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中国に対抗し「価値」高める…フィリピン大統領の変化した計算(2)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
これに対応してフィリピンは1999年にミスチーフ礁から約40キロメートル離れたセカンドトーマス礁にシエラ・マドレ号をわざと座礁させた。フィリピンはこの船を固定して海兵隊を駐留させるなど軍事基地として活用した。シエラ・マドレ号は第2次世界大戦当時に揚陸艦として使っていたさび付いた廃軍艦だ。シエラ・マドレ号の撤去を要求する中国はフィリピンの補給船に放水を浴びせるなど実力行使を行っている。

◇ドゥテルテ氏とマルコス氏、どのように違ったか

マルコス大統領の前任のドゥテルテ氏は、大統領就任後最初の海外歴訪先に中国を選び、中国を「近い隣人」と呼ぶなど親中の動きを見せた。中国の領有権主張を認めるような発言で議論を呼んだりもした。これに対し中国はフィリピンに一帯一路事業の延長線として240億ドル規模のインフラ投資を約束し前向きにこたえた。


だが両国はこれまで1件もインフラ建設に合意できていない。資金難で一帯一路事業も遅々として進まない状態だ。ドゥテルテ氏の融和策にも中国はフィリピン漁船威嚇を止めず、むしろ兵力を増強した。ドゥテルテ氏の親中路線に対するフィリピン国内世論も悪化した。

マルコス大統領は中国に手を差し出す代わりに米国などと同盟強化に出た。米国とフィリピンは1951年に相互防衛条約を結んだ同盟だが、植民地支配の歴史で関係は円満なばかりではない。マルコス氏が急激に米国側につくと、「ドゥテルテ氏を見て対中融和策に実益がないと判断したため」という解釈が出ている。

フィリピンは昨年、自国内の米軍基地を既存5カ所から最大9カ所まで増やすことに合意した。11日には米国・日本・フィリピン3カ国による史上初めての首脳会議を通じて合同海上演習とパトロールをすることにした。

バイデン米大統領はフィリピンの基盤施設に対する大規模投資を約束し、米議会はフィリピンの国防強化に向け25億ドルを支援する法案を発議した。

マルコス大統領は今年欧州、オーストラリア、ベトナムなどを訪れ、中国との衝突で自国に対する支持を引き出した。ニューヨーク・タイムズはこうした彼の歩みに対し「中国と南シナ海をめぐり紛争する重要な時期に強力な外交政策を見せている」と評した。

◇フィリピン国民の複雑な内心

しかしフィリピンの一部では米中覇権対立の中で被害を受けかねないという懸念の声も出ている。米軍基地を増やしたことと関連し、「中国の台湾侵攻時に米軍の前哨基地になるだろう」という指摘も出る。

マルコス政権の外交政策を見るフィリピン国民の複雑な内心は現地メディアの社説からもうかがえる。

「マルコス大統領の親西側政策は中国に卑屈に屈服する前任者の政策よりはるかに受け入れられる選択とみられる。しかしどんな同盟も国益を守るための抑止力という盾をわれわれに提供しなければならないという事実を記憶しなければならない」(マニラタイムズ)。


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