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「ブタは正気を失い、ニワトリは卵産めず」 気温40度の火の地獄タイ、さらなる暑さが襲う

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
タイ北東部のウドーンターニーで養豚場を運営する畜産業者のチャラオットさんは今春早々始まった猛暑に茫然自失としている。養豚歴4年を迎えるが今年ほど大変な年はなかった。チャラオットさんは「天候が暑すぎてブタが正気を失いつつある」とし「ストレスを受けて互いにケンカして、食べもせず下痢ばかりしている」と香港サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)に吐露した。

3月から世界各地で異常高温現象が持続している中で、特に東南アジアと南アジア地域が酷暑で悲鳴を上げている。ミャンマー、バングラデシュなどは歴代で最も暑い4月を送ったほか、ベトナムのように深刻な干ばつに見舞われるところも多い。アジアは昨年の気候危機により世界で最も大きな被害を受けた地域ということで、各国は猛暑対策づくりで忙しい。

◇残忍な暑さで農業・観光・教育に致命打


ダメージは観光業界から受けた。コロナ禍が落ち着き、観光客の足が戻ってようやく一息ついたように見えたが、春から猛暑が襲ったためだ。伝統的な観光地ではなくショッピングモールに人が殺到し、美しいビーチで有名なリゾート地は水不足に苦しめられている。SCMPは業界関係者の言葉を引用して「淡水不足でホテルなど宿泊施設運営費が3倍以上高騰し、悩みが深まった」と伝えた。

酷暑の直撃を受けたのは農業分野だ。特にタイは気温が40度を軽く超える日々が続き、農作業が不可能なほど暑いため農業・畜産業従事者数百万人が被害を受けている。

「果物の王様」と呼ばれるドリアンの収穫量が大幅に減少し、ニワトリやカモは卵を産めずにいる。英国日刊ガーディアンは「カモが産む卵が通常の40%水準に減少した」とし「多くの農場主が卵を産むことができないニワトリ、カモなどを泣く泣く処分している」と報じた。

これによって卵の価格は大きく上昇した。SCMPは「高価であるにもかかわらず卵を適時に買うことができなかった人々が多く、フェイスブックなどソーシャルメディア(SNS)には卵を求める掲示文があふれている」と伝えた。家畜関連の医療コストや医薬品の金額も急増して小規模農場主は廃業危機に瀕している。

猛暑は学生教育にも悪影響を及ぼしている。フィリピン、バングラデシュ、カンボジアなどは休校令を出して学校を閉鎖した。エアコンなど冷却施設が設置されていないところが多いからだ。CNNは「農村地域の貧しい子どもたちが最も大きな被害を受けている」とし「遠隔授業をしたくてもノートブックなど機器を購入する余裕がない」と報じた。猛暑によって、都市と農村子女の教育格差がさらに広がる可能性があるという懸念だ。デング熱やマラリアなど熱帯性疾病も拡散している。タイではすでに猛暑関連の疾患で40人以上が死亡した。

◇人口密度の高い東南アジア、インフラ不足で一層脆弱

今年東南アジアの猛暑はさらに加速する地球温暖化にエルニーニョ現象が重なったためだという分析がある。昨年6月に始まったエルニーニョは熱帯東太平洋の水面温度が平年より0.5度以上高く、地球を温める現象で、今年6月に終わるものとみられる。これによって早春から北半球全域が異常高温に苦しめられた。

北半球でも特に東南アジアが苦痛を受けているのは、これら国々の大部分が低地帯に位置し、洪水や干ばつの影響を受けやすいためだと専門家は説明した。また、農業依存度が過度に高く、水道・電力などインフラが不安定なため気候危機に脆弱である点も指摘されている。2021年軍部クーデターが起きたミャンマーの場合、政治混乱のために自然災害にほぼ無防備にさらされている状態だ。世界気象機関(WMO)はアジアを「世界で最も災害が発生しやすい地域」に挙げて、「その危険がより一層高まる」と警告している。

◇6月の暑さ、さらに深刻化の予想

問題は猛暑が一層激しくなる可能性がある点だ。東南アジアは通常6月前後から気温が本格的に上昇する。各国は猛暑被害を防ぐための対策づくりに苦心している。高齢者と脆弱階層をまず管理して、学校の授業時間を短縮する方案などが議論されている。

CNNは「気候変化の打撃を最も大きく受けるのは開発途上国などで、特に農村地域の貧しい子どもたちが大きな苦痛を味わっている」とし「東南アジア・南アジアの各政府はさまざまな政策を打ち出しているが、弥縫策ではない長期的な対策を提示すべき時」と診断した。



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