イランによるイスラエル空爆が呼び起こした「中東不安」に韓国の金融市場が揺れた。ウォン相場は17カ月ぶりに1ドル=1380ウォン水準を超え、KOSPIは0.42%下落した。米国と中東の変数にともなうドル高は当分続く見通しで、1ドル=1400ウォンに到達する可能性も大きくなった。外為政策当局は、必要な場合には安定化措置に出るとして市場介入を示唆した。
15日のソウル外国為替市場でウォン相場は前日比8.60ウォンのウォン安ドル高となる1ドル=1384ウォンで取引を終えた。終値基準で2022年11月8日の1384.90ウォン以来のウォン安水準だ。先月11日に1310.30ウォンまで上がったウォン相場は今月に入って35ウォン近く下がるなど急速に落ち込んでいる。
激しいウォン安には中東情勢が影響を及ぼした。イランとイスラエルの対立は今月に入り悪化の一途をたどっている。イスラエルが1日に在シリアのイラン領事館を爆撃し、これに対する報復としてイランは13日夜にイスラエル本土に史上初の攻撃を実施した。イスラエルがイランに再度報復するのではとの外信報道も出ている。
世界経済も揺れている。国債利回りと株価が下落し、国際原油価格とドルは強気を見せる形だ。この日の金融市場はアジアを中心に劣勢を見せた。韓国総合株価指数(KOSPI)は前営業日より0.42%(11.39ポイント)安の2670.43で取引を終えた。日経平均は0.74%、台湾加権指数は1.38%の下落となった。
◇「1ドル=1400ウォン台」は過去3回
安全資産に選ばれるドル選好傾向が明確だ。原油高、物価上昇懸念などで米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ時期が遅くなるだろうという見通しもドル高をあおる。主要6通貨に対するドルの価値を示すドル指数(1973年=100)は12日基準で106.04に上がった。昨年11月以降で最も高い水準だ。
このためウォン相場が1ドル=1400ウォンまで進む恐れがあるとの懸念が出ている。ウォン相場が1400ウォンを超えたのはこれまで3回しかなかった。▽1997年12月~1998年6月▽2008年11月~2009年3月▽2022年9~11月だ。過去3回の歴代級ウォン安期間のどの時に似ているかにより今後の為替相場への影響を推察できる。
最初のウォン安である1997年は国際通貨基金(IMF)への救済金融申請にともなう通貨危機が訪れウォン相場は急落した。短期対外債務比率もやはり1997年には657.9%で高かった。国債格付けは大幅に下落し、国債利回りは上がった。ドルは動かないのにウォン相場が下がった。国内物価が急騰するなど経済に荒波が押し寄せた。
2008年に訪れた2度目のウォン急落の引き金を引いたのは米国だ。リーマンブラザーズの破綻後に世界的金融危機が迫り韓国には流動性危機がきた。国際金融市場の外貨借入が行き詰まり、政府が銀行の対外債務支払い保証に出て、外国為替市場に100億ドル以上を供給するなどの措置を取らなければならなかった。
ウォンが3回目に1400ウォン台を記録したのは2022年9月で比較的最近だ。米国が金利を一気に大きく引き上げる急激な緊縮に出てドルが上がった影響だ。
今回のウォン安は2022年と似ているというのが韓国政府の分析だ。国内問題というよりは米国の利下げ転換に対する期待が後押しされたというのがドル高の理由であるためだ。国の信用度が落ちている状況ではない上に外貨準備高も十分だ。
だが急激なウォン下落は輸入物価上昇、外国人投資家流出など韓国経済にも負担になるほかはない。外国為替当局が動いた理由だ。この日市場状況点検会議を主宰した韓国銀行の柳相大(ユ・サンデ)副総裁は「格別の警戒心を持って今後の進行様相などを綿密に点検する。外国為替・金融市場の変動性が拡大する恐れがある場合、市場安定化措置を適時に実施するだろう」と話した。
崔相穆(チェ・サンモク)副首相兼企画財政部長官もこの日の非常経済閣僚会議で、「事態の展開の様相によってはエネルギー・供給網を中心にリスクが拡大し金融市場の変動性も大きくなりかねない。政府は格別の緊張感を持って汎政府非常対応体系を備えてあらゆる可能性に備えたい」と話した。
ただ中東情勢が全面戦争に拡大しなければウォンが再び上がるだろうという分析も出ている。
新韓銀行のエコノミスト、ペク・ソクヒョン氏は「イスラエル証券市場がイランの攻撃後にも大きく揺れ動かないなど市場では今後の情勢を様子見する傾向が強い。戦況拡大がなければウォンが1350ウォン台まで上がる余地がある」と話した。
15日のソウル外国為替市場でウォン相場は前日比8.60ウォンのウォン安ドル高となる1ドル=1384ウォンで取引を終えた。終値基準で2022年11月8日の1384.90ウォン以来のウォン安水準だ。先月11日に1310.30ウォンまで上がったウォン相場は今月に入って35ウォン近く下がるなど急速に落ち込んでいる。
激しいウォン安には中東情勢が影響を及ぼした。イランとイスラエルの対立は今月に入り悪化の一途をたどっている。イスラエルが1日に在シリアのイラン領事館を爆撃し、これに対する報復としてイランは13日夜にイスラエル本土に史上初の攻撃を実施した。イスラエルがイランに再度報復するのではとの外信報道も出ている。
世界経済も揺れている。国債利回りと株価が下落し、国際原油価格とドルは強気を見せる形だ。この日の金融市場はアジアを中心に劣勢を見せた。韓国総合株価指数(KOSPI)は前営業日より0.42%(11.39ポイント)安の2670.43で取引を終えた。日経平均は0.74%、台湾加権指数は1.38%の下落となった。
◇「1ドル=1400ウォン台」は過去3回
安全資産に選ばれるドル選好傾向が明確だ。原油高、物価上昇懸念などで米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ時期が遅くなるだろうという見通しもドル高をあおる。主要6通貨に対するドルの価値を示すドル指数(1973年=100)は12日基準で106.04に上がった。昨年11月以降で最も高い水準だ。
このためウォン相場が1ドル=1400ウォンまで進む恐れがあるとの懸念が出ている。ウォン相場が1400ウォンを超えたのはこれまで3回しかなかった。▽1997年12月~1998年6月▽2008年11月~2009年3月▽2022年9~11月だ。過去3回の歴代級ウォン安期間のどの時に似ているかにより今後の為替相場への影響を推察できる。
最初のウォン安である1997年は国際通貨基金(IMF)への救済金融申請にともなう通貨危機が訪れウォン相場は急落した。短期対外債務比率もやはり1997年には657.9%で高かった。国債格付けは大幅に下落し、国債利回りは上がった。ドルは動かないのにウォン相場が下がった。国内物価が急騰するなど経済に荒波が押し寄せた。
2008年に訪れた2度目のウォン急落の引き金を引いたのは米国だ。リーマンブラザーズの破綻後に世界的金融危機が迫り韓国には流動性危機がきた。国際金融市場の外貨借入が行き詰まり、政府が銀行の対外債務支払い保証に出て、外国為替市場に100億ドル以上を供給するなどの措置を取らなければならなかった。
ウォンが3回目に1400ウォン台を記録したのは2022年9月で比較的最近だ。米国が金利を一気に大きく引き上げる急激な緊縮に出てドルが上がった影響だ。
今回のウォン安は2022年と似ているというのが韓国政府の分析だ。国内問題というよりは米国の利下げ転換に対する期待が後押しされたというのがドル高の理由であるためだ。国の信用度が落ちている状況ではない上に外貨準備高も十分だ。
だが急激なウォン下落は輸入物価上昇、外国人投資家流出など韓国経済にも負担になるほかはない。外国為替当局が動いた理由だ。この日市場状況点検会議を主宰した韓国銀行の柳相大(ユ・サンデ)副総裁は「格別の警戒心を持って今後の進行様相などを綿密に点検する。外国為替・金融市場の変動性が拡大する恐れがある場合、市場安定化措置を適時に実施するだろう」と話した。
崔相穆(チェ・サンモク)副首相兼企画財政部長官もこの日の非常経済閣僚会議で、「事態の展開の様相によってはエネルギー・供給網を中心にリスクが拡大し金融市場の変動性も大きくなりかねない。政府は格別の緊張感を持って汎政府非常対応体系を備えてあらゆる可能性に備えたい」と話した。
ただ中東情勢が全面戦争に拡大しなければウォンが再び上がるだろうという分析も出ている。
新韓銀行のエコノミスト、ペク・ソクヒョン氏は「イスラエル証券市場がイランの攻撃後にも大きく揺れ動かないなど市場では今後の情勢を様子見する傾向が強い。戦況拡大がなければウォンが1350ウォン台まで上がる余地がある」と話した。
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