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【社説】患者を担保にした医療界の集団行動は容認できない=韓国

ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版
大型総合病院の専門医が4年ぶりに集団行動を予告し国民の健康権が危険に陥る懸念が大きくなった。ソウルの5大総合病院を指すいわゆる「ビッグ5」の病院専門医は19日、全員が辞表を出し20日午前6時から勤務を中断すると明らかにした。韓国政府の医学部定員2000人拡大の発表に専門医が集団で反発しながらだ。全北円光大学病院を含む他の地域でも専門医の辞表提出が拡散する雰囲気だ。韓国の主要総合病院は現実的に専門医がいなければ正常に運営できない点から尋常でない状況だ。救急室や手術室などで重大な診療空白が発生しないよう万全の対策を立てなければならない。

医大生も一度に休学届を出す方式で集団行動に出ることにした。全国40の医学部のうち35の医学部代表者は一昨日の緊急会議で満場一致で同盟休学を決議したという。医師輩出に支障をきたしかねない点から落ちついて今後を見る問題ではない。大韓医師協会はきょう非常対策委員会構成後に初会議を開き今後の闘争案などを話し合う予定だ。ここでどのような結論を下すかは見守らなくてはならないが、国民の健康権を最優先に置いて賢明な判断をするよう望む。

韓国政府は医師免許取り消しの可能性にまで言及しながら強硬な原則対応の立場を明らかにした。前政権が2020年に医学部増員を推進して失敗した経験を今回は繰り返さないという意味だ。4年前には新型コロナウイルスがあまりにも深刻だったため医療界の反発に政府が退くほかなかったが、いまは状況が全く違うというのが現政権の判断だ。世論調査で医学部増員に賛成の割合が高いのも政府に力を与えている。韓国ギャラップが13~15日に全国の成人1002人を対象に実施した世論調査では、76%が医学部の定員拡大に「肯定的な面が多い」と答えた。これに対し「否定的な面が多い」という回答は16%にとどまった。


医療界はいまからでも医学部の増員が未来に向け避けられない選択であることを認め集団行動をやめるべきだ。ノ・ファンギュ元医師協会長が「政府が医師に勝つことはできない」と話したのは傲慢の極致だった。医師が診療行為をできるのは国から免許を受けたためで、国の主人はまさに国民だ。医療界に不満があっても政府との議論に大乗的に参加し建設的な代案を提示するのが当然だ。そうではなくて現在のように医学部増員に「無条件で反対」ならば国民的共感を得ることはできない。

現在韓国の医療はますます深刻化する少子高齢化で重大な岐路に立たされている。来年には65歳以上の高齢者が全人口の20%以上を占める超高齢社会に進入する。国レベルで医療の基本の枠組みを新たに作らなければならない時期だ。特に救急医学科・小児青少年科など必須医療と地方医療システムが崩壊しているという警告に注目しなければならない。こうした問題は単純に医学部の定員だけ増やしたからと自ずと解決されたりはしないだろう。

医療界はどんな場合でも国民の健康を担保にした職域利己主義は容認されることはないことを肝に銘じなければならない。韓国政府は医療界の集団行動に法と原則に基づき対応すると同時に対話と説得の努力もあきらめてはならないだろう。来年から医学部の定員を増やしても実際に現場に医師が輩出されるのはしばらく後のことだ。政府と医療界はすぐに必要な必須医療と地方医療を回復するために額を突き合わせ実効性ある解決策を探していかなくてはならない。韓国政府は定員拡大により医学部の教育の質が低くなりかねないという懸念の声にも耳を傾け細かい対策を提示するよう望む。



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