朝ロ両国が先月19日の首脳会談で「包括的な戦略パートナーシップ条約」を締結し、事実上の軍事同盟レベルに関係を格上げした中、朝ロとは距離を置く中国を韓国側に引き寄せるべきだという提言があった。中国が国際社会の責任ある一員としての役割をしながら米国と競争しようとする点を有利に活用すべきということだ。
財団法人「韓半島平和作り」(理事長・洪錫炫)は先月28日、「朝ロ首脳会談以降の韓半島(朝鮮半島)情勢」をテーマに討論を行った。出席者らは朝ロ首脳会談後の米大統領選挙を控えた現時点が国際秩序の重要な変曲点になるということに同意し、韓国の外交が今後進んでいく方向について意見を提示した。
◆尹永寬(ユン・ヨングァン)元外交通商部長官のテーマ発表の要約
米国が主導する自由主義秩序に対する挑戦が生じている。北朝鮮・中国・ロシア・イランの権威主義陣営と米国を中心とする民主主義陣営の対決の結果は韓国に極めて重要だ。
幸い、ロシアは韓国との等距離外交を放棄したわけではないようだ。韓国をターゲットにしないというメッセージを引き続き発信している。ロシアの立場では北朝鮮よりも韓国との経済協力を重視する必要がある。
朝中ロが一つになって進むという見方も詳細に点検する必要がある。中国が米国の一極体制に対抗する多極体制を樹立するには、韓国・日本、そして欧州を自国側に引き寄せる必要がある。
このため国際舞台で責任ある行為者の役割を放棄しない。これが朝ロとの根本的な差だ。結局、中国は朝ロ密着を適正水準までは管理する可能性が高い。朝ロのために米国が韓半島近隣や西太平洋地域で軍事的活動を強化する状況は遮断するということだ。
力学関係を活用するのが外交の基本なら、韓国としては中国に対する意思疎通を強化するなど中国と朝ロ間の隔たりを活用しなければいけない。
現在の南北間の軍事的緊張状況は懸念される。北朝鮮は朝ロ会談後、自信に満ちているはずだ。また米大統領選挙後の朝米交渉で有利な立場になるために部分的な挑発をする可能性も提起される。
韓国は北朝鮮の挑発の可能性に対して北朝鮮抑止の意志を強調し、能力を強調する必要がある。韓米日3カ国の協力はそのため意味がある。また断固対応をするものの比例性の原則を守らなければならず、危機管理のための意思疎通チャンネルを確保する努力も求められる。
イ・ヒョク元駐ベトナム大使=ロシア・ウクライナ戦争で最も利益を得た国は中国だと考える。米中競争で優位を占めるには西側世界を攻略しないわけにはいかないが、朝ロといういわゆる「悪の枢軸」の一員に加担しようとしなかったのは強みとなる可能性があるからだ。
文興鎬(ムン・フンホ)漢陽大教授=中国とロシアの協力が十分でないのは事実とみる。中国はロシアと距離を置きながらグローバルイメージを管理しようとする。ただ、朝ロの密着に対応して中国を引き込むべきだというが、対中関係を放置したような状況では自己希望的な思考でしかない。
イ・ジョンナム高麗大教授=中国はロシアが東アジアで影響力を拡張することを望まない。特に朝ロが緊張感を形成することは、中国が警戒する新冷戦局面を触発する可能性がある。中国は米国との関係を管理しながら警戒するだろう。
康埈栄(カン・ジュンヨン)韓国外大教授=中国は韓米日-朝中ロの構図を避けようとする。中国が朝中ロ3カ国構図に率先すれば、韓米日など米国が主導する小集団主義が力を強めて対中圧力に動く可能性があるからだ。韓国は中国と本格的に北朝鮮の事案を議論しなければいけない。
キム・ビョンヨン・ソウル大客員教授=朝ロ条約は一種の保険のようだ。ロシアがする戦争の様相によってロシアが北朝鮮に与える見返りも大きくなり、朝ロの密着は懸念される。韓国は中国を動かすためには何を見せ、どんなものを与えることができるか悩まなければならない。
アンドレイ・ランコフ国民大教授=ロシアの立場で戦争が終われば北朝鮮の価値は落ちるしかない。両国の経済構造の互換性は大きくなく、経済交流も過去40年間失敗してきた。中国との連帯性もよく見ると衝突や矛盾が多い。半面、ロシアにとって韓国は経済とソフトパワーの側面で重要なパートナーだ。結論的にロシアが目指すのは等距離外交になるしかない。
イ・ソクベ元駐ロシア大使=中国に対する過度な期待は危険かもしれない。また、ウクライナとの戦争が終われば韓ロ関係が改善するという漠然とした希望も懐疑的だ。韓ロ関係は米ロ関係と連動するしかない。米国の対ロシア制裁は続くだろう。ロシアにとって北朝鮮の戦略的価値は容易に低下しないかもしれない。
チ・マンス金融研究院研究委員=朝ロ密着にもかかわらず、為替レートや株価に大きな影響がないということに注目する。市場は最近の変化をむしろ安定性を強化する性格と評価するのはでないだろうか。韓国の反応が不確実性を高める方向に進む必要はない。
李元徳(イ・ウォンドク)国民大教授=それぞれ戦略が異なる朝ロ間の密着を過度に大きく見る理由はないだろう。一時的な提携で終わるかもしれないということだ。似た脈絡で尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の政策が韓米関係に集中したという指摘もあり、今後バランスを取る作業が必要かもしれない。
朴鴻圭(パク・ホンギュ)高麗大教授=冷戦と新冷戦は全く違う。冷戦にはきっ抗した対立構図が存在したが、今は空間が多い。韓国が自律性を享受する領域も大きいということだ。そうであるほど断末魔的な対応よりも慎重にバランスを取る必要がある。
パク・ヨンホ元江原大教授=経済発展5カ年計画が相次いで失敗するタイミングに、金正恩(キム・ジョンウン)委員長としてはプーチン大統領が起こした戦争が良い機会になった。金正恩委員長は新冷戦構図で状況を打開しようとするが、中国は考えが異なるようだ。韓国の対中国・対ロシア外交戦略が精巧でなければいけない時だ。
朴仁フィ(パク・インフィ)梨花女子大教授(社会)=朝ロの密着は政府が韓米日中心基調を選択した時からある程度は予想が可能だった。政府も対応して後続措置を出すとみる。
【韓半島平和ウォッチ】「中国、朝ロとは距離置く…韓国に有利に導くべき」(2)
財団法人「韓半島平和作り」(理事長・洪錫炫)は先月28日、「朝ロ首脳会談以降の韓半島(朝鮮半島)情勢」をテーマに討論を行った。出席者らは朝ロ首脳会談後の米大統領選挙を控えた現時点が国際秩序の重要な変曲点になるということに同意し、韓国の外交が今後進んでいく方向について意見を提示した。
◆尹永寬(ユン・ヨングァン)元外交通商部長官のテーマ発表の要約
米国が主導する自由主義秩序に対する挑戦が生じている。北朝鮮・中国・ロシア・イランの権威主義陣営と米国を中心とする民主主義陣営の対決の結果は韓国に極めて重要だ。
幸い、ロシアは韓国との等距離外交を放棄したわけではないようだ。韓国をターゲットにしないというメッセージを引き続き発信している。ロシアの立場では北朝鮮よりも韓国との経済協力を重視する必要がある。
朝中ロが一つになって進むという見方も詳細に点検する必要がある。中国が米国の一極体制に対抗する多極体制を樹立するには、韓国・日本、そして欧州を自国側に引き寄せる必要がある。
このため国際舞台で責任ある行為者の役割を放棄しない。これが朝ロとの根本的な差だ。結局、中国は朝ロ密着を適正水準までは管理する可能性が高い。朝ロのために米国が韓半島近隣や西太平洋地域で軍事的活動を強化する状況は遮断するということだ。
力学関係を活用するのが外交の基本なら、韓国としては中国に対する意思疎通を強化するなど中国と朝ロ間の隔たりを活用しなければいけない。
現在の南北間の軍事的緊張状況は懸念される。北朝鮮は朝ロ会談後、自信に満ちているはずだ。また米大統領選挙後の朝米交渉で有利な立場になるために部分的な挑発をする可能性も提起される。
韓国は北朝鮮の挑発の可能性に対して北朝鮮抑止の意志を強調し、能力を強調する必要がある。韓米日3カ国の協力はそのため意味がある。また断固対応をするものの比例性の原則を守らなければならず、危機管理のための意思疎通チャンネルを確保する努力も求められる。
イ・ヒョク元駐ベトナム大使=ロシア・ウクライナ戦争で最も利益を得た国は中国だと考える。米中競争で優位を占めるには西側世界を攻略しないわけにはいかないが、朝ロといういわゆる「悪の枢軸」の一員に加担しようとしなかったのは強みとなる可能性があるからだ。
文興鎬(ムン・フンホ)漢陽大教授=中国とロシアの協力が十分でないのは事実とみる。中国はロシアと距離を置きながらグローバルイメージを管理しようとする。ただ、朝ロの密着に対応して中国を引き込むべきだというが、対中関係を放置したような状況では自己希望的な思考でしかない。
イ・ジョンナム高麗大教授=中国はロシアが東アジアで影響力を拡張することを望まない。特に朝ロが緊張感を形成することは、中国が警戒する新冷戦局面を触発する可能性がある。中国は米国との関係を管理しながら警戒するだろう。
康埈栄(カン・ジュンヨン)韓国外大教授=中国は韓米日-朝中ロの構図を避けようとする。中国が朝中ロ3カ国構図に率先すれば、韓米日など米国が主導する小集団主義が力を強めて対中圧力に動く可能性があるからだ。韓国は中国と本格的に北朝鮮の事案を議論しなければいけない。
キム・ビョンヨン・ソウル大客員教授=朝ロ条約は一種の保険のようだ。ロシアがする戦争の様相によってロシアが北朝鮮に与える見返りも大きくなり、朝ロの密着は懸念される。韓国は中国を動かすためには何を見せ、どんなものを与えることができるか悩まなければならない。
アンドレイ・ランコフ国民大教授=ロシアの立場で戦争が終われば北朝鮮の価値は落ちるしかない。両国の経済構造の互換性は大きくなく、経済交流も過去40年間失敗してきた。中国との連帯性もよく見ると衝突や矛盾が多い。半面、ロシアにとって韓国は経済とソフトパワーの側面で重要なパートナーだ。結論的にロシアが目指すのは等距離外交になるしかない。
イ・ソクベ元駐ロシア大使=中国に対する過度な期待は危険かもしれない。また、ウクライナとの戦争が終われば韓ロ関係が改善するという漠然とした希望も懐疑的だ。韓ロ関係は米ロ関係と連動するしかない。米国の対ロシア制裁は続くだろう。ロシアにとって北朝鮮の戦略的価値は容易に低下しないかもしれない。
チ・マンス金融研究院研究委員=朝ロ密着にもかかわらず、為替レートや株価に大きな影響がないということに注目する。市場は最近の変化をむしろ安定性を強化する性格と評価するのはでないだろうか。韓国の反応が不確実性を高める方向に進む必要はない。
李元徳(イ・ウォンドク)国民大教授=それぞれ戦略が異なる朝ロ間の密着を過度に大きく見る理由はないだろう。一時的な提携で終わるかもしれないということだ。似た脈絡で尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の政策が韓米関係に集中したという指摘もあり、今後バランスを取る作業が必要かもしれない。
朴鴻圭(パク・ホンギュ)高麗大教授=冷戦と新冷戦は全く違う。冷戦にはきっ抗した対立構図が存在したが、今は空間が多い。韓国が自律性を享受する領域も大きいということだ。そうであるほど断末魔的な対応よりも慎重にバランスを取る必要がある。
パク・ヨンホ元江原大教授=経済発展5カ年計画が相次いで失敗するタイミングに、金正恩(キム・ジョンウン)委員長としてはプーチン大統領が起こした戦争が良い機会になった。金正恩委員長は新冷戦構図で状況を打開しようとするが、中国は考えが異なるようだ。韓国の対中国・対ロシア外交戦略が精巧でなければいけない時だ。
朴仁フィ(パク・インフィ)梨花女子大教授(社会)=朝ロの密着は政府が韓米日中心基調を選択した時からある程度は予想が可能だった。政府も対応して後続措置を出すとみる。
【韓半島平和ウォッチ】「中国、朝ロとは距離置く…韓国に有利に導くべき」(2)
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