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北朝鮮に対する拡声器放送再開、「挑発口実」懸念にも剣抜く…「ハイブリッド悪循環、今断ち切らなくては」=韓国(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

9日、ソウル蚕室(チャムシル)大橋付近隣で見つかった北朝鮮の汚物風船。[写真 韓国合同参謀本部]

韓国政府が出し惜しんでいた剣をさやから抜いた。

9日、北朝鮮による「汚物風船」挑発に対応した韓国の「拡声器放送」再開決定だ。金正恩(キム・ジョンウン)政権に致命的となる対応であることから、高強度挑発などの反発につながる可能性があるという懸念もある中で韓国政府が決断を下した理由は、実際に国民への被害につながっている「ハイブリッド挑発悪循環」の輪を断ち切らなくてはならないという判断のためだ。

◇「国民被害」発生、政府基準ライン越える


北朝鮮は先月28日夜、大量の「汚物風船」を韓国側に飛ばしたことをはじめ、GPS(衛星利用測位システム)電波かく乱、ミサイル試験発射カードを時間差で切った。昨年、パレスチナ武装組織ハマスがイスラエルに対する攻撃でブルドーザーやハンググライダーなどを活用したように、非正規戦要素を混合した典型的なハイブリッド戦の予行演習を行う様相だった。

ハマスの奇襲で立証されたように、このようなハイブリッド戦では民間人被害がどうしても大きくなってしまう。実際、汚物風船により財物損壊などが続いた。弾道ミサイル試験発射など伝統的軍事挑発よりも国民が体感する不安はむしろ大きくなった側面がある。

韓国政府の高位関係者は「今は汚物風船だが、これをそのまま放置しておけば、次は何を入れて飛ばしてくるか分からない」とし「国民の実質的被害が発生した時、北朝鮮がすでに韓国政府が定めた基準ラインは越えており、行動によって悪循環を断ち切らなくてはならないと判断するに至った」と説明した。

◇金委員長、高強度挑発への名分作りも

実際、北朝鮮が汚物風船を初めて飛ばしてきた時でさえ、韓国政府は対応を自制して事態を見守る雰囲気だった。だが北朝鮮が汚物風船の物量を増やして被害が続出したことを受けて、速戦即決で拡声器の再開を決定した。9・19南北軍事合意の効力をすべて停止して各種軍事訓練を再開できる道も再び開いた。

これに関連し、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は6日の顕忠日(殉国烈士・戦没者追悼記念日)追悼式で北朝鮮の汚物風船散布を「卑劣な挑発」と規定して「断固として、圧倒的に対応していく」と話した。今後も韓国政府が原則的対応を継続することを示唆する部分だ。

ただし、国際規範などは無視したまま不法的に非常識挑発を繰り返す北朝鮮に対して行動対行動の原則だけを守ることは韓半島(朝鮮半島)における緊張高揚につながりかねないという懸念も出ている。北朝鮮の誤った行動に代償を支払わせる必要はあるものの、緊張緩和への努力も並行しなければならないという指摘が出ているのはこのためだ。

実際、汚物風船が西海(ソヘ、黄海)北方限界線(NLL)や前方地域での局地戦などを目標に金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長が描く「大きな絵」の最初のパズルのピースなら、北朝鮮が拡声器放送再開などをかえって挑発の名分として利用するかもしれない。

これに関連し、金委員長は2月、「海上国境線は武力行使で守らなければならない」とし「延坪島(ヨンピョンド)と白翎島(ペクリョンド)北側の国境線水域での軍事的対備態勢を強化せよ」と注文した。金委員長が1月、韓国の国会格である最高人民会議施政演説に続いて、繰り返しNLL無力化を言及したことから、関連の後続措置が続く可能性がある。


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