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【コラム】歌唱力論争に自己複製…本質を逃したHYBEの危機

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

BTS

危機はどこから始まったのか。BTS(防弾少年団)を産んだK-POP最大の企画会社(芸能事務所)HYBE(ハイブ)が揺れている。

HYBE傘下SOURCE MUSIC(ソースミュージック)の5人組ガールズグループLE SSERAFIM(ルセラフィム)は最近米国最大の音楽祭「コーチェラ・バレー・ミュージック・アンド・アーツ・フェスティバル」で恥をかいた。13日と20日にそれぞれ40分ずつ単独公演を繰り広げたが、音程の不安や音の外れなど歌唱力問題が大きく取り沙汰された。2022年にデビューしたLE SSERAFIMは「K-POPグループとしてデビュー後最短期間でのコーチェラ入城」記録で注目を集めた。だが、1回目のステージ後、コーチェラ公式インスタグラムなど関連SNSには「歌ではなくシャウティング」「所属事務所はボーカルの練習をさせているのか」などの酷評が世界各国の言語で書き込まれた。これを意識したからか、2回目のステージ公演ではAR(あらかじめ録音された音源)の音を過度に大きくしたところ、まるでリップシンクのようだったという嘲弄まで受けた。

◇「チャプジーンズ」論争生んだ安易な生存戦略


LE SSERAFIMのメンバーが黒のマスクで顔を隠して帰国した22日、もっと大きなニュースがHYBEの危機状況を知らせた。HYBEがミン・ヒジンADOR(アドア)代表に対して「経営権奪取企図」を理由に監査に入ったのだ。ミン代表側はこれを否定し、今回の事態を「ILLIT(アイリット)のNewJeansコピー」疑惑提起をしたことに伴ったHYBEの言論プレー(=意図的なメディア利用)だと主張した。ILLITの所属事務所BELIFT LAB(ビリーフラボ)とNewJeans所属事務所ADORはどちらもHYBE傘下レーベルだ。

経営権奪取企図の真偽とは別に、世論はミン代表の「自意識過剰」を非難する側に流れている。自身が世の中になかったコンセプトでNewJeansを作り出したように「ミン・ヒジン風」云々したことに対する反感だ。

だが、先月デビューしたILLITを見て「NewJeansだと思った」という反応が出てきたのも事実だ。長いストレートヘアの清純な5人の少女。「チャプジーンズ」(※チャプとは「偽物」という意味)という皮肉に根拠がないわけではなかった。流行を作り、その後についていくのが大衆文化の属性だったとしても、HYBEという同じ会社の中でここまでそっくりのガールズグループが再生産されたというのは次元の異なる問題だ。成功公式の自己複製という最も近視眼的で安易な生存戦略を図ったためだ。自ら寿命を縮めるダメ手だ。

K-POPの危機はHYBEのパン・シヒョク議長が公論化した話題だ。昨年、寛勲(クァンフン)フォーラムとtvNのバラエティトーク番組『ユ・クイズ ON THE BLOCK』に相次いで登場してK-POP市場の危機を取り上げた。

その警告のとおり危機の兆しは至るところで感知された。今年2月開かれたグラミー賞授賞式はK-POP歌手候補が1組もない状態で行われた。昨年まで3年連続候補に上がったBTSの空白を実感した。昨年11月ビルボード・ミュージック・アワードでは新設された4つのK-POP部門だけで受賞者が出てきた。

忠誠度の高い「ヘビーファンダム」に依存して成長してきたK-POP市場の奇形的現象も噴出した。ガールズグループaespa(エスパ)カリナの事例が代表的だ。今年2月、カリナの恋愛事実が伝えられた後、ファンから激しい非難が殺到し、結局カリナが自筆の謝罪文をSNSに投稿して恋人との決別を宣言するに至った。

◇「ヘビーファンダム」の忠誠度に依存してK-POP成長

音源ストリーミング時代にアルバム販売の比率が高すぎるのも不安要素だ。昨年K-POP音盤販売量は1億枚を突破して歴代最高を記録した。アルバム販売量において、列に並ばせてファンダム間の競争心を刺激した結果だ。アルバムにフォトカードを無作為に入れて大量購入を誘導するマーケティング技法は昨年公正取引委員会の調査も受けた。

K-POP産業の持続可能性のためには軽い気持ちで音楽を楽しむ「ライトファンダム」の拡張が必須だ。「マイベイビー至上主義」ではないファンには基本資質を備えていない歌手は箸にも棒にもかからない。

本質に忠実でなければならないという答えもパン・シヒョク議長が自ら話していた。パン議長は2年前にソウル大学から名誉博士学位を受けて「今の目の前の問題を解決するのではなく、本質に集中しなければならないと自ら診断と処方を下したことによって今まで会社は生き残ってきた。それが決定的理由」と話した。デビュー当時、大型企画会社の所属ではないという理由で「土の箸とスプーンアイドル」と呼ばれたBTSは実力と真剣さで世界のトップに上り詰めた。

過去10年間余り、K-POPは韓流の先鋒に立っていた。昨年異常進行で危機に直面したジャンボリーに救援投手として登場したように、国家競争力にも影響を及ぼしている。歌の下手な歌手、コピーで作ったグループは長くもたないだろう。HYBEとADORはそれぞれ法務法人を選任して法的攻防を準備している。K-POPトップ企業の泥沼内紛を見守ることになった状況がさらに気持ちを重くさせる。

イ・ジヨン/論説委員



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