サムスンが「役員週６日勤務」をすべての系列会社に拡大し、財界の関心が集まっている。グローバル経営環境の不確実性が高まっただけに緊張感を持って対応するのは望ましいという反応が多い。同時に、互いの反応を意識する雰囲気加熱させ、硬直した組織文化を強化するという指摘も少なくない。

財界によると、先週末、サムスン電機・サムスンＳＤＩ・サムスンＳＤＳ・サムスンディスプレイなど電子関連会社の役員が週６日勤務に初めて参加した。土曜日に出勤したというある関連会社の役員は「今回は初めてなので日程がなかったが、来週末からは役員会議が予定されている」とし「平日には日常的な業務のためにできなかった新しい産業の流れに関する学習やアイデア発掘時間として活用すればよい」と話した。

サムスンの役員らは組織全般の業務量が増えると予想した。職員との「同伴出勤」を禁止したとはいうが、役員が週末出勤の成果を出すには結局、実務担当職員の手が必要ということだ。


財界関係者は「全般的に働く雰囲気をつくる効果がある」と話した。財界ではサムスンがそれだけ現在の危機状況を厳重に受け止めていると解釈している。勤労基準法上、週５２時間制が適用されない役員は従来から業務があれば週末にも勤務してきたが、これを公式化したからだ。サムスン遵法監視委員会のイ・チャンヒ委員長は前日、委員会会議の前に記者らに対し「グローバル経済危機の中で全世界を主導する事業分野で激しい競争をするサムスンも危機に直面したとみている」とし「社長が週末に出勤するのをみると、国家経済が厳しい状況ということが肌で感じられる」と述べた。

◆「危機対応、すでに遅い」

サムスンが「超格差」リーダーシップを逃した状況で危機対応はむしろ遅いという指摘もある。サムスン電子は昨年、半導体で約１５兆ウォン（焼く１兆６９００億円）の営業損失を出し、人工知能（ＡＩ）半導体の核心である高帯域幅メモリー（ＨＢＭ）市場はＳＫハイニックスに主導権を奪われた状態だ。今年１－３月期には業績が改善したが、最近、イラン－イスラエル紛争などで為替レートや原油価格の変動性が拡大し、韓国と米国で大規模な投資を控えたサムスンの負担も増えている。李京黙（イ・ギョンムク）ソウル大経営大学教授は「サムスンの地位が以前こほどではないが、過去と同じ方法でやっていてはいけない」とし「ライバル企業との格差が縮まった状況だが、むしろ危機対応の速度が遅かったとみる」と話した。

サムスンが火を付けた「役員週６日勤務制」が他の企業で拡散する可能性に財界は注目している。ＳＫグループは今年、役員の「土曜会議」を復活させ、隔週末ごとに主要系列会社の経営陣が集まってグローバル事業戦略を点検し、一部の系列会社は週間会議も月曜日朝早くに始め、事実上、中間管理職は週末から勤務モードだ。ＬＧ化学とイーマートは希望退職者を募るほど状況が厳しい。

◆「週６日組織文化、グローバル人材招聘にマイナス」

ただ、この３－４年間、遠隔・柔軟勤務などを拡大してきた企業が突然方向を変えるのは容易でないとみられる。匿名を求めた１０大グループの関係者は「サムスンの場合、これまでサムスン電子の一部の役員だけが週末に出勤し、公平性をめぐる論争があったので、内部引き締めの目的が強いとみられる」とし「他社はワーク・ライフ・バランスを重視する若い職員の反発を考慮し、週６日の話は出しにくいはず」と話した。組織の雰囲気全体が硬直するのを懸念するということだ。

実際、サムスン系列会社の職員は心配が多い。サムスン系列会社のある職員は「少なくとも部長級など中間管理職はこれから毎週末勤務することになりそうだ」とし「週５２時間を超えない週末勤務をしなければいけないので、互いの反応を意識する雰囲気が強まるだろう」と予想した。別の職員は「役員が週末に出勤して勤務すれば実務職員に連絡する可能性が高まる」とし「勤務時間の増加は避けられない」と話した。

グローバル人材の獲得が難しくなるという見方も出ている。先端技術産業界のグローバル人材は勤務時間や出欠でなく成果を中心に評価・報酬を受けるのに慣れているが、サムスンの役員の週６日勤務制指針が従来の上司・位階中心の企業文化を強化する場合、トップ級人材にとってサムスンは魅力的な職場になりにくいということだ。匿名を求めた元サムスン電子役員は「目標に向かってみんなで一緒に走る組織文化の長所もあるが、それ以前に会社が目標とビジョンを職員とよく共有するのが先であり、サムスンはそれが不足している」と話した。クォン・サンジプ漢城大社会科学部教授は「今は勤勉誠実時代でなく、創意的な時代であり、一律的な週６日勤務は若い優秀人材に否定的な官僚制イメージばかりを与えかねない」と指摘した。