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小渕・金大中宣言の舞台裏を明かす…元駐韓大使が当時の日誌をもとに出版(2)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

1998年10月7日に東京皇居で開かれた晩餐会で、金大中(キム・デジュン)大統領が昭仁天皇を「天皇陛下」という尊称で礼遇し、酒杯を合わせている。 [写真 延世大金大中(キム・デジュン)図書館]

Q 著書の中で、金氏が天皇訪韓実現に強い意欲を示していたことが繰り返し記されている。

A 金大中元大統領は天皇陛下の訪韓実現に熱心だったが、私は「南北が対立して戦争が起きるかもしれないという状況で天皇陛下がソウルに行くわけにはいかない。緊張がある程度緩和したムードが出てこないと難しい」と伝えていた。

また小倉氏は、1999年3月の小渕氏訪韓にあたって、「首相が過去の反省の気持ちを持ち続けていることを示す象徴的な行為をすべきだ」と考え、柳寛順記念碑の訪問を検討していたと著書で明らかにした。しかし実現には至らず、歴史問題は今日に至るまで両国の懸案として残り続けている。


Q 当時から歴史問題の解決には時間がかかると予想していたか。

A 予想外だった面もあるが、共同宣言ですべてうまくいくとは思わず、依然として尾を引いていくだろうということは皆思っていた。ただ、日韓関係には振幅があり、関係が悪化した際にソウルの日本大使館への抗議活動がどう行われるかは一つの尺度になる。1960年代は大使館に弾丸が撃ち込まれて窓ガラスが割れた。私が赴任した時にも弾丸の跡があった。その後は、弾丸が石になり、石が卵になった。私の前任者は、大使車がデモ隊に囲まれてゲンコツでたたかれた。私の時にはゲンコツはなくなり、パンソリの「春香伝」の歌が抗議の意味で歌われるようになった。このように抗議の度合いが昔とは違ってきており、成熟した国同士の関係になりつつあることは事実だ。

Q 日韓間には依然としてさまざまな火種があり、21世紀に入っても日韓関係は悪化と改善を繰り返してきた。

A 韓国では日本との関係のみならず、多くのことが政治問題化しやすい。民族が分断されて、北朝鮮と対決しているからだ。南北の緊張が緩和されなければ、日韓関係も根本的には安定しないと私は思う。

Q 韓国は来年の日韓国交正常化60周年に合わせた「新共同宣言」の作成に積極的だ。どう考えるか。

A 同じような内容の宣言を出しても意味があるとは思わない。共同宣言で未来志向の関係構築をうたったが、過去に関する議論ばかりが続いてきた。真の未来志向とは、日韓両国が世界に共にどう貢献していくか、両国民が理解できるような形で打ち出すことだ。例えば宇宙や海洋開発などの事業の共同実施や、世界的な課題解決に向けた基金の設置などを検討してはどうかと思う。

Q 今後の課題は。

A 日韓関係はこれまで政治家や経済界、言論界など一部の中高年男性だけが構築してきた。それでは不十分で、女性や若者同士の交流が大事だ。また、観光や文化交流は活発化しているが、国民の日常生活に直結した社会問題に取り組んでいる団体同士の交流などをもっと促進していく必要がある。

小倉和夫氏略歴

1938年生まれ。東京大法学部卒業、英国ケンブリッジ大経済学部卒業。1962年外務省入省。文化交流部長、経済局長、駐ベトナム大使、外務審議官(経済担当)、駐韓国大使、駐仏大使などを歴任。現在、日本財団パラスポーツサポートセンターパラリンピック研究会代表、国際交流基金顧問、全国農業会議所理事、青山学院大学特別招聘教授。


小渕・金大中宣言の舞台裏を明かす…元駐韓大使が当時の日誌をもとに出版(1)

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