ロシアとウクライナが２７日（現地時間）、エネルギー施設を狙って攻撃を交わした。ロシアは先月末から１カ月間、ウクライナのエネルギー施設を選んで打撃し、ウクライナはロシア経済の核心である石油・ガス施設への攻撃に集中している。

◆ロシア、１カ月間エネルギー施設を打撃

ロイター通信・ニューヨークタイムズ（ＮＹＴ）などによると、ロシアはこの日午前、ウクライナの火力発電所４カ所など主要電力施設を集中的に打撃した。ウクライナ空軍はミサイル３４発のうち２１発を撃墜したと明らかにしたが、一部のエネルギー基盤施設が打撃を受けた。ウクライナのエネルギー省は中部ドニプロペトロウシク州、西部リビウ州、イワノフランキフスク州の３つの地域のエネルギー施設が損傷したと明らかにした。


ウクライナのゼレンスキー大統領はこの日の画像演説で「ロシアの主要標的はエネルギー部門と電気・ガス施設だったが、特に欧州連合（ＥＵ）に安全にガスを供給するのに重要な施設だった」と述べた。

先月末からロシアは空中と海上の高精密長距離武器と無人機（ドローン）を使用してウクライナエネルギー施設ばかりを攻撃している。これを受け、ウクライナ最大民間エネルギー会社ＤＴＥＫが運営する発電施設の８０％が破壊され、ウクライナ全域で数百万世帯以上で電気供給が中断するなど、電力の需給に支障が生じている。

ウクライナエネルギー産業研究センター（ＥＩＲＣ）のカルチェンコ所長はＣＮＮに「ロシアの攻撃戦略は３月末に転換された」とし「エネルギー施設数カ所を標的とし、ミサイル・ドローンを同時に動員して集中攻撃している」と伝えた。

ロシアは過去２年間、寒さを武器にするために冬季にウクライナのエネルギー施設を集中打撃した。しかしウクライナが防空網でロシアの攻撃を防ぎ、２度も冬季の危機を克服した。こうした中でロシアが春にエネルギー施設を核心標的とし、ウクライナの虚をついた。

これに関しＣＮＮは、ロシアが西側の支援が減ってウクライナの防空網資源が絶対的に不足する状況が訪れるまで待ったとみられる、と伝えた。ウクライナのエネルギーシンクタンクＤｉＸｉグループのパブレンコ代表は「冬が過ぎた後、エネルギー施設を守った防空網の一部が最前方に再配備された」とし「これは失敗でなく防空網が不足した状況で優先順位が決まりながら生じた結果」と指摘した。

ウクライナは破壊されたエネルギー施設を早期に復旧しようと努力しているが、ロシアが集中打撃を継続しているため容易でない状況だ。ウクライナのシュミハリ首相は「最近ロシアが招いた大規模な被害は数週、数カ月以内に復旧することはできない」とし、国民に「節電」を強調した。

◆ウクライナ、ロシア石油・ガス施設攻撃

ウクライナもロシア国内の石油・ガス施設を攻撃している。ロシア国防省は２７日夜中、南西部クラスノダール州で６６機、クリミア半島で２機など計６８機のウクライナのドローンを撃墜したと明らかにした。クラスノダール州のコンドラチェフ知事は「彼らは精油施設とインフラ施設を攻撃しようとした」とし「死傷者と深刻な被害は発生していない」と述べた。

ＮＹＴによると、ロシア当局はウクライナの自国領土空襲を否認または縮小しているが、石油・ガス施設に対する攻撃は隠するのが難しい状況だ。英軍事情報機関はロシアの精油施設が少なくとも１０％中断したと推定した。これを受け、ロシア政府は国内需要への対応と価格安定のために先月１日から６カ月間ガソリン輸出を禁止した。

ウクライナ高官らは「ロシア国家予算の約３分の１が石油・ガスから生じるだけに、こうした施設に対する攻撃はロシア戦時経済の核心を攻撃する」とし「これでロシアの戦争遂行能力が低下することを望む」と伝えた。

米国はロシアとウクライナが互いにエネルギー施設を攻撃して双方のより大きな報復につながれば、世界エネルギー市場の価格を上昇させると懸念していると、ＮＹＴが伝えた。

一方、ロシアはＥＵのロシア産液化天然ガス（ＬＮＧ）制裁が欧州の産業にも不利な措置になると批判し、克服方法を模索すると明らかにした。

ロイターによると、大統領府のペスコフ報道官は２７日の記者会見で、「エネルギー市場でロシアに圧力を加えようとする試みが続いている」とし「新しいＥＵの制裁は米国に助けになるはずで、欧州はガスに対してより多くの費用を支払うことになる」と述べた。続いて「いかなる場合にも我々はこうした不法な障害物と不公正競争を克服する方法を模索する」と話した。

これに先立ちＥＵの情報筋は２５日、ＥＵ執行委員会が第１４次対ロシア制裁パッケージにロシア産ＬＮＧを制裁する内容を含む案を検討中だと伝えた。ＥＵがＬＮＧ制裁を考慮するのは初めて。ロシア産の石炭・原油はすでに制裁している。