イスラエルとハマスのガザ地区戦争が６カ月以上続くなか、戦争がイスラエル対イランの正面衝突に飛び火する兆候が表れている。ウクライナ戦争の中、イスラエルとイランが全面戦争をする場合、１９７３年の第４次中東戦争以来５１年ぶりに「第５次中東戦争」に入ることになる。すでに影響が生じている国際秩序と世界経済にメガトン級の衝撃が加われば、インフレに苦しむ韓国経済にも超大型の悪材料が加わる。

イランが１３日夜（現地時間）から１４日午前までイスラエルを狙ってミサイル１００余発と自爆ドローン（無人機）数百機を飛ばし、中東戦争への拡大が迫っているという見方が出ている。反米・反イスラエル代理勢力を通じてイスラエルに打撃を加えてきたイランがイスラエル本土を直接攻撃したのは１９７９年のイラン革命以降初めてだ。１日にイスラエルがシリアのイラン領事館を爆撃すると、イスラム律法「Ｑｉｓａｓ原則」（目には目を、歯には歯を）に基づいて報復を敢行した。

米国・英国など友邦の支援を受けたイスラエルはイランのミサイル・ドローン攻撃の９９％を防空体系のアイアンドームで迎撃したと主張した。強硬派のネタニヤフ首相が率いるイスラエル戦時内閣はイランに対して報復を明らかにした状態だ。国連安保理も緊急招集された。１１月の大統領選挙を控えて困惑するバイデン米大統領は、イランに対するイスラエルのいかなる反撃にも反対するという立場をネタニヤフ首相に明らかにしたと、海外メディアは伝えた。しかし攻撃を受ければ報復してきた前例に基づいてイスラエルがイラン本土を攻撃して第５次中東戦争の引き金を引く場合、中東の地政学が激しく揺れ動き、オイルショックと物流大乱で世界経済が泥沼化する危機を迎える。


韓国経済の将来に対する懸念も強まっている。家計と自営業者、企業には内需沈滞と過度な負債がのしかかり、高金利・物価高・ウォン安ドル高に苦しんでいる。先月の消費者物価指数（ＣＰＩ）上昇率は３．１％にのぼり、ウォン安ドル高は１７カ月ぶりの水準となった。さらに第５次中東戦争に入る場合、そうでなくても不安定な国際原油価格が追加で大幅上昇し、原油の輸入に依存する韓国経済には致命打になりかねない。親イラン系のフーシ派の攻撃で紅海の物流問題が生じるいる状況で、イランがホルムズ海峡を封鎖したりタンカーを相次いで拿捕したりする場合、原油価格の暴騰はもちろんで物流問題も加わり、インフレに追加の悪材料となる。

昨日、尹錫悦（ユン・ソクヨル）大統領は緊急経済・安保会議を開き、中東事態の影響を点検して今後の対策を注文した。外交部・企画財政部・産業通商資源部などが全部処タスクロース（ＴＦ）を構成し、シナリオ別に多様な非常対策を準備することを望む。外部の衝撃が経済と民生に与える影響を最小化することが最上の目標でなければいけない。