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「憤怒する韓国人、互いを突き放すハリネズミのよう」

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

延世大学連合神学大学院相談コーチング学科のクォン・スヨン教授は「自分を振り返ること」を人文学的共同体文化回復の第一歩とみた。クォン・ヒョクチェ記者

昨年経済協力開発機構(OECD)が発表した2022年の「より良い暮らし指標(BLI)」で、韓国の「社会的つながり」指標は41カ国中38位だった。生活・教育水準は高かったが、「助けが必要な時頼れる人がいる」という回答は80%でOECD平均の91%を下回った。なぜ孝と礼、共同体的価値を重視してきた韓国の関係指標が最下位水準に急落したのか。

6日に会った延世(ヨンセ)大学連合神学大学院相談コーチング学科のクォン・スヨン教授は「韓国人はもともと関係を重視していたが、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などにより関係が量的には膨張したのに質的には崩れた」とし、その要因として共同体文化崩壊、社会的基準に過度に厳格な「窮屈な文化」を挙げた。韓国相談振興協会理事長などを務めた彼は、著書と講演を通じ「韓国人の憤怒に隠された真の感情に耳を傾けなければならない」と主張してきた。

クォン教授は韓国の関係網崩壊はコロナ禍前から現れたという。彼は「村文化が消えたのが象徴的だ。共同体崩壊は精神健康と密接につながっている」とし、人格教育振興法が制定された2015年に注目した。彼は「当時上階の騒音を理由に刃物を振り回すなど社会対立と憤怒犯罪のレベルが高まり、公教育だけで校内暴力を防止できず人格教育を義務化した」と指摘した。クォン教授は「互いに針で刺し警戒し突き放すハリネズミのように、傷つくまいとして理念・性別・世代別に分かれ関係の質が落ち疎外感が大きくなった」とドイツの哲学者ショーペンハウアーの童話「ハリネズミのジレンマ」に例えて最近の憤怒現象を説明した。


クォン教授はSNSで流行した「1人めし族」の認証ショット(証拠写真)を例に挙げ、「一緒に食事する人がいないことがばれないようにと1人で食事をする自分を撮って投稿したのが始まり。(人間は)苦痛まで連帯するほど疎外されることを恐れる。そうするうちに自身に対する侮蔑感が大きければ他人に暴力を行使したり自害する可能性が大きくなる」と警告した。クォン教授は増える孤独死も社会関係網が崩壊した事例に挙げたが、「50代の孤独死が70~80代より多いのは、社会基準に合わせ生き、リタイア後に家庭や社会などで居場所を見つけられず孤立する場合が多い」と説明した。

解決策はないだろうか。クォン教授は「窮屈な文化を変えるには人文学的思考が重要だ。人文学の基本は自分がどれだけ大事な存在なのか知ること。人が教えた解答を抜け出し自分だけの固有の価値を見つけなければならない」と助言した。それに沿えば、韓国は「窮屈な文化」の順位でモロッコ、インドネシア、エジプトなどイスラム諸国に続き65カ国中9位だ。クォン教授は続けて「きょうどれだけ楽しかったのか、つらい時だれがそばにいると感じたのか振り返れば良い。家族・友人とさらに共感できるならば社会的つながりの指標も上がるだろう」と話した。

家族内の世代間障壁の問題も省けない。クォン教授は「関係も距離を置くことが必要だ。子どもが独立した自我ということを認めるべきで、生半可に侵せば防御の壁だけ高くなる。代わりに『つらい時に望めば対話相手になる準備ができている』というメッセージを与えなさい」と勧めた。続けて「いまの50~60代は両親に孝行した最後の世代だ。孝行されることを願うほど失望する可能性が大きい。これまで他人のため生きてきたとすれば、歳を重ねるほど自分自身が成熟するように集中しなさい」と忠告した。

クォン教授はこうした「関係」問題の解決において、韓国政府の人文学関連政策が意味あると指摘した。孤独相談センター、人文プロジェクト支援、生活の中の人文講座拡大などだ。昨年12月の「2023連結社会フォーラム」ではソウル・放鶴洞(パンハクトン)での50歳以上の住民が互いに世話をする共同体の実践事例、孤立・引きこもり青年に向けた支援事業事例などが紹介された。

クォン教授は「人文振興運動は村中心にするのが良い」としてスウェーデンのストックホルムにある私立オルタナティブスクールを紹介した。地域社会資源を活用して学校外の青少年を多様な教育・文化・福祉サービスで包む村プロジェクトだ。クォン教授はセウォル号事故や梨泰院(イテウォン)群衆事故などと関連しても「社会関係網がしっかり構築されれば、災害生存者が似た苦痛を受けた人に力を与えともに治癒できるようになる『外傷後成長』が可能だ」と強調した。



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