争をした国は現在の西欧諸国だ。ウクライナ戦争4カ月前にバイデン米大統領と彼の参謀はロシアがウクライナを全面侵攻するだろうという結論を下した。しかしフランスとドイツのような欧州の国はこれを信じなかった。彼らにとってプーチン氏はそんな無謀なことを行う人ではなかった。さらにフランスのマクロン大統領は戦争直前にプーチン大統領と電話会談をした後、戦争はないだろうと確信までした。西側世界に映ったロシアは難解な国だった。

ロシアが事実を隠した歴史的事例は多い。1932~33年のウクライナの干ばつの際にスターリンは急速な工業化のためにウクライナから輸出用穀物徴発を強行し390万人のウクライナ人が餓死した。ソ連政府は「ホロドモール」と呼ばれるこの惨状を隠した。第2次世界大戦後にソ連はポーランドの知識人と将校2万人をカチンの森で銃殺したが、50年間その虐殺を認めなかった。1986年にウクライナのチェルノブイリ原発爆発事故が起きた直後にゴルバチョフ政権がこの事故を隠したために多くの人たちが放射能に被ばくした。国家目標達成と国の威信に役立たないならば事実を隠して嘘をつくのは国民に責任を負わない専制政権または権威主義政権の特徴だ。

プーチン大統領は最近平壌(ピョンヤン)で朝ロ首脳会談を開催し、韓国政府を苦境に落とした。両国の軍事同盟が復活し、プーチン大統領はこれまで隠してきた北朝鮮に対する軍事技術移転を示唆した。その結果として韓国政府がウクライナに対する殺傷武器支援不可の方針を再検討すると明らかにし、韓国とロシアの間で鋭い外交的攻防が進行中だ。冷戦時代に北朝鮮はロシアにとって共産主義の理念をともにする重要な同志だったが、冷戦が終了してからはすべてが変わった。北朝鮮は共産主義を捨てたロシアには何も得るものがない使い道のない存在だった。プーチン大統領が24年間北朝鮮を一度も訪問しなかったということがすべてを物語る。砲撃戦中心であるウクライナ戦争でロシアに最も切実なのは北朝鮮の砲弾だ。戦争は西側とロシアに避けられていた「灰かぶり姫」の北朝鮮を注目される現代版シンデレラにしてくれた。戦争が今後さらに数年間続けば、北朝鮮はロシアの砲弾生産基地になるだろう。


ウクライナ戦争勃発前に米国は2つの戦略的目標を立てた。ひとつはウクライナに武器を支援してロシアを敗北させることで、もうひとつはNATOとロシアの直接武力衝突を避けるということだった。これを受け政府内でウクライナに提供する武器の種類、数量、支援時期などを検討する協議体を作り、予想されるロシアの反応まで考慮して最終決定は大統領がするようにした。米国にはロシアを敗北させることよりロシアと第3次世界大戦を避けることがより重要な国益であり、いまでも武器を支援する時は慎重に計算して行っている。

9~10日にワシントンで開催される北大西洋条約機構(NATO)首脳会議では尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の出席が予想され、ウクライナ戦争に影響を与える重要な変数となった朝ロ軍事協力も討議されるだろう。また、韓国の武器支援問題も議論されるだろう。ロシアにとって最も手痛い韓国の対応措置はウクライナに最も切実な殺傷武器である砲弾を直接支援することだ。この場合ロシアは外交関係の格下げまたは韓国企業に対する制裁などで報復する可能性がある。韓国は戦争の様相を変えられる砲弾など武器を保有しており武器生産能力も大きい。しかし南北間の対峙状況などを考慮すると米国のように大規模に武器を支援するのは容易でない。したがって朝ロ間の軍事協力推進状況を見守るものの武器支援が避けられないと判断される場合にはまずは攻撃用武器よりは非殺傷または防衛用武器を支援するのが良いだろう。武器支援は中国に警戒心を起こさせ朝中ロの構図から距離を置かせる圧迫効果もある。

ロシアは強大国という自負心がとても高い国だ。韓国の対応措置はロシアの報復を招き悪循環につながる可能性が高い。しかしキッシンジャー元米国務長官の言葉通り、「外交は可能性の芸術」だ。難しい状況だが韓国政府がロシアと外交的解決策を模索するのが望ましい。北朝鮮はウクライナ戦争という暗い魔法が作り出したシンデレラだ。この童話の現実的結末は戦争が終わればわかるだろう。

権奇昌(クォン・ギチャン)/元駐ウクライナ大使、韓国輸入協会常勤副会長



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