イスラム国ホラサン州(ISIS-K)が25日、ロシアのプーチン大統領とロシア人に向け公開したポスター
25日(現地時間)のワシントンポスト(WP)によると、対テロ専門家は今後さらに多くのテロが発生する可能性があると警告した。「ウクライナ戦争、ガザ地区戦争で隠れていたISIS-Kとその他の団体が最近、規模を拡張している」と伝えながらだ。
匿名を求めた欧州情報機関の関係者は「今回のモスクワ公演場への攻撃は資金や認定のために競争するイスラム国の分派に新たな刺激になる可能性がある」とし「ガザ地区の戦争に怒ったテロリスト志望者がモスクワ公演場テロからヒントを得るかもしれない」と懸念を表した。続いて「不幸にも我々はまた別のテロが起こり得るというシナリオに備えなければいけない」と強調した。
過去にISIS報道官がハマスの10月7日のイスラエル攻撃について「多くの死傷者を出し、メディアの大きな関心を呼んだ低技術(low-tech)テロキャンペーンのモデル」として絶賛した点も注目されている。
アラブ情報機関の関係者は「ハマスが数カ月間にわたりメディアに登場することに成功し、これによって他のジハード団体も強大国を攻撃する可能性があることを証明する必要性を感じる状況が形成された」と話した。
◆IS、年間1100件の攻撃、死傷者5000人
米ワシントン近東政策研究所(WINEP)によると、過去1年間にイスラム国(IS)は世界的に約5000人の死傷者を出した1100件以上の攻撃が自らの犯行だと主張した。
ロシア連邦保安庁(FSB)のボルトニコフ長官はISIS-Kの組織員が6500人にのぼると昨年10月、明らかにした。またISIS-Kは昨年、タジク語、ウズベク語宣伝ネットワークを構築し、現地の人を募集している。
フィナンシャルタイムズ(FT)は26日、ISIS-KがISのアフガニスタン支部という点に関連し、ISIS-Kが2021年8月の米国のアフガニスタン撤収後に勢力を強めたと分析した。FTは「タリバンは執権後、宿敵のISIS-Kと激しい反乱戦をしてきたが、分析家はISIS-Kが米国の撤収後に相当な力を得て、最近は国際活動を強化している」と伝えた。
特にISIS-Kがロシアを標的にしたのは意図的だ。2015年にロシアがシリアの内戦に介入してIS組織員を攻撃し、2000年代初めにムスリムのチェチェン分離主義者に対するプーチン大統領の過酷な対応に復讐するという意味でだ。
ロシア当局は追加のテロを懸念している。プーチンはテロ発生の翌日、IS勢力が組織員を募集するところとして知られるカザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、トルコ、シリアの指導者に電話をかけた。
欧州国の緊張感も高まっている。イタリアは今週末、復活節につながる聖週間を控えていて、ドイツは6月の欧州サッカー選手権大会(ユーロ2024)、フランスは7月のパリ夏季オリンピック(五輪)を準備している。
ドイツは自国で暗躍するISIS-K組織員を数百人と推定し、国境統制を強化することにした。フランスはテロ対応に従来の3000人の軍人に加えて追加で4000人を動員する計画だ。トルコは今年1月のイスタンブールカトリック聖堂IS組織員銃撃事件などIS関連事件を捜査し、26日に147人をIS関与容疑で逮捕した。
◆ベラルーシ大統領、プーチンと食い違う主張
一方、ベラルーシのルカシェンコ大統領はこの日、記者らに対し、モスクワ公演場テロ犯が当初ベラルーシに逃げようとしていたと明らかにした。これは、プーチン大統領がこれまで主張してきたウクライナテロ背後説と食い違う。
ロイター通信によると、ルカシェンコ大統領は「ベラルーシが迅速に国境検問所を設置したため、彼ら(テロ犯)はベラルーシに来ることができなかった。彼らはそれ(検問所)を見て方向を変え、ウクライナの国境に向かった」と説明した。プーチン大統領と協力関係を誇示してきたルカシェンコ大統領は、テロ犯逮捕のために睡眠も取らずプーチン大統領と意思疎通を続けたと強調する過程でこのように明らかにした。
しかしこの日、FSBのボルトニコフ長官は、記者らの「米国、英国、ウクライナが攻撃の背後にいるのか」という質問に「そう信じる」と答えた。続いて「イスラム過激主義者がテロを準備したとしても、西側の情報機関がこれを助け、ウクライナ情報機関は直接関与したという情報がある」と述べた。
この記事を読んで…