中国と米国・欧州連合（ＥＵ）の貿易戦争が再点火する可能性が大きくなった中で、中国が報復関税を許容する新たな関税法をまとめた。

ロイター通信など主要外信が２８日に伝えたところによると、第１４期全国人民代表会議常務委員会は２６日に第９回会議を開き、１２月から施行する関税法を通過させた。

中国と貿易協定を締結した国が高関税を課す場合、相互主義の原則に基づいて高関税を課せられるようにした内容が骨子だ。この法律の第１７条には「外国の高率関税に同等な関税を課すことができる」という条項が明示された。


今後米国などが中国産製品に対し高率の関税を課す場合、中国がこれに対抗して関税を課すことができる根拠を用意した形だ。

中国の関税法は２００３年に世界貿易機関（ＷＴＯ）に加盟し輸出入関税条例を施行した中国が昨年１０月に関税法草案を初めて審議して姿を表わした。最初の審議当時、司法部の賀栄部長は「条約と協定の最恵国待遇条項または関税特恵条項を履行しない国と地域に対等原則に基づき相応する措置を取ることができる」として１７条の「相互主義」の趣旨を説明した。今回の関税法制定の趣旨を盛り込んだ第１条には、草案になかった「国家主権と利益を守護し、納税者の合法的権益を保護する」という文言が追加された。

これまで米国とＥＵは中国の低価格製品攻勢を防ぐため中国製主要製品に関税を課する方針を出してきた。バイデン米大統領は１７日、現在７．５％である中国製鉄鋼とアルミニウム製品の関税を２５％に引き上げるよう米通商代表部（ＵＳＴＲ）に勧告した。ＥＵは中国製電気自動車が補助金を受けて低価格で販売され競争を不当に妨げているか調査している。

２４～２６日に訪中したブリンケン米国務長官は習近平国家主席に中国の過剰生産に対する懸念を伝えたりもした。中国の新しい関税法はブリンケン長官の訪中日程に合わせて通過し目を引いた。

米国など西側では対中貿易戦争が再点火するのではないかという懸念が出ている。１１月の大統領選挙を控えたバイデン大統領とトランプ前大統領は共通して中国牽制、自国利益に向けた政策基調を掲げている。